スバルのおすすめ:6気筒水平対向エンジン、その精緻なフィールはもう味わえない

ボクサーと呼ばれる水平対向エンジンに、先進的な4輪駆動システム、さらに最近はアイサイトなどの安全装備などでも人気のスバル。このメーカーはつねに独自の“こだわり”を持ってクルマを開発してきました。そのこだわりが最も多く詰まったモノ、それはポルシェも生産を続けている「6気筒水平対向エンジン」だと思うのです。

日本を代表する珠玉のエンジン

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いまこそ体験しておきたい、6気筒と水平対向の世界

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スバルのおすすめ、それはずばり、水平対向6気筒エンジンです。
ほかのエンジンでは味わえないフィール、高級感、さらにエンジニアの情熱まで感じられる珠玉のエンジンです。

しかし、時代の波に押され、消えていく運命にありそうです。今、スバルを知るなら、味わうなら、このエンジンを体験しておくことを、強くおすすめします。

普段はジェントル&スムーズで、大人の雰囲気。なのに、いざアクセルを開けると猛然とダッシュ、鋭い目つきで獲物を追いかける肉食獣のような、速くてタフな走りを披露します。クールなのに、タフ。そう、まるで007に出てくるジェームズ・ボンドのようなエンジンなのです(とはいえジェームズの愛車はスバルではありませんが)。

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水平対向6気筒を積み人気を呼んだ「アルシオーネSVX」

初対面の印象は粛々としたフィール

頭でっかちな解説の前に、まずはその6気筒エンジンに乗ってみましょう。3リッターのEZ30、4代目レガシィに搭載されたダイレクト可変バルブリフト付きのモデルで見てみましょう。

エンジンをかけます。“ウォン!”と、一瞬の咆哮のあと、この3リッターのエンジンは目を覚まします。目覚めの雄叫びの大きさで、このエンジンがスバルで一般的な2リッターではなく、それよりも肺活量の大きな別物であることを認識させてくれます。

まず驚くのが、アイドリングのスムーズさでしょう。まさに、粛々と回っています。腕の立つサムライが脇差しを傍らに置いて静かに座り、出陣のときを待つかのような、緊張感あふれる静寂が室内に漂います。

スバルの水平対向エンジンは、ご存じのように、ピストンが左右方向に動き合いバイブレーションを打ち消し合っています。4気筒の2リッターエンジンでもそれは如実に感じられ、とても滑らかなアイドリングです。よくある直列4気筒では、“ワ〜ンワ〜ン”と周期的な音や振動が出ることもありますが、水平対向エンジンの場合、そういった振動はあまり感じられません。ともすれば、エンジンが止まっているような、そんな滑らかさ、静かさが感じられるアイドリングです。

6気筒・3リッターエンジンは、さらにその上をいく仕上がりです。4気筒よりもさらに滑らかで、静かです。4気筒の場合、じっと観察していると、不整脈のような振動をわずかに感じることがあります。しかし、6気筒はそれさえも感じられません。

走りの情熱が、鼓動として伝わってくる

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しかも驚くことに、エンジンの鼓動のような心地よい響きがドライバーに伝わってきます。防振素材をたっぷりと使ってエンジンの振動や音を遮断しているクルマがありますが、決してそんなふうには仕立てられていません。
水平対向6気筒エンジンの基本的な素性の良さに加えて、スバルの技術陣がていねいに作り込んだのだと思います。エンジンが始動しており、スタンバイOKであること、アクセルから伝わるドライバーからの命令を待っていること、そういった走りに対する情熱を鼓動に託してドライバーに伝えているかのようです。

そう、このクルマは単に静粛なだけの高級車ではなく、クルマと対話しながらドライビングの醍醐味が堪能できる、高級ドライバーズ・カーなのです。

少し、アクセルに力を入れてみます。間髪を入れず、6つのピストンがその指令に応えます。ほんのわずかな力にも繊細に応えます。もちろん、強く踏めばそれだけ、瞬時にタコメーターの針を跳ね上げます。レスポンスがいい、というのは、まさにこのことです。6気筒というマルチシリンダー、しかもターボが付いていないノーマルアスピレーション(NA)エンジンならではの反応といえます。
どんな走りを見せてくれるのか、どのような世界にドライバーを連れて行ってくれるのか、このダイレクトな反応から期待がどんどんふくらんできます。

ドライビング・プレジャーがあふれ出す

機械式腕時計のような、精緻な回転感覚

いよいよ、走り出します。クラッチがエンゲージされ負荷がかかった瞬間から、このエンジンは本領を発揮します。

まず感じるのが、その精緻な回転感覚。精密な歯車が寸分の狂いなく噛み合い、回転を始める様子がイメージされます。アイドリングの空ぶかしでもそれは感じられていましたが、負荷がかかりそれに対抗してトルクを発生し始める、つまりエンジンからミッションまでのギアがしっかり噛み合うようになると、その感覚はさらに具体的にはっきりとしだします。
たくさんのギアが、一糸乱れず整地に働く。そのイメージはまるで、ジャガー・ルクルトやオーデュマ・ピゲといった伝統あるウォッチメーカーの精密な機械式ムーブメントのようです。
ターボのようなデバイスが介在していない分、そうしたメカ本来の素性の良さやその動きがリアルに感じられます。このように、メカそのものと真正面から向き合えるのも、NAエンジンの魅力といえます。

高回転で一気にたかまる、官能性

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アクセルをさらに開けます。
アイドリング時のダイレクトなレスポンス感そのままに、クルマ全体をどんどん加速させ、スピードを上乗せしていきます。
3リッターという余裕ある排気量もあって、ターボの力を借りずともパワフルで、ドライバーの背中をシートバックに押しつけながら加速していきます。
さらにエンジンを働かせ4,000回転を過ぎると、一気にシューッンと吹き上がっていきます。この高回転の気持ちよさは、水平対向エンジンならでは。4気筒でもとても気持ちいいのですが、6気筒はさらに輪をかけて良くなります。もはや官能的ともいえるフィールでドライバーを虜にしてくれます。
しかも、回転を上げても機械式ムーブメントのような精密な回転感覚は保たれます。高回転の息苦しさや詰まった感じをいっさい出さず、精緻にしかもダイナミックに上り詰めていきます

まさに異次元、夢のようなドライビング体験に誘ってくれるエンジン、それが、スバルの6気筒水平対向エンジンなのです。

このエンジンを体験することは、スバルのエンジニアリングを知ること

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ほかにはもう、ポルシェしか作っていない

この珠玉の6気筒エンジンは、1980年代の終わりに生産が始まり、以来、幾度かの製造中止の危機を経ながらも現代に生き残ってきました。しかし、排気ガスや省燃費といった環境対応の波に押され、今度こそ姿を消そうとしています。実際、2015年11月現在、日本国内のラインアップからはすでに消えています。

このエンジンは過去、レガシイやアウトバックといった代表的なモデルのほか、アルシオーネなどスバルの歴史を彩った名車にも積まれ、根強い人気を保ってきました。ちなみに、水平対向6気筒エンジンをいまだに生産しているのは、自動車メーカーではポルシェくらいしかありません。
スバルの6気筒エンジンは、最近流行の電子デバイスやターボといった付加デバイスを使わず、水平対向エンジンが持つ魅力をメカニズムの構成だけで表現しています。さらに、エンジニアたちが熟成を続けた努力とプライドがここに込められ、ひとつの「作品」として成立しています。日本が誇る、名エンジンです。

まだ、このエンジンを搭載しているモデルも見かけることができます。その“息”が途絶えてしまう前に、あなたもこの珠玉の名作を味わってみませんか。