【ポルシェ 718 ボクスターS 試乗】日常的に使えるピュアスポーツカー

ポルシェのスポーツカーと言えばフラット6というのが定番。従来のボクスターもそれを踏襲していたわけですが、718ボクスターではフラット4ターボとなり、ダウンサイジング化されました。こうした面からも、先代と比較してお届けしたいところなのですが、悲しいかな試乗したことがないのでできません。今回の試乗記では「一台のスポーツカーとしてどうか?」の一端でもお届けできればと思います。(飯嶋洋治/RJC会員)

ポルシェ 718 ボクスターSとは?

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「ポルシェ718」の名称は、1950年代から60年代にかけて伝説ともいえる響きをもつものです。RRのイメージが強いポルシェですが、1953年にミッドエンジンスポーツカーとして、550スパイダーがデビューしました。このマシンは公道レースとして名高かった1956年の「タルガ・フローリオ」を制すなどの活躍を見せました。その派生として登場したのが718で、これも1959年、1960年のタルガ・フローリオを制します。今回紹介する「ポルシェ718ボクスターS」はそこまでモータースポーツに徹したというわけではありませんが、718という名称を与えられた以上は、その血統を受け継ぐと言っていいでしょう。

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ミッドシップスポーツカーという位置づけから自然に生まれたようなエクステリア

エクステリアに関しては、個人的な好みになりますが、あまりアクが強くなくてよいと思いました。「スポーツカー」といっても奇抜なスタイルで、外から見る人が引くようなデザインのものもあります。それはそれで否定しませんが、718ボクスターの場合は、ミッドシップレイアウトのスポーツカーを作ったら、必然的にこうなったというような潔さを感じました。かっこいいと思います。

コクピットに座って感じるユーザーインターフェイスの良さ

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インテリアは、現代的なスポーツカーのものという感じでしょうか。ポルシェにはとんと疎い私でも、パーキングブレーキが右ひざ上にあるという点以外は、なんら戸惑うことなくシート位置、ステアリング位置を合わせてエンジン始動からスタートまで行えるというインターフェイスの良さを感じました。クローズドからオープン、またその逆もセンターコンソールにあるスイッチ一つで簡単に行えるというのもポイントの高いところ。個人的な好みで言えば、ステアリングとパドルシフト周りがちょっとゲーム機っぽいかな? とは思いました。古典的なコクピットにあこがれるノスタルジアなのかもしれません。ボタンではなくキーを差し込みひねるという操作は、すでにどこか懐かしさを感じさせますが、水平対向4気筒ターボのエンジン音は背中側から結構存在を主張してきます。

硬さ控えめながら、ロードインフォメーションが的確に伝わるサスペンション

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今回のトランスンミッションはPDK(デュアルクラッチ式AT)なのでツーペダル。ドライブモードに入れておけば、右足のコントロールだけで発進しますから、ややもの足りない感もありますが、今回のように深い地下駐車場などから出る場合にはギクシャクすることもなく安心かもしれません。一般道に入っての乗り心地は、一般的には硬い部類だと思いますが、こうしたスポーツカーに乗りなれた人には乗り心地がいい、さらに過激さを求める向きならば、もっと硬くてもいいという意見もでるかもしれません。私はこの程度がいいと思いました。路面の状況は、ステアリングを通して手に、あるいはボディを通してお尻に的確に伝わってくる感じです。

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残念だったのが、直前にサーキット走行をしてブレーキがそのままということので、ブレーキフルードにややエアを噛んでいるのか、ブレーキフィールがちょっとスポンジーな感じがありました。この分は割り引いて考えなければいけない部分でした。

強烈な加速時には素直にPDKまかせにした方がいいかも……。

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動力性能ですが、今回は特に夕方の都心部ということで、十分に試せる環境ではありませんでした。前方が空いた場面では、ある程度の急加速を試してみた……という程度でしたが、それでも、かなりの加速Gを体感することができました。不等長エキゾーストマニホールドからの独特の排気音、アクセルを踏んだ時の強力な加速感は、そのパワーユニットがフラット6であろうがフラット4ターボであろうが関係ないところでしょう。

PDKトランスミッションは7速で、当然ながらマニュアルモードもあります。ただ、今回はほとんどドライブモードに入れたままでした。特に加速時などは、かなりエンジン回転上がりが速く、シフトタイミングを気にしているよりは、アクセルだけに集中していた方が安心というのがその理由です。

主要諸元

※PDK仕様

ボディ

全長:4,379mm
全幅:1.801mm
全高:1,280mm
ホイールベース:2,475mm
空気抵抗係数:0.32

エンジン

シリンダー数:4
排気量:2,497cc
エンジンレイアウト:ミッドシップエンジン
最高出力:257kW(350PS)/6,500rpm
最大トルク:420Nm/1,900-4,500rpm
圧縮比:9.5:1
燃料タンク容量:64L

トランスミッション

駆動方式:後輪駆動
変速:7速

ホイール

19インチホイール(試乗車はオプションの20インチを装着)

車両本体価格(消費税込み)

9,044,000 円

まとめ

先般RJCカーオブザイヤーが決定しましたが、2016年はポルシェがインポート部門に初エントリーし、718ボクスターにもと期待がかかりました。惜しくも6ベスト入りはなりませんでしたが、個人的にはぜひともツインリンクもてぎの最終選考会でこのクルマの真価を体験してみたかった、というのが本音のところです。