【カワサキ W650】歴史のある空冷2気筒の新しい旧車の魅力

W650は、カワサキを語る上で欠かせないWシリーズの後継車です。ネオクラシックの異名を持つW650。決して過去のバイクを再現したのではなく、先代を踏襲しつつも新しい設計となっています。今回はそんなW650の魅力やスペック、中古車情報などをピックアップ! 気になる方は要チェック!

カワサキ W650とは?

W650の販売期間は1999~2008年

1998年に発表されたW650。販売開始は1999年です。ネオクラシックやネオレトロという表現をされることの多いW650。このモデルとなったのは、先代のW3(通称ダブサン)です。W3とは1973年に登場したOHV2気筒エンジンのネイキッドバイク。さらに元をたどっていくと、その起源はメグロ(目黒製作所】というバイクメーカーが製造したK1、K2(通称スタミナ)が1960年に登場し、目黒製作所はカワサキに吸収され、1973年にカワサキ車としてその後継車である650RS-W1(通称ダブワン)が発売されました。

そして先ほど紹介したW3となり、25年ぶりにその血を引き継いだW650が販売されるということになったのです。W650は、ネオクラシックと呼ばれますが、歴史を紐解けばその理由も少しはおわかりいただけたと思いますが、古い設計を基本としていることがデザインからも伝わるかと思います。

W650はエンジンも美しい

クラシックスタイルの外観は、誰が見ても美しく感じますが、W650の魅力はほかにもう一つ、それはエンジンです。クランクケースはWシリーズを彷彿させるデザインとなっていますが、エンジンのサイドにはなにやら真上に伸びるケース形状があります。

すでに気になっている方もおられると思いますが、これはベベルギアを用いてカムシャフトと、クランクシャフトを繋ぐ構造になっているためこのようになっているというわけです。これまでWシリーズではOHCエンジンでした。W650はというと、SOHCエンジンと新設計となっています。

一般的にはカムシャフトを採用するうえ、このような直立したシャフトドライブ形状にはなりません。しかもスタンダードな構造とはいえず、あえてマイナーな設計となっています。過去のWシリーズでも採用されていません。ではなぜこようなエンジンに仕上げたのかというと、答えは一つ「美しく仕上げたかったから」だそうです。このこだわりようは、カワサキらしいといえば理解もできますね!

ちなみに見た目はクラシックなエンジンですが、構造自体は新設計と、決して過去のWシリーズをトレースしたのではなく、新しいバイクであると、カワサキは主張しています。質感にこだわったW650は、スイッチボックスなど外装部品には、樹脂ではなく金属を採用するといった、妥協のないパーツ選びもW650の魅力の一つです。

W650は望まれぬバイクだった?

実はW650は、発売前にファンクラブにて、ネオクラシックバイクが欲しいですか? という内容のアンケートを実施。その結果、ほしいと答えた人数はたったの3%しかいなかったそうです。それどころか、そんなバイクはいいからスポーツバイクを作れ! と非難されたとか。それでもここまでこだわり抜いたW650。アンケート結果を無視する形で販売を強行しました。すると、見事に大ヒットとなったW650。販売前は頭を抱えていたであろう開発者たちもさぞ喜んだことだと思います。

W650のここがポイント!

空冷2気筒エンジン

W650がクラシックスタイルである証拠ともいえる部分です。冷却装置がなく、空冷のために長く伸びたフィンのエンジン。そして縦に伸びるシャフト(ハイポイドベベルギアシャフト)は、W650のチャームポイントとなり、美しさに美しさを重ねるようにデザインされています。W650では前述のとおり、美しさのためにマイナーな設計を選んだという、こだわりの塊です。

そんなエンジンからはレトロな「ドゥルドゥルドゥル……」という2気筒サウンドが、純正のキャブトンマフラーから奏でられます。ちなみにもう一つ雑学的ですが、W650は650ccではなく、実は675ccです。なぜ650あえて逆サバを読んでいるのかというと、Wシリーズにとって650という数字が特別な存在であるため、W650と名付けられました。先代の650W-1を再現したのではなく、新しい存在としていますが、先代への敬意を表しているということですね!

BSAやメグロから引き継がれるクラシックスタイル

メグロ K1

W650のどこか日本車離れしたスタイルの起源は、初代のメグロ K1にあります。このメグロ K1は、イギリスのバイクメーカー、BSAのA7をコピーしたバイクです。見比べてみるとかなりの精度で再現されていることがわかります。

BSA A7

このようにW650のデザインの元は、イギリス車となっています。誰の目に見てもおしゃれだなと感じるのは、そのためなのかもしれません。W650は、バイク好きや旧車好き、クラシックバイク好きはもちろん、バイクをおしゃれアイテムとして見ている層にも人気となっています。

W650の影響は大きい

W400(2006~2008年)

W650のその人気を裏付けるように、派生車種や後継車が存在します。その象徴的な一台がW400。普通バイク免許(中型バイク免許)でもW650に乗りたいライダーは数多く、それに応える形で登場したW400は、ショートストローク化によるダウンサイジングだけではなく、サスペンションの変更や薄いシートの採用により、シート高は抑えられています。

ショートストローク化によって、高回転型のエンジンとなり、W650とは性格が異なる(W650は低中回転型エンジン)のも特徴の一つです。その人気ぶりは予約待ちになるほどで、ホンダ CB400SF/CB400SBの売上台数を回るほどだったとか! W650の与えた影響がうかがえますね。

W800(2011~2016年)

W650は2008年に、厳しくなった自動車排ガス規制に対応できなくなり、生産を終了しましたが、その後継車として誕生したのがW800です。キャブレターだったW650から、低燃費化とクリーンな排気ガスにするためインジェクション化され、トルク感を求め排気量はアップしています。2016年にファイナルエディションが発売され、生産終了となりましたが、W650と同じように人気のある一台です。

カワサキ W650のスペックや価格は?

W650のスペック

全長:2,180mm
全幅:905mm
全高:1,140mm
ホイールベース:1,465mm
最小回転半径:2.7m
最低地上高:125mm
シート高:800mm
キャスター:27°
トレール:108mm
エンジン種類:空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ
総排気量:675cm3
内径×行程:72.0mm×83.0mm
圧縮比:8.6:1
最高出力:48PS/6,500rpm
最大トルク:5.5kgf・m/5,000rpm
始動方式:セルフ/キック
点火方式:電子進角式トランジスタ
潤滑方式:ウエットサンプ
エンジンオイル容量:3.0L
燃料供給方式:キャブレター
トランスミッション:常噛5段リターン
クラッチ:湿式多板
フレーム形式:ダブルクレードル
フロントタイヤサイズ:100/90-19M/C 57H
リアタイヤサイズ:130/80-18M/C 66H
フロントブレーキ:シングルディスク
リアブレーキ:ドラム
車両重量:211kg
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量:14L
乗車定員:2名
定地燃費(2名乗車):37.0km/L(60km/h)
新車価格:72万300円

W650で人気はキャンディバーントオレンジ

2007年に追加されたオレンジカラー。クラシカル感をさらに強調する絶妙でハイセンスなこのカラーは、W650で人気色となっています。

W650の空冷2気筒の排気音を聴く

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W650の排気音の動画です。

これが空冷2気筒エンジンのサウンドです。現行の2気筒エンジンモデルはいくつかありますが。水冷エンジンのため、このようなサウンドではなく少しこもったような音質になってしまいます。W650の排気音は、何十年も前のバイクと同じサウンドが楽しめるのが特徴です。マフラー交換によって、さらに音質を追求できます。

エンジン特性は低中回転型です。ゆっくりトコトコ排気音を楽しみ、風を感じながら走ることもW650の醍醐味となります。しかし、W650に乗ると、なぜか峠を攻めたくなる気持ちも覚えるかもしれません。W650にはそんな一面も持っています。絶対的スピード、運動性能はありません。しかし、ライダーを駆り立てるなにかかがこのW650というバイクにはあります。

W650はセル始動とキックスタートの両方を併せ持つ

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W650のキックスタート動画です。

W650はセル/キックのエンジン始動方法となっています。そのため気分によってキックスタートも楽しめるという魅力があります。確かにセルスタートは楽ですが、面白味に欠ける一面も。キックスタートであれば、1発でかかるのか? という自分への挑戦や、蹴り出しと共に爆発が起こり、キックが軽くなると同時にエンジンが始動する、この一瞬が楽しみの一つとなります。

また、キックスタートしている姿がかっこよく感じませんか? 単車乗りなら憧れる儀式でもありますよね。クールに1発で始動したいところ。そのためには気温や湿度などを肌で感じ、エンジン始動の条件に合ったチョークの引き具合、アクセル操作を予測するところからW650を楽しんではいかがでしょうか?

W650の楽しみにスピードは無縁!

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カワサキのバイクといえば、乗り手を選ぶような硬派なイメージがありますが、W650では、肩肘張らずにライディングを楽しめます。メンテナンスや走り心地などどこをとっても、W650はカワサキ車に抵抗のある方にも安心できる車種です。走り味も、ついついかっ飛ばしてしまうようなものではなく、むしろゆっくりのスピードが楽しいと思えるバイクとなっています。

エンジンパワーも十分あり、ゆとりが持てるような、大人の走り方がピッタリなW650。ファッション感覚でこのバイクに乗りたい方も、ツーリングなど、バイクとしての楽しみ方にも目覚めるような、目には見ないハンドリングやエンジンフィーリングにも注目したいところです。W650に興味を持った方は、限られた時間内での試乗ではなく、レンタルバイクなどでじっくり堪能してください。きっとそのよさがおわかりいただけると思います。

カワサキ W650の中古車情報

W650は故障の心配がない!

カワサキ車といえば、オイル漏れが当たり前、という話を聞いたことがある方や、実際にカワサキ車のオイル漏れを経験した方もおられるかもしれません。しかしW650ではオイル漏れはほぼ皆無といってもいいレベルです。さらに目立った故障もありません。エンジンもとても丈夫なので、中古車選びの難易度としてはとてもイージーです。

多少走行距離が伸びているW650であっても、気に入れば購入するのもおすすめします。一般的には走行距離が増えるとエンジン内部の消耗により、出力が低下する傾向がありますが、激しいスポーツ走行をするような車種ではないので、それも気にしなくてもOKです。

W650の中古車相場は33~78万円

車両価格: 64万8,000円(消費税込)

大ヒットしたW650。そのおかげで中古車流通量は多く、選びたい放題といったところです。さらに、ファッションバイク的に乗られることが多かったせいか、サビなどの手入れもきちんと行き渡っているW650ばかりとなっています。W650にとって40万円までは低価格帯となっていますが、走行距離は15,000~70,000kmと幅はありますが、どれも程度はいいようです。

50万円までは、走行距離15,000~40,000km付近で、ノーマル車やマフラー交換車、シート、ハンドル、キャブレターなど、手の入ったカスタム車も混在しています。60万円まではノーマルが中心で走行距離5,000~15,000kmと特に程度のいいW650が中心です。60万円以上は、走行距離がごくわずかな新車並のクオリティとなっています。なかにはチョッパースタイルのフルコンプリート車なども混在しており、文句のつけようのない極上車ばかりです。

カワサキ W650のカスタム情報

W650にはサイドバッグがお似合い

キジマ(Kijima) バッグサポート 左側 W400/650/800 210-475

¥3,622

販売サイトへ

W650でよく見るカスタムが、サイドバッグだと思います。サイドバッグを取り付けるにはまず、サイドバッグサポートが必要です。これを付けないとバッグがリアタイヤに擦れて破れたり、巻き込んだりと危険が生じます。逆にいえばサイドバッグサポートを取り付けてしまえばあとは自由です。バイク用のバッグはもちろん、ファッションアイテムのバッグでも、サイズが合えば取り付けられます。

旧車レトロなウインドシールド

旭風防 ウインドシールド [W650] [品番] No99MINI

¥6,039

販売サイトへ

レトロなデザインのW650には、レトロなアイテムがよく似合います。旭風防もそのうちの一つです。ネイキッドスタイルなので、走行風が直撃しますが、旭風防を取り付けることで走行風を抑え、ドレスアップもできます。

リアサスペンションを強化してシャキッとしたハンドリングを

SP武川 リヤショックアブソーバー W650/W800 06-04-0042

¥48,665

販売サイトへ

純正サスペンションは乗り心地がいいのですが、一部ユーザーには、フワフワし過ぎていると感じる方もいるようです。それを解消するために、強化サスペンションがおすすめ。硬くシャキッとしたリアサスペンションに交換することで、無駄な動きを抑制し、コーナリングを安定させます。

カワサキ W650のインプレと評価は?

W650の実燃費は23~30km/Lくらい

とにかく燃費のいいW650。市街地走行では23~25km/Lくらい、高速道路では25~30km/Lと燃費は上々です。さらに乗りやすい、扱いやすい車体も相まって、普段使いにW650を利用するライダーさんも多く見られます。ちなみにスポーツ走行をするとさすがに20km/Lは切るそうですが、それでも低燃費であることに違いはありません!

心地のいいエンジン

エンジン性能についてはパワーのみの評価です。2気筒にありがちな低速でのギクシャク感はなく、フラットな乗り味には満足しています。時速70キロ弱から発生する鼓動と軽い排気音はそれまで乗っていたW1とはまったく違うもの。これはこれで良いんじゃないかと思います。

出典:www.goobike.com

W650のレビューで多いのが、エンジンフィーリングのよさです。街乗りではパワフル過ぎても、非力でも乗りにくものですが、W650のエンジンは滑らかでフラットな乗り味が好評となっています。ただし、高速道路などで100km/h以上出すと振動が強く、手がしびれるなどのコメントも。そんなときは重いバーエンド、柔らかく厚みのあるグリップに厚みのあるグローブで、振動対策をおすすめします。

必要十分な性能! 最高速は180km/h以上

のんびり走るには最高です。SSみたいに暴力的な加速はしませんが、速度も180km/hは出ますし追い越しも楽々です。

出典:www.goobike.com

スピードを求めるようなバイクではありませんが、高速道路などの走行性能を測る上で、一つの基準として最高速度を知っておいて損はありません。どうやらW650は180km/h程度は出るようです。そう考えると高速道路ではたとえタンデムしても余裕がありそうですね。

カワサキ W650のまとめ

W650を語る上で欠かせない先代にもちらっと触れましたが、W650に興味がある方はぜひ、先代についても調べてみてください。W650の伝説はメグロから始まっています。先代を知ることでW650の凄さをさらに理解できるはずです。旧車に乗りたいけど、何かと敬遠しがちな方でも安心して、W650を楽しめると思います。