【ボルボ V40 試乗】スペックにあらわれない性能向上に加え、歩行者用エアバッグを標準装備!

2016年7月、ボルボV40のフェイスリフト(マイナーチェンジ)が行われました。大きく変わったのはヘッドライトがトールハンマー型LEDとなり、新内装を採用したこと、歩行者用エアバックを標準装備したことなどですが、スペックに表れない走行性能向上もあると聞きます。今回、試乗する機会がありましたので、そのへんのところを探ってみましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

ボルボV40とは?

V40 インスクリプション(photo by VOLVO CAR JAPAN)

V40はボルボの日本国内では販売台数の半分以上を占める主力車種です。同車は、国内では6月末までに26,974台を販売しています。登場してから3年ちょっと経つわけですが、その間にパワートレインはすべて新しいものに変わり、ディーゼルモデルも加わりました。今回、V40がマイナーチェンジ(フェイスリフト)したということで、試乗する機会を得ました。

ボルボのスタッフによると、「ボルボはひとつのクルマを長く作りますので、年次改良があります。ただ、どこを改良したというのが内部でも出ないんですけれども、実際に乗ってみるとずいぶん変わったなというのが多かったりしますね」ということで、今回の改良にも期待が持てます。

V40の変遷をざっと説明すると、2013年の導入から1年後に新インフォティメントを導入。また、その折にボルボの新パワートレインであるDrive-Eを採用したT5を導入をしています。シャシーは従来は「ダイナミック」というシャシーだったところを、「ツーリング」という"やわらかめ"のものに変えて、乗り心地の改善を図っています。

2015年7月にはD4というクリーンディーゼルを5車種に同時導入しています。さらに、その2か月後、従来のT4に変えて新型のDrive-Eパワートレイン、1.5リッター4気筒ターボ、T3を導入して投入し、エンジンをすべて一新という形になりました。そして今回のフェイスリフトという流れとなっています。

全車ヘッドライトをトールハンマーをイメージしたLEDに

トールハンマーをイメージしたLEDヘッドライトは標準装備となる。(photo by VOLVO CAR JAPAN)

外装でまず目を引くのはヘッドライトでしょう。LEDのヘッドライトで、T字型を横にしたトールハンマーをイメージしたものになっています。北欧神話に登場する雷神「トール」の持っているハンマーにインスパイヤーされたものだそうです。これはXC90に採用したものをV40にも拡大展開した形です。

トリム・レベル(グレード名称)は、エントリーグレードのキネティック、メイングレードのモメンタム、ラグジュアリーグレードのインスクリプション、スポーティグレードのR-デザインがあります。さらにSUVテイスト好む向きにはV40クロスカントリーが別展開されています。

ボディカラーは5つの新しいボディカラーを採用しています。そのうち4つが「ブルー」という名称がつけられていることからもわかるように青系が拡大しています。その中でも「アマゾンブルー」は60年代のボルボアマゾンP120に採用していたものです。当時はライトブルーと呼んでいましたが、レトロでありながらモダンなソリッドカラーとなっています。

その他、トリム・レベルによって、さまざまなデザイン上の相違点があって、フロントグリルも、キネティック/モメンタムは縦の格子の黒、インスクリプションは縦格子がクロームとなり、さらにバンパーの下にクロームの装飾も入ります。R-デザインはバンパーも専用形状でフロントグリルの格子も横になります。クロスカントリーも専用のバンパー。グリルは縦の格子に細かな装飾がほどこされています。

フロントのボルボのシンボルである「アイアン・マーク」は、XC90で採用したボルボの字の背景が黒になり、グリルの斜めラインとアイアン・マークの矢印が重なったもので、これもV40で拡大採用しました。

インテリアは「シティ・ウイーブ」を新採用

新たに設定されたシティ・ウイーブをあしらわれたシート。北欧らしさを醸し出している。(photo by VOLVO CAR JAPAN)

インテリアは、「シティ・ウイーブ」と呼ばれるモダンでありながらレトロさも感じさせる内装が新採用されました。これはテキスタイルとTテックよばれる生地のコンビシートとなります。ちなみにウイーブというのは、「織物を織る」という意味で、チェックのテキスタイルの柄の部分からインスパイアされてその名称がつけられ、北欧らしいデザインといえるでしょう。

ドアを開けると足元にあるスカッフプレートは、R-デザイン、インスクリプションは、それぞれ名称の入ったものを採用しています。

パワートレインは基本は変わらず。ガソリンとディーゼルの2種類をラインアップ

V40 Rデザインには、2.0リッター直噴ターボガソリンエンジンが搭載され、180kWの最高出力を発揮する。(photo by VOLVO CAR JAPAN)

パワートレイン自体は従来と変更はありません。T3系には、Drive-E 1.5リッター4気筒直噴ターボガソリンエンジン(最高出力112kW、最大トルク250Nm)に電子制御6速ATギヤトロニックの組み合わせ、D4系はDrive-E2.0リッター4気筒直噴ターボディーゼルエンジン(最高出力140kW、最大トルク400Nm)に電子制御式8速ATギヤトロニックの組み合わせ、T5系が、Drive-E2.0リッター4気筒直噴ターボガソリンエンジン(最高出力180kW、最大トルク350Nm)に電子制御式8速ATギヤトロニックの組み合わせになります。

V40とV40クロスカントリーの違いはT5がFFか4駆かというところです。パワートレインに関して、ボルボのスタッフによると「基本的には何も変更点はないと聞いておりますが、あきらかに前モデルとくらべてスムーズになり、かつ静かになっております」ということでした。

V40 T5 クロスカントリー(photo by VOLVO CAR JAPAN)

ディーゼルターボは力強い加速力。足も適度に引き締まった感じに

V40インスクリプション(photo by VOLVO CAR JAPAN)

まず、今回もほんの15分程度の試乗だったことをお断りしておきます。試乗したのはV40 D4 INSCRIPTION(インスクリプション)ということで、ターボディーゼルに8速ATという個人的に一番興味があるトリム・レベルとなります。シートベルトをしてシートポジションを合わせて、エンジンを始動するとそれなりにディーゼルっぽさを感じさせながらアイドリングします。シフトセレクターをDの位置に入れてアクセルを踏み込み発進します。残念ながらマイナーチェンジ前のV40には乗っていないために、比較することができないのですが、動き出しの乗り心地の感じは、最近乗った欧州車の中では比較的マイルドな印象でした。

ただ、これはソフトという意味ではなく、国産車で乗り心地が良いというものに比べれば、硬い部類に入ると思います。このV40では、しっかりサスペンションが動いているという感じもあり、それがマイルドさにつながっているのかもしれません。この辺はボディ剛性の高さも効いてくる部分でしょう。ステアリングの操舵感も基本軽めですが違和感のないものでした。

ちょっと前方が空いたのを確認してからアクセルを深めに踏み込みます。この辺は400Nmのトルク感があふれるもので、D4のディーゼルターボの真骨頂が発揮できる部分だと思います。8速ATは、わりと早めのタイミングでポンポンとシフトアップしていく感覚ですが、加速感は「途切れることなく一直線」という感じでした。比較的高回転まで回してしまった方がディーゼルエンジンを感じさせないユニットなのかもしれません。また踏めば踏んだだけ反応してくれるレスポンスの良さを感じました。

ブレーキに関しても、私は特に問題ないように感じたのですが、同乗したジャーナリストは「ちょっとカックンブレーキになりやすい」というような意見を持ったようで、このへんは個人的な感じ方の違いがあるかもしれません。

一般道なので、コーナリング時のフィーリングまで分かるところまで攻められなかったのですが、普通に流すぶんには素直な安定感が感じられました。乗り心地は走り出しのイメージそのままで、基本的にはややマイルドかなという印象。個人的にはもう少し固めてもいい気はしましたが、ワゴンという性格上、これでいいのかなと思いました。これがシャシーの見えざる進化の結果だとすれば、狙い通りなのかもしれません。

主要諸元

V40 D4 INSCRIPTION(今回の試乗車)

車名・型式

ボルボLDA-MD4204T

寸法・重量

全長:4,370mm
全幅:1,800mm
全高:1,440mm
ホイールベース:2,645mm
トレッド(前/後):1,545mm/1,535mm
最低地上高:135mm
車両重量:1,540kg
車両総重量:1,815kg
定員:5名

エンジン

種類:インタークーラー付きターボチャージャー、DOHC水冷直列4気筒16バルブ、[ディーゼル]、横置き
型式:D4204T(ターボ付)
内径×行程:82.0×93.2mm
総排気量:1,968cc
圧縮比:15.8
燃料供給装置:電子燃料噴射式
最高出力:140kW(190PS)/4,250rpm
最大トルク:400Nm(40.8kg・m)/1,750−2,500rpm
使用燃料/燃料タンク容量:軽油/62L

トランスミッション

電子制御前進8速AT(ロックアップ機構付き)ギアトロニック

駆動方式

前2輪駆動式

ステアリング

ハンドル位置:右
方式:パワーアシスト付ラック&ピニオン
スプリット・ステアリングコラム
ロックトゥーロック:2.6回転
最小回転半径:5.5m

サスペンション

フロント:マクファーソンストラット式
リヤ:マルチリンク式

ブレーキ

パワーアシスト付4輪ディスクブレーキ

タイヤ・ホイール

タイヤ:スチールラジアルタイヤ(225/45R17)
ホイール:アルミ合金 7.5J-17

まとめ

ボルボで忘れてはいけないのが「安全性」です。3点式シートベルトを世界ではじめて標準装備したボルボということで、今回も安全性という意味で大きな一歩を踏み出しました。それは歩行者用エアバッグの標準装備です。これはボルボが世界ではじめて2012年にV40で採用したもので、従来は約6万円のオプション装備となっていました。

今回のマイナーチェンジで標準装備しとし、より安全性を高めています。構造としては、フロントバンパーの中にセンサーが入っており、それに人間の足が当たったと感知するとエアバッグが展開。まずボンネットとエンジンの間にスペースを作り、その後、人が乗り上げた場合に重症化する可能性が高いAピラーとワイパーブレードのまわりを囲むようにエアバッグが展開するというもの。「安全性の高さ」というボルボの哲学は脈々と受け継がれています。

気になる? 価格ですが、V40が3,390,000円(T3 キネティック)~4,550,000円(T5 R-デザイン)、V40クロスカントリーが3,540,000円(T3 キネティック)~4,590,000円(T5 AWDモメンタム/サマム)となっています。

V40モメンタム(photo by VOLVO CAR JAPAN)