【日産 GT-R NISMO 2017】大口径ターボでさらにパワフルに。サスペンションもNISMO専用!

日本を代表するハイパフォーマンスカーが日産GT-Rであることに異論はないところだと思います。どこまで過激になるのか? が話題になるクルマでもありますが、2016年8月25日にGT-Rの中でももっとも過激といえる「GT-R NISMO 」の2017が発売されました。その概要と標準のGT-Rとの違いを見ていきましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

日産のモータースポーツ活動を支えてきた「NISMO」が手掛けたGT-R

photo by nissan

日産自動車株式会社は2016年8月25日、「NISSAN GT-R NISMO」17年モデルの発売を開始しました。同車は、日産のモータースポーツ部門とも言えるNISMO(ニスモ)のレーシングテクノロジーの蓄積をフィードバックしており、いわば日産の「ファクトリーチューン」を施したフラッグシップモデルです。

ちなみにNISMOは「日産モータースポーツ」の略称で、古くは「大森ワークス」と呼ばれスカイラインGT-R(PGC10/KPGC10)などのツーリングカーのチューニングを行っていました。時代を下ってNISMOとなってからはR32GT-Rなどを手掛ける時代を経て、現代でも日産のモータースポーツを支えています。日産のみならず日本のモータースポーツの歴史を作ってきたレーシングファクトリーと言えます。

バンパーはカーボン製。強度と空力性能を向上する役割を持つ!

photo by nissan

先般「NISSAN GT-R」17年モデルが発表されていますが、「NISSAN GT-R NISMO」17年モデルもそれと同様に新形状のフロントバンパーを採用しています。NISMO専用のカーボンファイバー製フロントバンパーで、成形にあたっては、カーボンファイバーシートを幾層にも重ねて強度を確保すると同時に精巧に作り上げたとしています。カナード形状としたことで、ホイールハウス周辺の空気を吸引し、効率的にダウンフォースを生じさせるものとなっています。

フロントグリルは、日産ブランドのデザインシグネチャーであるVモーションを採用し、ダーククローム仕上げを施し、開口部の拡大によりエンジンの冷却性能を向上させるなどの工夫もなされています。

エンジンフードの剛性もアップしました。超高速域になるとエンジンフードの変形は見逃せません。これを抑えることも空力性能の向上に一役買っています。これらの改良により「NISSAN GT-R NISMO」はこれまでの日産車の中で最大のダウンフォースと、超高速域での優れた安定性を実現したとしています。

NISMO専用のレザー仕様のレカロ製カーボンバケットシートを採用

ナビディスプレイ(7インチから8インチに拡大)や大型のアイコンを採用することで視認性を向上させ、センターコンソール上にマルチファンクションスイッチを設けることにより、ナビの機能を手元で操作することが可能とするなど、一般走行での機能性をアップさせています。

パドルシフトは、ステアリングホイール固定タイプとされました。こうすることにより、ドライバーが手を放すことなくシフトチェンジする操舵角領域を増やしたわけです。これは、どうしてもステアリングホイールと一緒になると大舵角時に使いづらい面があるので、スポーツカーにはこの形式が適していると思います。この辺は標準のGT-Rに準じている部分です。


NISMO専用装備として、新デザインのダッシュボードの上層部、ステアリングホイール、センターアームレストには、高品質のアルカンターラレザーを使用したことがあげられます。加えて赤のアルカンターラを中央部分に使用した、NISMO専用のレザー仕様のレカロ製カーボンバケットシートを採用したのは、スポーツ走行では有効と言えるでしょう。

高流入、大口径のターボによりエンジンを武装。組み上げは匠の手で繊細に!

「NISSAN GT-R NISMO」に搭載されているのはVR38DETTエンジン。6速デュアルクラッチトランスミッションとともに、NISMO専用のチューニングが施されています。具体的には、GT3選手権で使用する高流量、大口径のターボチャージャーを搭載。本体も熟練した匠が専用のクリーンルームで一台一台精巧に組み立てるというこだわり様です。エンジンのフロント部分に取り付けられたアルミプレートには「匠」の名前が刻まれています。

「Bilstein DampTronic」もNISMO専用にリセッティング。路面への追従性をアップ!

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これは標準モデルと同様ですがボディ剛性の向上による効果が大きい部分です。これにより、ショックアブソーバー・スプリング・スタビライザーといった主要パーツの徹底したセットアップが可能となり、接地性、しなやかで正確に動くサスペンションを実現に貢献しています。

モード設定型電子制御式ショックアブソーバー「Bilstein DampTronic」の効果も見逃せません。これは複数の車両情報システムを活用することで、路面状況や走行条件に対して適切なサスペンションの減衰力と、様々なドライビングシーンに応じた高レベルのコントロールを可能にしています。これは標準のGTRにも装着されていますが、ここでもNISMO専用の特別なチューニングを施し、向上したパワーを更にしっかりと路面に伝える改良が施されています。

新型「NISSAN GT-R NISMO」は全体のバランスを今までより更に向上し、コーナーの多い山道でも、サーキットでのレース走行と同じように力強い走りを楽しめるクルマへと深化を遂げています。

主要諸元

寸法

全長:4,690mm
全幅:1,895mm
全高:1,370mm
ホイールベース:2,780mm
トレッド(前/後):1,600mm/1.600mm
最低地上高:110mm

エンジン

型式:VR38DETT[NISMO専用チューニング]
種類・シリンダー数:DOHC・V型6気筒
ボア×ストローク:95.5×88.4mm
総排気量:3,799cc
圧縮比:9.0
最高出力:441kW(600ps)/6,800rpm
最大トルク:652Nm(66.5kgf-m)/3,600-5,600rpm
燃料供給装置:ニッサンEGI(ECCS)電子制御燃料噴射装置
使用燃料・タンク容量:無鉛プレミアムガソリン・74L

重量・定員

車両重量:1,740kg
乗車定員:4(2+2)名
車両総重量:1,960kg

性能

最小回転半径:5.7m
主要燃費向上対策:可変バルブタイミング

諸装置

駆動方式:4輪駆動
ステアリングギヤ形式:電子制御パワーアシスト付ラック&ピニオン式
サスペンション(前/後):独立懸架ダブルウィッシュボーン式/独立懸架マルチリンク式
主ブレーキ(前/後): ベンチレーテッドディスク式/ベンチレーテッドディスク式
タイヤ(前/後):255/40ZRF20(97Y)/285/35ZRF20(100Y)

まとめ

2016年7月11日に「日産GT-R」17モデルが発売されて、ほど1か月半でNISMOの登場となりました。正直、標準モデルでも十分(419kw(570ps)/6,800rpm、最大トルク637Nm(65.0kgf-m)/3,300-5,800rpm)と思っていたわけですが、それがさらにパワーアップして登場してきたわけです。価格は18,700,200円となっており、先般発表されたホンダNSXの二千万円超えに比べるとリーズナブルにも思えます。ただ、こうした「欲しいものはなんでもあり」の足し算のクルマを見ると、(多少乗り手を選んでも)、パワートレイン、ボディ、サスペンションの性能をシンプルに追求した「引き算のクルマ」を求めてしまうのは、古い考え方なのかもしれません。