【スバル エクシーガ】EJ20搭載モデルの魅力から新型次期エクシーガ予想まで一挙網羅

スバルにとっての唯一、日本向け7シーターであるエクシーガですが、単なるミニバンと思っていませんか? インプレッサSTIやレガシィにも搭載された名器EJ20搭載のモデルから、クロスオーバー7に至るまでの歴史とあわせて、次期エクシーガについての大胆予想までご紹介します。

スバル エクシーガとは?

エクシーガ誕生までのスバル 7シーターの流れ

かつてスバルにはドミンゴという車種以外に7人乗りが存在していませんでした。とは言え、ドミンゴはサンバーがベースとなったキャブオーバーの1BOXで、商用・キャンピング向けのカテゴリにあたります。

そして2代目レガシィがツーリングワゴンとともに大ヒットした1995年、スバルは東京モーターショーで「アルファ・エクシーガ」という名の3列シート未来型ワゴンのコンセプトを発表しました。

今思えばこれがエクシーガの始祖たる存在だったかも知れません。

しかし、コンセプトモデルの示すような明るい未来像とは裏腹に、現実は残酷でした。

苦悩のスバル WRC撤退後に変わる経営戦略

2000年、バブル崩壊の余波で、日産から米ゼネラル・モーターズ(以下、GM)へ株式が売却されました。続く2005年、今度はGMの業績不振によって、再び株式は売却され、結果トヨタ傘下へと収まります。直後のリーマンショックも相まって2008年12月、スバルはWRCのワークス撤退を発表します。

当時の森郁夫社長が行った涙の記者会見映像は、異例にも欧州8カ国語で放送される前代未聞のニュースにまで発展しました。

翌2009年に発売されたBM/BR型5代目レガシィは復権のため北米向けにシフト。内装に至ってはコストカットが露骨に見え、当時のスバルの惨状を物語る代になってしまいました。

このような時代背景をもとに、スバルの7シーター開発は難産に見舞われました。

2001年 オペル ザフィーラのOEM供給 トラヴィックを販売

GMと提携していた2001年、スバルはオペルからOEM供給を受けることになりました。それが7人乗りヴィークルのザフィーラです。国内ではスバル トラヴィックとして販売されました。

足回りはスバルがチューニングし、走れるミニバンとして試乗でも高い評価を得たのは事実です。GMタイ工場で生産したおかげもあってか、登場時198万円からと、嬉しいプライス設定でした。

さりとて、スバリストにとってこれはスバル車ではありません。

結果、販売は不振。

2.2L 直列4気筒エンジンだけでなくインテリアも欧州然とした雰囲気に、新規ユーザー獲得とはなったものの多くのファンからは敬遠されました。2005年 本家ザフィーラの販売終了とともに姿を消すこととなります。

写真は2003年 スバル トラヴィック Aパッケージ

2005年 米国向けに7シーターSUV B9 トライベッカ発売

米国向けのクロスオーバーSUVとして、B9 トライベッカが販売されました。プラットフォームとエンジンはレガシィをもとに設計された5ドアですが、2列5シートと3列7シートから選べました。

ドアミラーにはBL/BP型4代目レガシィの流用が見受けられます。

2006年には豪州や英国用の右ハンドル仕様も製造したため日本にやってくるのでは! と言われていましたが急激な為替変動に加え、日本での販売市場規模を鑑みて断念されました。

写真は初期型スプレッドウイングスグリルのB9 トライベッカ

このスプレッドウイングスグリルを採用したのは、軽自動車のR2から始まり、R1、2代目インプレッサE型、そしてこのB9 トライベッカまででした。

変化を試みたスバルの苦悩が垣間見えます。

2008年 日本向け7シーター エクシーガ デビュー

2007年の東京モーターショー。「スバルと言えばワゴンだろう」と、期待とノウハウが詰まったワゴンボディに3列シートを詰め込んだ「エクシーガ コンセプト」が発表されました。

これをもとに翌2008年、スバル エクシーガとして正式にデビューしました。奇しくもWRC撤退となった年にファミリーユースの新車種を投入。

ワゴンで7人乗りという新しい試みはファミリー層を取り込み、ドライビングの評価はすこぶる高く、2008年の第29回 日本カー・オブ・ザ・イヤーでは特別賞 MOST FUNを受賞するに至っています。

見た目は「肥えたレガシィ」と言われ、居住空間を優先した設計になっています。4枚のドアはほぼ垂直に切り立っており、3列目に大人が座ることもできるよう室内高も確保しています。

月販目標台数は2,300台とされ、レヴォーグの3,200台と大差ない設定でした。以降、スバルの儀礼に則って1年ごとの年次改良を施されます。

写真はスバル エクシーガ 2.5i

スバル エクシーガの評価

六連星ゆえのこだわりでしょうか、デビュー当初から「ミニバン」とは呼称せず、「7シーターパノラマツーリングカー」と名付けられていました。スバルにミニバンは相応しくない、そんな心意気は設計にも走りにも表れます。

アルシオーネ以来の樹脂燃料タンクを採用したため、床下をフラットに設計。シートは後方に行くほど着座位置が高くなるシアターレイアウトでどの席からも開放感が得られます。

足回りも洗練されていて、後から天井がゆれ動くような挙動も皆無で、路面からの入力ピークは丸く、ストロークでいなしてくれる所に評価のポイントが集まりました。

エクシーガの断面図。2列目、3列目に行くほど座面が高くなるシアターレイアウト。

WRCが育てたEJ20搭載の走る7シーター

スバルを象徴するうえで欠かせない水平対向エンジンですが、エクシーガの2.0Lに選択されたのはレースシーンでも使われたEJ20型でした。特にターボエンジン車はトルク重視に再セッティングされ、5速ATとAWDとの組み合わせは、スバルの走りを思う存分味わえます。

2.5L車はEJ25型から、2012年のEタイプ以降FB型に換装されています。

また、2009年には300台限定の2.0GT tuned by STIも発売。走行距離5万kmに満たない未修復車は、今も250万前後と値崩れしないレア車種となっています。

2.0GT tuned by STIの中古車情報

スバル エクシーガ クロスオーバー7の登場

7人乗りオールロード4WDへ

エクシーガの登場から7年が経過してH型となった2015年。本来ならフルモデルチェンジするところを、インプレッサ XVに倣ってSUVタイプにボディチェンジしました。それがクロスオーバー7です。

時期を同じくしてスバルのオフィシャルサイトでは「エクシーガは販売店のみの扱い」としてノーマル版エクシーガは実質の生産終了を告げられました。販売台数に陰りの見えたエクシーガに対する延命措置が、このクロスオーバー7だったと言えます。

そうは言ってもさすがスバル。外観は大きく変貌を遂げます。フロントグリルは大型の逆六角形として、フェンダーモールも装着、最低地上高を上げてSUVの力強さを表現。コの字型のLEDデイライトでアイデンティティも兼ね備えました。

写真は2015年登場のエクシーガ クロスオーバー7

内装も雰囲気を一新しました。タンカラーでまとめられた色相でアクティブな若い家族層に訴求しています。エクシーガ登場直後の地味な風貌を払拭してきました。これも元気なスバルならではのアイデアだと痛感します。

6代目レガシィと同じFB25型の2.5L水平対向エンジンにCVTの組み合わせは重さを感じさせず、アイドリングストップも付くエコロジー仕様です。

写真はクロスオーバー7の断面図。タンカラーの内装色が新鮮です。

スペック・仕様諸元

エクシーガ

全長4,740mm 全幅1,775mm 全高 1,660mm ホイールベース 2,750mm 車重1,480 - 1,590kg

エンジンはいずれもEJ20型を搭載しており、エクシーガ用にトルク重視のチューニングとなっています。2.0LDOHC AVCS NAエンジン 最高出力148ps、最大トルク19.5kg-m には4速AT、同ターボエンジン 最高出力225ps、最大トルク33.2kg-m は5速ATとの組み合わせで、MT設定はありません。

スタイリングはあくまでレガシィの系譜というデザインで、Aピラー以外を全てブラックアウト。
NAもターボもEJ20で、今やWRX STiにしか搭載されていない高回転型フラット4を積んでいます。
エキゾーストも不等長で、あのドロドロ音が聞けます。

2.0i 199万5000円(FF)/215万2500円(4WD)
2.0i-L 220万5000円(FF)/236万2500円(4WD)
2.0i-S 233万1000円(FF)/248万8500円(4WD)
2.0GT 278万2500円(4WD)

エクシーガ クロスオーバー7

全長4,780mm 全幅1,800mm 全高1,670mm ホイールベース 2,750mm 車重 1,620kg

2015年 H型ベースのエクシーガは、7人乗りワゴンから7人乗りSUVに転身。新世代のFB25型とCVTのみと潔く、2.5i EyeSightのモノグレード展開に絞られました。

サスペンションを新開発して4WDのみの設定、標準装備は、EyeSight ver.2、SRSサイドエアバッグ&サードシート対応SRSカーテンエアバッグ、フロント8Wayパワーシート、シートヒーターなど近代スバルセーフティに合わせてきたのが特徴です。

燃費性能

2WDのFF車10・15モード燃費は14.0km/L、4WD車が13.0km/Lです。実燃費では、iモードの下道走行で8~9km/L、高速巡航で13~14km/Lと言われています。

4WDターボの燃費は、高出力なレガシィやインプレッサWRXより幾分 低燃費という印象でしょうか。クロスオーバー7のJC08モード燃費は13.2km/Lです。

エクシーガ 2.0GT 4WD 実燃費

次期 新型エクシーガが登場!?

スバル エクシーガの登場から8年目。そろそろ次期エクシーガへのフルモデルチェンジの声が聞こえてきそうなタイミングです。

8年前と確実に異なるのは、2012年以降スバルの年間販売台数は右肩上がりであることです。2015年には過去最高の91万台を記録して、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。成功の最大の要因は、アメリカでの大躍進で、レガシィやインプレッサ、フォレスターがグローバルモデルとなったのもアメリカ市場に攻勢をかけるためでした。

2014年の暮れから、「売るクルマが足りない」という嬉しい悲鳴があがるほどで、日欧で生産した車種もアメリカへ輸出していたため、納車3ヶ月待ちになった時期もありました。

そんな潤ったスバルが次に行ったのが日本向けのレヴォーグ、WRXの相次ぐリリースです。好業績は潤沢な資金と新モデルへの開発へと還元されていきます。

そこへ来てエクシーガです。果たして新型エクシーガの登場があり得るかについて考察しています。

フルモデルチェンジについて

結論から言ってしまうと「次の7シーター」の構想はゼロではなく、近い将来登場する可能性があります。ただし、それがワゴンスタイルのエクシーガなのか、SUVのような別車種となるのかは定かではありません。

その理由はスバルの中長期計画「際立とう2020」の内容から見て取れます。

理由その1.全車種で共有できるグローバルプラットフォームの存在

2016年フルモデルチェンジのインプレッサから投入される新型プラットフォームの特徴は、高剛性でEV車にも流用でき、インプレッサからレガシィまで共有できるところにあります。

コストダウンが目的というよりも、他社とのプラットフォーム共有化を避けたいスバルの狼煙にも感じられます。

メリットも大きく、シャシー設計を統一化することでサスペンションの取付剛性があがり操縦安定性が向上。車種によってホイールベース長も調整できるとのことです。

これによって車種開発がスピードアップ、新車投入のしやすい環境が整ったことがあげられます。

写真はスバル グローバルプラットフォーム、通称SGPの骨格

ここ数年では珍しく、スバルはこの時シャシーのみの発表会を開催しました。トヨタや日産ですらここまでしない骨格のアピールをしたところに「走る愉しさ」を訴求しようとするスバルの姿勢が伺い知れます。

理由その2.中期計画「際立とう2020」の存在

スバルの2014年からの中期計画「際立とう2020」の発表の中に次の3点があります。

「強みであるXUV・SUVセグメントを中心にラインアップを強化」「主力車種FMC、新商品を間断なく投入」「STIブランドの活用拡大、環境対応商品も順次展開」

現に2016年インプレッサから始まり、フォレスター、レヴォーグ、レガシィを毎年フルモデルチェンジさせて、合間に新車種の投入を宣言しています。

例えば2016年インプレッサ、2017年フォレスターと来ますが、この2017年から2019年ごろを目処に新車が投入されるのではないでしょうか。

ちなみに北米では、2016年後半を目処に北米専用の新型SUVのデビューを示唆しています。加えて2020年、北米60万台、中国12万台の販売目標も掲げています。このように並べると、グローバル展開ではセダンを軸に、主戦場をSUVにシフトしていくのではないかと予想されます。

写真はSGP第1弾、2016年発売の新型インプレッサ

問題はSUVかワゴンスタイルか

スクープ画像がないため、現状でのボディスタイルも定かではありません。ひとつ言えるとすると、上記の理由から、ホンダ フリードのような乗用コンパクト7シーターやミニバンを作る可能性が最も低いという点です。

スバリストが認めるスバル車となれば、考えられるのはエクシーガ同様のワゴンスタイル7シーターか、フォレスターのようなSUVスタイルです。

エクシーガという車名を継承するならワゴンスタイル、SUV7シーターとして登場するなら車名も改めることが考えられます。いずれにしろ、グローバルプラットフォームを採用しての登場となるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

スバル エクシーガとその次期モデルについてのご紹介・考察でした。エクシーガをミニバンと呼ばなかったのは、安全と愉しさを併合するスバルならではだと感じます。

国内で走る愉しさを打ち出すメーカーは、マツダ、スバルなど一部メーカーや、わずかな車種に限られています。それゆえライバルも少なく、スバルにとって多人数乗りのクルマはエクシーガで終わらせないように感じます。

エクシーガであるにせよそうでないにせよ、新たなダイナミック・ソリッドのデザイン戦略で生まれ変わってくれることを期待します。恐らくその時には、名器EJ20エンジンは見送られるでしょう。FB型ないしFA型の新世代ボクサーやハイブリッドモデルで、燃費や環境面も訴求しなければならないのは明白です。

もしもエンジンごと7シーターを楽しみたいとなれば、クロスオーバー7になる前のエクシーガを中古で見つけてご堪能してみるのも一計ではないでしょうか。

中古市場に2.0GT tuned by STIがあれば一度試乗してみてください。古き良きスバルを存分に味わえること請け合いです。