ファミリア世代のスポーツクーペ。マツダランティス

1993年7月マツダからランティス(LANTIS)という車が登場しました。当時ファミリアのクーペを乗っていた世代に対して、スポ-ティさを残しながら、家族4人でも十分な空間とそれでいて収納力、走りの良さをグレードアップしたセダンとして発売されました。今回はこのランティスの魅力をご紹介していきたいと思います。

ランティスの概要

ランティス(LANTIS)は1993年年にマツダのミドルクラスクーペ/セダンとして「THE SPORTS BODY研ぎ澄まされた走りのボディ」をコンセプトにして開発されました。
ボディは4ドアクーペなのですが、実際には5ドアハッチバックになる形と4ドアハードトップと呼ばれていた4ドアセダンの2タイプになります。
エンジンはV6の24バルブDOHC2,000㏄(170馬力)と1,800㏄のDOHC(135馬力)の2タイプが用意されていました。
当時の安全装置としては標準的なエアバッグ、4-ABS、ハイマウントストップランプが標準装備されていました.
実はあまり世間には知られていないのですが、特筆すべきは衝撃吸収ボデイが1996年度の新基準に合格した第1号車であったということです。

ランティスのボディについて

ランティスのボディは前述の通り2種類あります。このボディから出てくる言葉は”流麗”。
まずは4ドアクーペですが、これは本当は5ドアのハッチバックに属するものです。ですがマツダはスポーツ感を出すためにクーペと言い切っています。これがマツダらしいところです。実はこの形この前提の車となった「アスティナ」にそっくりです。アスティナを少し大きくしてヘッドライト周りをモデルチェンジした感じです。
実はランティスは輸出用の名前は未だアスティナなのです。
もう一つの4ドアセダンはセダンとしてはかなり斬新なデザインをしています。完全にスポーティなスポーティなヨーロピアンテイストです。まさしくエレガントでスポーティなボディをしています。
ランティスのボディは美しいだけでなく、剛性が筋肉質なことでも評価を受けていました。当時の「衝突安全基準クリア国産第1号車」だったのです。この剛性がこの車の直進での安定感。ロールのしにくさ、きびきびとした挙動に影響しているのだと思われます。

出典:http://homepage1.nifty.com/~takaot/lantis/index.html

この車のヘッドランプは実は明るさより、デザインを重視した結果なのだそうです。実際に若干ヘッドライトは暗めだそうです。
ちなみにこの車の前提となった車はリトラクタブルのヘッドランプでした。
実際にランティスのの設計者が「ボディ側面への写り込みは、世界一美しい車」と言わしめたのも納得できます。

出典:http://homepage1.nifty.com/~takaot/lantis/index.html

これがクーペタイプの後ろから見た画像です。タイヤにも注目していただきたいのですが、かなり太いタイヤを標準で履いています。スポーティで大地をつかむような走りはこのタイヤも影響しているのかもしれません。(205ミリ)そしてこのグリーンのカラーはランティスのフラッグシップとなったカラーで実に美しいカラーになっています。

エンジンの性能

1,800cc 直4、16バルブのBP-ZE型エンジンは、この車の標準形ともいえるエンジンで、デザインのスポーティさとマッチングするようなエンジンで常に最適なトルクを取り出すことのできる可変慣性吸気システムを搭載し、シーケンシャル・フューエルインジェクションも採用しております。このエンジンなら街中でも使いやすいような設計がなされていて、好評なエンジンでしたであったのもうなずけます。パワフルでもなく、ピーキーでもなく自然な加速感で実に乗りやすいエンジンに仕上がっております。
フラッグシップ・モデルの2,000cc V6、24バルブのKF-ZE型エンジンはどちらかと言えば力強さ、官能的な仕様のエンジンでハイオクガソリン仕様です。自然吸気エンジンの中ではかなり癖の強いエンジンに仕上がっており、パワーを十分に発揮できるエンジンになっております。
のちにKFエンジンの1,800ccタイプは160馬力から170馬力へと出力増を実現しており、非常にランティスと相性が良く、このエンジンがランティスの評価を押し上げるものとなりました。
ちなみに某雑誌社の企画で0-400mでの16秒という記録は当時の2L自然吸気エンジン車としては再高新記録をマークしたほどであるらしいです。

出典:http://www011.upp.so-net.ne.jp/h2d/lantis_museum/about_mazda_lantis.html

ランティスの1,800cc型のエンジン。スポーティなな走りも街中の走りもこなす非常にバランスの良いエンジンです。

ランティスのサスペンションについて

ランティスのサスペンションははっきり言って硬めにチューニングされています。ハンドリングもスポーティで遊びがあまりありません。
そのためこのサスペンションはなかなかロールのしにくい、しっかりとした感じのある仕様になっています。一部の人の間ではもう少ししなやかな感じがあったらいいのにとの意見も当時ではかなり聞きました。ただ、これがこの車の個性でありスポーティな味を出してくれていると思います。ですからセダンだと言って他の大手メーカーの車に乗った感じとは大違いな感覚です。これを乗り心地が悪いととらえるか、スポーツセダンの乗り心地と捉えるかは個人の自由です。
カタログによれば、リア・ロングラテラルリンク式ストラットサスペンションと呼ぶらしく、サスペンションの使命であるどんな状況下においても路面に対してタイヤを垂直に接することを第一信条とした味付けにより、タイヤの接地性を極めています。
これにより、コーナーの安定性や段差でのサスの伸び縮みによる、タイヤの接地角度の変化を最小限に抑えています。カタログの言葉を借りれば”フラットで引き締まった乗り心地”に仕上がっています。

出典:http://www011.upp.so-net.ne.jp/h2d/lantis_museum/about_mazda_lantis.html

このスポーティなはサスペンションのチューニングは他のセダンにはないものです。
ロールもしづらく安定性は最高です。
若干乗り心地の悪さ(道路のノイズ拾いやすい)にも影響していますが。これは個人差ですね。

ランティスのコンセプト

「2人で乗ればスポーツカー、4人で乗れば快適セダン」の実現に向けて開発されました。遠目からでもはっきりと 個性を主張するプロポーションを特徴とし、上級機種には、2.0リッターV6エンジンを搭載するなど、スポーティーな走りにこだわった一台でした。

出典:blog.mazda.com

ランティスは前述のようにファミリアクーペの後継車種として開発されており、一言でいえば”ランティスアピール”というのが謳い文句でした。確かにこの車に乗っているとほとんどの人がそのデザインン性の奇抜さ美しさに振り向いたものです。
ちなみにランティスの語源はラテン語Latens Curtis(秘密の城という意味)に由来する造語なのだそうです。まさに秘密感があふれたコンセプトで生まれた車でした。

出典:http://www.goo-net.com/catalog/MAZDA/LANTIS/

写真は4ドアクーペ5ドアハッチバックと比べると、若干家族的なイメージがありますが、それでも当時このクラスでこのスポーティなセダンは街の中で目を引きました。

ランティスを実際に運転しての感想

では実際にこのランティスを乗ったインプレをご紹介します。これはかなりの私的なマツダびいき感も入っていますが、車が好きな方にはこの感覚は分かっていただけるかと思います。

外観について

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9

上の車はランティスの4ドアセダンのカラーはブルーであるが、実際に見るともう少し紫がかって見えます。このカラーも前述のグリーンと同じくらい当時は個性的でこの車にしかカラーがないくらいの稀有な存在のカラーでした。むしろこの車にしかこのカラーはあり得ないのではないかと思われるほどでした。
セダンという分類の中ではかなりヨーロッパの車のような雰囲気を醸し出しており、日本の雰囲気とはどちらかと言えばなじまないのではないかというくらい個性的な感じではありましたが、夜の都会の高速道路などは、このブルーが実に夜空とマッチして官能的な感じがしました。

車内の内装について

車内についてはマツダらしくシンプルなつくりでした。ほとんど要らないものはないくらいの装備で過度な装備はありませんでした。シートは黒のシックなシートでここでスポーツ感を醸し出していたようです。マツダに革のハンドル以外はほとんどプラスチックな感じがしていて、これもまたマツダらしい車内の内装です。まさに”車は走る為のものだからこういう場所にはお金をかけない”というマツダのこだわりのようなものが感じられました。
この時期からカーナビが流行りだしたのですが、これも当時はなかったような気がしました。(のちに付けることになるのですが)
結果的には内装の評価は可もなく不可もなくというところでしょうか。

走りについてのインプレッション(ハンドリング)

ランティスのハンドリングはセダンとは思えないほどのスポーツカーライクな仕様になっています。まずハンドルのアソビはほとんどありません。ハンドルを回せば素直に迅速に反応してくれます。そこで肝心なのがサスペンションとの関係です。サスペンションの仕様は結構硬めなので、このハンドルの仕様と合わせるとセダンとは思えないハンドリング感を感じさせてくれます。この感覚は他のセダンでは味わえないでしょう。”ランティスらしさ”なのかもしれません。そこが気に入ればこの車がすごく身近に感じられてきます。”自分の手足のように車を操縦している感覚”とはこのことをいうのかもしれません。
もとろん段差があればハンドルに結構直に感覚として伝わってきます。それがかえってこの車の良さだと思います。
もう一つつけ加えるとハンドルの取り回しはホイールベースが長いにも関わらす、良い方だと思います。

走りについてのインプレッション(直進性、加速)

まず直進性ですが、剛性の高い仕様となっている分、ランティスの直進性能はかなり高いです。ハンドルは遊びがない分しっかり握っておかなくてはなりませんが、高速道路での安定感はさすがなものです、以前乗った車が1,500ccだったせいか、この直進性能の部分のポイントはかなりあがりました。実に安定感のある走りです。
次に加速感ですが、アクセルを踏み込むとリニアに反応してくれます。ターボのような吸気エンジンの加速感はないですが、自然吸気エンジンらしい”しっとりとした”反応です。ここがこの車の一番大きな特徴です。外見はかなりスポーティ感あふれるのですが、実際の走り方は実に”しっとり”しています。この感覚はセダンをチョイスする場合、ぴったりくるのではないかと思います。
決してパワー不足という感覚ではありません。何とも言えないスムーズな走りです。
逆に2,000㏄のV6のエンジンをチョイスすると”しなやかさ”は維持しながらも、パワフルな感覚をスパイスとして味わえます。
街中での走りに関してはもう少しキビキビ感が欲しい感じはしますが、軽自動車のように車体が軽いわけではないので、これは仕方がないですね。

走りのインプレッション(馬力について)

1,800㏄の馬力は160馬力です。のちにこれはチューンアップされて170馬力になるのですが、実際に走った感覚では”パワフル”感はあまりないのが意外です。高速道路でも急な勾配になると、力負けまではしませんが、スポーツライクに回転を上げて走り去るというよりは、坂道になっても速度を変えることなく、シフトダウンもすることなく、一定の速度で走り続ける感覚です。車体の重量が当時の車に比べて剛性を増した分、重くなっているのも関係していると思います。
ですから、峠などをバリバリと攻めていくようなタイプの走り方はしません。馬力がないというわけではなくエンジンの回転数の上がり方がしなやかなチューニングになっています。
スポーツマインドな車を大人の走りかたで乗りこなすのには良いかと思います。

まとめ

いかかでしたか。ランティスの良さを分かっていただけたでしょうか。この車は1993年に生まれて1997年には姿を消しました。かなり短命な車であったと思います。販売台数は約4万台です。
表向きの成績は確かに良くありません。ですがこれはマツダ自体の販売戦略が当時混乱していたためとバブル崩壊後の経済背景のためなのがほとんです。これを他の大手車メーカーが出せばきっと売れていたことでしょう。
”車の性能は良いのだが…”のマツダですから。これも可愛いところなんですが。

ランティスのいいところは今でもヨーロッパを走っていそうなスタイリッシュでスポーティなデザインと、それを固めてくれるボディ剛性、サスペンションの仕様、ハンドルのチューニング。それに対して大人らしさを演出するスムーズなエンジンのチューニングではないかと思います。
この車のターゲットは、”まだまだかっこいい車に乗っていたいけど、昔のようなエンジンをぶんぶん回して走るよりは、子供もいるし大人の走り方をしたい”なんて思っている、30歳台前後の方ではないかと思います。
マツダの車の多くはこのコンセプトが今でも息づいています。”Be a driver”という子供心を持ったそのような大人にぴったりの車ランティスのご紹介でした。