【スーパーカーレース 2016】富士スピードウェイで行われるスーパーカーの祭典!

去る8月21日、富士スピードウェイにてスーパーカーレースのシリーズ第4戦が開催されました。今回は、それを見てきたご報告と、併催されたイベントなどのご紹介です。

スーパーカーレース(SUPER CAR RACE)とは

photo by dkikuchi

超がつくほど高額で高速&高性能、そんな自動車を「スーパーカー」と呼びます。技術の粋を集めて製造されたそんなスポーツカーのカタログには、想像を超える程のパワーとフォーミュラーカーに匹敵するほどの最高速度が表示されていて、多くの車ファンの注目を集め続けます。

とはいうものの、そのパフォーマンスを実際に発揮する場所は、ほとんどないというのが実情。世界の名だたるスーパーカーを実際にサーキットへ集め、ちゃんとした規則の下でガチンコ勝負をさせたらどこのメーカーが勝つのか? そんな空想を実現してしまったのが、2014年から始まったレースシリーズが、「スーパーカーレース(SUPER CAR RACE)」です。

略称で「SCR」と呼ばれるこのシリーズ、2016年の参加車両は以下の様にグループ分けされます。

・クラス I(FIA GT3) :FIA国際競技規定付則ーJ項で定められたGT3車両
・クラス II(CUP):2010年以降販売のポルシェ911GT3、アストンマーティン V8バンテージGT2など、SCRの技術規則に従った車両
・クラス III(GTC):SCRの技術規則に従った、2009年型までのポルシェ911GT3、フェラーリF430チャレンジなどの車両
・クラス IV(GT4):技術規則3.GT4規定に定めた(インポートメーカー車両を含む)車両

各クラス、既存の競技車両以外にも参加申請を受け付ける枠がもうけられています。

スーパーカーレース、競技および車両に関する規則(レギュレーション)

BOPにNO!?

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メーカー自らが市販モデルをレース用に変更して販売する、それがGT3と呼ばれているカテゴリーです。レース参加者が自力でマシンを仕立てるより、比較的に安価・容易に本当のレース競技へ参加できるのが魅力。そのためか、世界中で多数のスポーツカーによるGT3レースが行われるようになりました。

しかし、複数の車種が競い合うと、ベース車両の性能や投入された技術によって性能差が生まれてしまうのも事実。下手をすれば、レース開始前に優勝車が決定されてしまうような事態にも成り得ます。それを回避するための措置が、「BOP」と呼ばれる性能調整なのです。

突出した性能を抑えるために、エンジン吸気系に制限を加えたりウエイトハンデを与えたりするのが、このBOPという規定。まぁ、これで競技自体は成り立つわけですが、果たしてスポーツカーファンが見たいのは、性能を水で薄めて成り立つようなレースなのでしょうか?

この疑問にSCRが出した秀逸な答え、それはなんと「ドライブスルー」。もし、どれかのマシンが明らかに速すぎる場合、なんとレース中に1回のピットロード通過を義務付けするというものです。

ピットロードは速度制限がありますから、どの様なクルマであっても、これにより一度は順位を落とすことになります。しかし本当の見ものはそこからです。最速の車両を駆るドライバーは、その性能を100パーセント引き出しながらトップ奪還にむけ、果敢なオーバーテイクに挑まなければならないのです。

これによって、走らせる方も見ている側も、超スーパーカーの性能を存分に楽しめるレースが行われることになります。

レーススケジュールは?

2016年のスーパーカーレース。8月の現在、年当初に決定されていた富士スピードウェイでの4戦(6月4日と5日、8月20と21日)を全て消化した形になっています。5戦目以降は、スケジュール調整中とのこと。

もちろん、4戦だけではスーパーカーレースのファンにとっても物足りないのは確か。2015年には、単独開催のイベントも含めて全10戦が行われていましたから、今年も諸事情を解決して秋以降に複数レースを開催していただければと願います。

出場するスーパーカーはこちら

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8月20〜21日のSCR、第3戦と4戦にエントリーしたのは、イタリア・ドイツ・イギリスからやってきた、10車種、全12台のスーパーカーです。エントリーの内訳は、クラスIに5台、IIに2台、IVに3台、そして特別に設定されたHuracan Trofeoに2台(クラスIIIはエントリーなし)。

以下にその車名をご紹介しましょう。

CARGUY with Direction HURACAN GT3(クラスI)

なんと言っても、現状のSCRをけん引しているのが、この「ウラカンGT3」でしょう。その車体は、主に外部の力を取り入れていたガヤルドGT3と違って、自社内部で主だった部品の開発を行い設計されました。シャーシはアルミニウムを主体とし、必要な部位をカーボンコンポジットで補強しています。

そうして、1,230kgまで軽量化されたボディに搭載されるエンジンは、90度V型10気筒5,204ccというもの。ダラーラが技術協力したという空力処理と合わせて、富士のメインストレートでの300km/h越えをめざします。

フェラーリ458、マクラーレンMP4を抑え込む、メルセデス
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BRP SLS AMG GT3(クラスI)

GT300のエントラントにも人気が高まってきている、ベンツのスーパースポーツがこの一台。カラーリングによって、時にはダンディーに、時にはコワ面に見えるマシンには、V8エンジンの独特な響きが好きというファンも多いでしょう。フロントエンジンでロングホイールベースのレイアウトのもたらす減速性能は、富士のストレートエンドで強みになりそう。

ケーズフロンテイア カワツウ MP4-12C GT3(クラスI)

現代のスーパーカーを語るとき、やはり外して考えてはいけないのがこの一台。F1コンストラクターの中でも飛びっきりのセレブである、あのマクラーレンが作り上げた市販スーパースポーツです。このGT3は、そのマシンをレース出場用に作り替えたもの。

Ks Frontierガイヤルド GT3(クラスI)

ストレートでの伸びはウラカンに絶対の分があるというものの、ガヤルド(ガイヤルド)GT3にはコーナーでの旋回にまだ強みがあると言われています。現在、SCRに生き残った唯一のガヤルドがこの一台。

CARGUY with Direction 108 458 GT3(クラスI)

458は、4.5Lの排気量のV型8気筒エンジンの意。クルマを超えた超高級ブランドであるフェラーリからのエントリーはこの一台。隙をついてウラカンの前に出れるか?

CARGUY with Direction 108 HURACAN(Huracan Trofeo クラス)

今回、カップクラスから独立して設定された、「Huracan Trofeo クラス」。こちらは、GT3ではないウラカンのためのクラスです。モデルとしては少し落ちるかもしれませんが、ストレートでの速度の伸びはまだまだ健在。今回のレースには2台がエントリー。

こばやし歯科KRM 911 CUP(クラスII)

旧・直線番長のポルシェ911も、まだまだSCRに健在です。水平対向エンジンが高回転で回る時のなんとも言えないサウンドも魅力。いつの時代もレースを盛り上げてくれるマシンですね。

TOMEI SPORTS 458 Challenge EVO(クラスII)

GT3ではなく、クラスIIにエントリーのフェラーリ。

EXIGE GT4(クラスIV)

クラス IVに2台エントリーのロータス エキシージ。モンスターマシンの破壊的なパワーとスピードではなく、合理的なデザインの中にこそクルマを操る本質がある。そんなことをサーキットで体現してくれるのがこのマシンでしょう。富士での出番は、やはりセクター3の連続コーナー?

IDI速心VANTAGE GT4(クラスIV)

そして、もう一つの「English machine in japan」が、このアストンマーティン バンテージ。レーシングカーになっても高級なブランド感は健在です。英国のサラブレッドスポーツカーは、日本のサーキットをどう攻める?

第4戦は、新・直線番長ことウラカンが驚愕の走りで勝利!

2016年8月20、21日の週末、富士スピードウェイにおいて開催されたスーパーカーレース。21日の日曜日は、その第4戦が行われました。

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「2016 スーパーカーレース第4戦 富士」ダイジェスト
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折しも近づく台風の影響あってか、土曜日は極めて不安定な天候の下で第3戦が開催されましたが、逆に日曜は酷暑の一日となりました。路面が乾いてくれるのはありがたいですが、やはり暑すぎると走る方も見る方も体力勝負です。

SCRの場合、決勝の朝に予選を行うというスケジュール。というわけで午前8時をまわった頃に、さっそくコースオープンとなりモンスターマシンが咆哮を響かせます。とはいっても予選はたったの15分間、イン&アウトラップや、セッティング調整のためのピットインなどを考えれば、限られた周回でベストラップを決めなければなりません。

そんな中、やはり突出した速さを見せつけたのが、カーナンバー7のウラカンGT3。1分39秒694のレコードタイムでポールポジションを獲得しました。続くのは77号車のウラカン、さらに87号車のガヤルドということで、やはり直線の長い富士ではランボルギーニ勢にやや分がある様子。

決勝は30分間の時間レース。気温もピークに達しようかという午前12時ちょっと前にフォーメーションラップスタートです。今回のレースでは、ウラカンGT3がずば抜けた性能を発揮するため、レース中に一回のドライブスルーが義務付けられました。約40秒間かかるという富士のピットロード走行、これをいつのタイミングでこなすかも、レースの勝敗に大きく影響します。

結果的に、7号車はある程度のギャップを2位の77号車との間に作ってからピットイン。その後、GT3の強さをコース上で存分に発揮し、レース終了まで少し余裕を残した時点で、高速の100Rで首位に返り咲きます。後はそのままフィニッシュ。「リアルに一番速いスーパーカー」の栄冠を自力で勝ち取りました。

Super Car Race Series 第4戦公式結果

モータースポーツを支えて50周年の富士スピードウェイ

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さて、今回SCRの舞台となったのは、静岡県駿東郡小山町の「富士スピードウェイ」。鈴鹿サーキットとならんで日本を代表する名コースです。

実は、いま開業50周年を記念している同コース。パドック脇にある売店&レストラン棟の「ORIZURU」には、特別な展示がなされています。また、グランドスタンドから見えるサーキットビューでは、繰り返し50年を振り返る映像を上映中です(オールドファンはグッとくること必至)。

スーパーカーレース以外のイベントも盛りだくさん!

今回のスーパーカーレース第3戦&4戦は、「富士チャンピオンレースシリーズ 第4戦」に組み込まれての開催でした。このレース、かつては「富士フレッシュマンレース」の呼び名で、土屋圭市、飯田章、織戸学、近藤真彦などのプロドライバーがレースデビューを果たしたという歴史を持ちます。

現在は、アマチュアレーサー向けのいわゆる「ハコ」のレースのみならず、フォーミュラーカーからインタープロトなどまで、幅広いカテゴリーを開催してくれるイベントとなっています。

というわけで、21日に同時開催されたいくつかのイベントを、ちょこっとご紹介します。

Super-FJ

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2016富士チャンピオンレース第4戦 Super-FJ決勝スタート
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将来のF1デビューを目指す若手が、シングルシーターの基本的ドライビングを磨くために参加するのが、この「Super-FJ」。ホンダ製の1.5Lエンジンを搭載し、前後に空力パーツを備えてスリックタイヤを履くという、小さいけれど本物のレーシングカーがこれ。

走りのためだけに生まれたマシンが、ヘアピンコーナーなどで見せる俊敏な動きは、やはり次元の高さを感じさせます。富士では年間5戦のシリーズとして開催です。

CCJ(チャレンジカップジャパン)

スーパーカーレースとは別に、フェラーリやポルシェ、そしてアストンマーティンなども参加して行われるイベント。正確にはレースではなく、「走行講義」と呼ばれているようです。

激しく競い合うというより、スポーツとしてサーキット走行を楽しむという色合いが濃いのが、このCCJでしょう。それでも、2度目の走行ではスターティングリッドにならんで、GTレースの醍醐味を味わえるということになっています。

2016 CJ SUPERRACE Championship Round 6

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CJ SUPERRACE 決勝スタート
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韓国中心に開催されるGTレース。日本では、あまり紹介されませんが、年に一回程度は日本のサーキットで行われます。6.0Lを超える大排気量のエンジンを搭載したマシンが、爆音とともに富士のストレートを駆け上る様子は、自動車レースの原点を感じさせます。

86 & BRZ

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富士スピードウェイには、「86レーサーズ」というトヨタ86ベースのレーシングカー(N1)があります。今回は、その改造車バージョンと、チューニング版の「8beat」が混走としてレースが開催されました。

「86レーサーズ」は、レンタル用の車体も用意されていて、レースデビューを目指す人が試しに本物のマシンを走行させることも可能です。N1仕様ですから、これまた市販車とは次元の違う走りが体験できそうですね。

全日本 富士 EV 50kmレース大会

ある意味、今、もっともモダンで可能性があるのが、この電気自動車によるレースでしょう。今回のレースには複数の燃料電池車もエントリー、エコが主眼のクルマたちがマシンとしての実力を試されます。

そんな中、今回のレースでもっとも目を引いたのが、トヨタ86ベースの改造EVである「ウェルマー☆ビルズ☆FT86EV」でしょう。当然、ベースのガソリンエンジンをモーターに、燃料タンクはバッテリーへと交換されているわけですが、このマシンはそれに加えて6速のシーケンシャルトランスミッションを搭載しているとのこと。

そのシステムの効率の良さなのか、このマシンは他のEVとは一線を画すスピードで、50kmを走り切り総合優勝を飾りました。そのベストラップは2分20秒468という記録。

日本コルベットファンミーティング(イベント広場)

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レースとは別に、グランドスタンド裏のイベント広場では、各地からシボレー コルベットが集まりミーティングが開催されました。

現場にはさまざまな年代のコルベットが並び、アメ車好きにはたまらない空間。どのオーナーさんも、クルマをきれいに乗っていらっしゃいますね。このイベントの絡みもあり、コルベット、カマロ、そして(フォードの)マスタングがSCRの先導をしました。

SUPER GTやスーパーフォーミュラーも開催されている富士スピードウェイについてご紹介しております。サーキットの見所や周辺の宿泊施設、グルメや温泉情報もご紹介しているので、富士スピードウェイに行く際に参考にしていただければ幸いです。

まとめ

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最後に、いささか余談を。富士スピードウェイ程度の規模があるサーキットは、その面積も広大なものとなります。いろいろな角度からレース観戦をしようと思えば、それなりに歩き回ることは覚悟の上。逆に言うと、お昼におなかがペコペコになるということも意味します。

サーキットにも、各種の食べ物が売られておりますが、私がいろいろ悩んだあげく結局いつも選んでしまうランチが「カレーライス」。ショッピングテラスに並ぶ各売店では、それぞれに個性のあるレシピでカレーを出していて、ローテーションで食べてまわっても楽しいです。そしてなにより、お腹に効く満足感は格別。

一部の日程を除いて、「富士チャンピオンレース」は通常の入場料(1,000円)で入れるのも良いところ。正直、あまり混雑するレースではありませんが、場内を自分の自動車で移動できますし、グランドスタンド裏に駐車できたりします。のんびり過ごすことができるので、クルマにさほど関心がないという人を誘ってゆくにも最適でしょう。

スーパーカーレースに限定せず、ぜひ一度、体験してみてください。