【マクラーレン 570GT】スーパースポーツカーにちょっぴりラグジュアリー風味?

8月5日、千葉県・幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2016」ではいくつかの注目のクルマが発表されましたが、その中でもひときわ注目を浴びていたのが「マクラーレン 570GT」です。マクラーレングループのロードゴーイングカー部門でもあるマクラーレンオートモーティブが発表したこのスーパースポーツカーを見てみましょう。飯嶋洋治(RJC会員)

マクラーレン 570GTとは?

旅するために作られたスーパースポーツモデル

photo by maclaren

マクラーレンといえばF1のコンストラクターとして有名ですが、そのグループ企業であるマクラーレン・オートモーティブによって製作されたのが今回紹介するマクラーレン570GTです。マクラーレンスポーツシリーズでは、570S Coupe、540C Coupeに続く3台目。先行モデルに比較すると日常の使いやすさを重視したものとなっており、今回の発表の場所となった千葉県・幕張メッセの「オートモビルカウンシル2016」の会場では、「旅するために作られた洗練されたモデル。快適性を持つが、同時にレーシングスピリットも持つ」という部分が強調したスピーチが行なわれていました。

マクラーレン 570GTのエクステリアは?

最新のエアロダイナミクスとスマートさを融合

photo by iijima

エクステリアは見るからに空力性能を追求した感がありますが、その中で見ていて気持ちのいいスマートさを感じさせるものです。空力を追及していくと、最終的にはこのスタイルにならざるを得ないという形に落ち着くものですが、それだけに終わらせないという意気込みを感じさせます。シルエットとしては飛行中の隼や高速戦闘機を思わせると言ったらいいでしょうか? 基本線としては、マクラーレン・オートモートモーティブの他車のスタイリングを引き継ぐもので、この辺のこだわりはレーシングカーメーカーとしてのマクラーレンのアイデンティティなのだろうと思います。

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実用的な部分では、ディヘドラルド・ドアの改善があります。これは見た目にはいかにも「スーパーカー」を連想させる部分ですが、乗降性を考えるとどうしても難があるところ。570GTでは、上方に向かって大きく開放するようにして、乗降性を向上させました。

マクラーレン570GTのインテリアは?

長時間のドライビングでも疲れさせない安心感と明るさ

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見た目はスーパースポーツでも、日常の使い勝手を高めたのが570GTのウリです。エクステリアとも関連しますが、目を引くのは固定式ガラス・パノラミック・ルーフです。これはリヤのガラス・ハッチまで続き一体的なデザインとなっています。これによってコクピットは”ストイックな仕事場”としてだけでなく、解放感のある居場所としてのスタンスも保っています。マクラーレン・モデルの中では「もっともラグジュアリーで、リラックスした環境となっている」と同社が言うのもうなづけるところです。

特にこうしたスポーツモデルではボディ剛性の確保のためにサイドシルが高く幅広くなるために、乗り降りにも一苦労ということも多いのですが、マクラーレンスポーツシリーズに全車共通する部分として、比較的ではありますが、シルが低く、狭くなっていることも特徴です。

スーパースポーツカーとしては異例の豪華装備

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コクピットはレザーを多用。バケットシートは、電動で8方向に調整ができるもの。その他、エアコンディショニング、テレフォニー、ナビゲーション、オーディオシステムは、センター部分のタッチスクリーンで操作できるなど、現代的、かつ実用的なインターフェイスを備えています。

ラゲッジスペースはフロントスペースのほかにリヤにも新たに設けられました。これはリヤのガラスハッチを横開きすることで、使用することができます。その他、シートヒーター、フロントとリヤのパーキング・センサー、乗降性を高める電動ステアリング・コラム、ソフト・クローズドアなど、ラグジュアリカーとしての性能を強調する部分が数多くあります。

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マクラーレン570GTのパワーユニットは?

V8ツインターボは570ps。7速デュアルクラッチトランスミッションで俊敏な加速!

搭載されるのは、M838TE型で3.8リッターV8ツインターボとなります。事実上マクラーレンと英国のリカルド社との共同開発エンジンです。最高出力は570ps、最大トルクは600Nmと強大なもの。走行では、「Normal」「Sport」「Track」の設定が可能となっており、走るシチュエーションによって、最適な特性がえら得るような配慮がなされています。

組み合わされるトランスミッションは、7速シームレスシフト・トランスミッションと呼ばれるもの。いわゆるデュアルクラッチトランスミッションで、次のギヤを予測、選択しておくことができ、素早いシフト操作が可能となっています。

マクラーレン570GTのシャシー、サスペンションは?

マクラーレンが誇るカーボン・ファイバー・モノコックが走行性能に影響大!

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まず、安全性と軽量化に大きく役立っているのが、カーボン・ファイバー・シャシーを採用していること。マクラーレンは1981年のF1カー「MP4/1」で、はじめてカーボン・ファイバー・モノコックを採用して、その威力を見せつけました。これは570S Coupeで初採用されたもモノセルIIと呼ばれるものです。重量は75kgと非常に軽量でありながら剛性にも優れ、570GTの車両重量(乾燥重量)は、1,350kgに抑えられました。

サスペンションはスプリングレートを落とし、快適志向にセッティング

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サスペンションはスポーツカーの定石どおり前後ともダブルウイッシュボーン式を採用しています。先述のとおり、570GTは、”普段乗り”として使える配慮が大きなポイントとなっています。長距離ドライビングの快適性を確保すべく、スプリングレートをフロント15%、リヤ10%柔らかくしています。ダンパー(ショックアブソーバー)には減衰力可変式のアダプティブ・ダンパーを採用しています。

タイヤはマクラーレン・オートモーティブのテクニカルパートナーであるピレリの製品を採用しました。570GTでは、静粛性に配慮するためにキャビン内のロード・ノイズを最大3デシベル削減削減するために、特注の「ピレリ P Zero」を装備しています。このタイヤはピレリ・ノイズ・キャンセリング・システム(PNCS)を採用しているのが特徴です。具体的にはタイヤにポリウレタンのスポンジを組み込むことで振動が吸収されるとともに、キャビンへの振動の伝導も抑制されるというシステムです。

マクラーレン570GTの発売日と価格は?

三千万円用意できればオーナーに!

さて、気になる価格ですが、車両価格は27,527,000円(税込)からとなっています。この価格をどう見るかは、個人の事情によって大きくことなる部分でしょう。

デリバリーは間もなく開始?

デリバリーは2016年後半からということです。まだ始まっていませんが、間もなくというところでしょう。

主要諸元

ディメンジョン&ウェイト

乾燥重量 1,350kg
重量配分 42%/58%
全長 4,530mm
全幅 2.095mm
全高 1,201mm
ホイールベース 2,670mm

エンジン&パワートレイン

種類 3,799ccV型8気筒ツインターボ
最高出力 570ps(562bph)/7,500rpm
最大トルク600Nm(433lb ft)/5,000-6,500rpm
トランスミッション 7速デュアルクラッチ式シームレス・シフトギヤボックス(SSG)
CO2排出量 249g/km(EU)
燃料消費率(コンバインド)10.7リットル/100km(26.6mpg)
燃料消費率(アーバン)16.5リットル/100km(17.2mpg)
燃料消費率(エキストラ・アーバン)7.4リットル/100km(38.4mpg)
エンジンオイル Mobil1 New Life 0W-40

サスペンション

フロント ダブルウイッシュボーン
リヤ ダブルウイッシュボーン

ブレーキ

フロント スチール製ディスク(370mm×32mm)/4ピストンキャリア
リヤ スチール製ディスク(350mm×30mm)/4ピストンキャリア

ホイール

フロント 19インチ1鍛造アロイホイール
リヤ 20インチ1鍛造アロイホイール

パフォーマンス

0-100km/h 3.4秒
0-200km/h 9.8秒
0-400m加速 11.1秒(213km/h)
最高速度 328km/h
100-0km/h 33.0m
200-0km/h 133.0m

まとめ:マクラーレンとは?

F1マシンからロードゴーイングカーまで手掛ける「マクラーレン」はブルース・マクラーレンから始まる

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マクラーレンといえば、まずF1、そして今回のようなスーパースポーツカーをリリースするメーカーとなっていますが、まとめとして、その生い立ちを振り返ってみます。同社は1964年にF1ドライバーのブルース・マクラーレンによって設立され1966年からF1に参戦しています。ブルース・マクラーレンは、ドライバーとしてだけではなく、優れたメカニックでもありました。同年は、レギュレーション変更により、エンジン規定が1.5リッターから3リッターに切り替わった年で、ロータスがフォード・コスワースDFVという名機を独占使用する中、BRMエンジンで苦戦を強いられました。

1968年にはDFVが他チームでも使用できるようになり、マクラーレンもこれを搭載。同年のベルギーグランプリでは、ブルース・マクラーレン自身のドライビングで、マクラーレンの1勝目が挙げられています。この年はファーストドライバーのデニス・ハルムが2勝を挙げシリーズ3位となっています。マクラーレンは、アメリカのCan-Amシリーズにもマシンを製作し、参戦していましたが、1970年にそのCan-Amマシンのテスト中にブルース・マクラーレンが事故死。しかし、チームはマネージャーのティディ・メイヤーらが後を受け継ぎました。1974にはエマーソン・フィッティパルディによって、ドライバー、コンストラクターの両タイトルを獲得、1976年には、ジェイムズ・ハントの手によって2度目のチャンピオンとなります。以後、長年にわたるF1チーム/コンストラクターとしての活躍はご存知のとおりです。

エポックメイキングが1993年に、ロードゴーイングカーとして「マクラーレンF1」を発表したことでしょう。このクルマはマクラーレン・オートモーティブの前身となる「マクラーレン・カーズ」が製作したもので、デザインはゴードン・マレーによるものでした。2010年にマクラーレン・オートモーティブ(拠点:英国サリー州ウォーキングの「マクラーレン・テクノロジーセンターMTC」)が設立され、今回のマクラーレン570GTに代表されるような市販スポーツカーメーカーとしての地位を築いています。