【ホンダ ラファーガ】「隠れタイプR」と呼ばれた直列5気筒の持ち主

一時期は「ミニバンメーカー」と言われたホンダですが、NSXをはじめ、インテグラやシビックに至るタイプRシリーズが人気を博した歴史は、4輪のレーシングシーンにもありました。それでもセダン市場で席巻したのはアコードなど一部車種にとどまり、不遇なモデルも少なくありません。その一つがホンダ ラファーガです。本稿では「隠れタイプR」の異名を持つこのモデルの魅力についてご紹介します。

ホンダ ラファーガとは

血脈はホンダ アコード

写真は9代目 ホンダ アコード ハイブリッド 2016年いまだ現役の名車

ホンダ アコードは1967年から今も連綿と続くホンダのスポーティセダンの代名詞です。2代目アコードからアメリカでも人気に火が付き、ボディサイズを日米どちらに合わせるか常に苦悩していました。代を重ねる度に右往左往し、3ナンバーサイズになったり、5ナンバーサイズになったりと、ブレた車でもありました。

3代目アコードの2ドアノッチバッククーペに至っては北米生産を日本に輸送・販売することとなりました。実は日本に逆輸入された最初の車はこのアコードクーペでした。

1989年、4代目アコードは5ナンバーギリギリサイズの4ドアセダンに帰着しました。これが日本のプリモ店専売となったため、クリオ店向けに登場したのが姉妹車のアスコットです。

このアスコットの将来的な姉妹車が、今回取り上げるラファーガとなっていきます。

写真はホンダ ラファーガ 2.5S パシフィックブルーパール色

欧州ホンダの躍進とプレミアム思考へ

日米で成功を収めたアコードですが、視野は常に欧米に向けられます。

英ローバーと共同開発した4ドアセダンの欧州向けアコードは、1992年サッシュレスのホンダ アスコット イノーバを誕生させました。165PS/5,800rpmを発生するH23A型 2.3L 直列4気筒 DOHCエンジン搭載車は全幅1,710mmに拡大され、日欧で人気となった立役者です。

その後の1993年、世界戦略車アコードが5代目にフルモデルチェンジ。
衝突安全の基準と米国需要を重視して、全幅1,760mmに拡幅。これに伴って日本向け5ナンバーサイズのセダンにアスコットとラファーガが立ち上がりました。

ちょうどスバル レガシィが北米向けに巨大化、日本向けにレヴォーグを発表したその流れに酷似していますね。

ちなみに英名は、HONDA RAFAGA。スペイン語で「強く吹く」という意味です。

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1993年 ホンダ ラファーガ登場時のTV CMがこちらです。

1993-1997年 ラファーガ CE4/5型

当時トヨタ マークII や日産ローレルなどアッパーミドルセダンの対抗として生産していたアコード インスパイア(後のインスパイア、アキュラTL)のプラットフォームを流用して、初代アスコット/ラファーガが誕生します。

全長 4,555mm 全幅 1,695mm 全高 1,425mm
ホイールベース 2,770mm 車両重量 1,280-1,380kg

先代までのアコードにならい、FF車にして前後ともダブルウィッシュボーンを採用していました。また初代インスパイアから始まった独特のエンジンレイアウトは、未だ至高品として評価が根付いています。

搭載されたのはホンダ内製の直列5気筒SOHCエンジン。
160PS/6,700rpm、19.0kgf·m/4,000rpmを発生する2.0L 直列5気筒 G20A型 4ATまたは5MT。
180PS/6,500rpm、23.0kgf·m/3,800rpmの2.5L G25A型 こちらは4ATのみの組み合わせでした。

姉妹車 アスコットとの相違点

CB5型のホンダ インスパイアとビガーのような明確な違いはありませんが、細部がかなり異なっています。
ラファーガのフロント部は、ヘッドライト内部がブラックアウトされ、ホンダエンブレムがグリル上端に位置しています。リア部ではウィンカーがアンバー色になっているのも特徴です。

写真はホンダ アスコット 正面のホンダエンブレムも位置が異なっています。

1995年 隠れタイプR こと クルージングスポーツ登場

1995年、「風のスポーツ」というキャッチフレーズのもと「クルージングスポーツ」(以下、CS)というグレードが誕生しました。

大きめのリアウィングを装備して、一見エアロ仕様に見えますが、フロントダンパーとリアスプリングを専用品に換装し、スタビライザーやブッシュまで変更、ストラットタワーバーまで装着、ECUからステアリングギアボックスなどなど、その変更は多岐に渡り、高速域での安定性が図られています。

写真はホンダ ラファーガ 2.0 CS ユーロRのような風格が感じられます。

内装ではハンドルに付けられたホンダエンブレムが赤色!
メーターパネルもカラーチェンジされ、かのタイプRと同じ、心憎い演出がされています。

ホンダ ラファーガ 2.0 CSの内装。レッドエンブレムが目立ちます。

一代限りで姿を消すことになったラファーガですが、6代目アコードが5ナンバーサイズに回帰して、姉妹車にトルネオが誕生したためです。しかし、CSのDNAは後々、ユーロRとして受け継がれることになりました。

写真はトルネオ ユーロR H22A型 DOHC VTEC 2.2L(220PS)搭載

名器 直列5気筒エンジンの魅力

この時点で鋭い読者はさまざまなご意見をお持ちになることでしょう。
「直5って中途だよね」「なんだ、SOHCか」「VTECじゃないのか」などなど。

このホンダの5気筒エンジン。未だコアなファンがいらっしゃる程、よく出来た逸品です。
先ほども述べたように、SOHCエンジンながらその許容回転数は7,200rpmに昇ります。通常6,000rpm程度のそれは、他社に真似できない高回転仕様で登場しました。

写真はホンダ ラファーガ 2.0 CS 側面観。このフロントタイヤより後方に直列5気筒が搭載されています。

レジェンドに搭載されたV6とも異なり、G型と呼ばれるこの直列5気筒は、最大トルク発生が低回転の実用域に設定されていました。2.0Lで4,000rpm、2.5Lで3,800rpmとここにホンダのカラクリが潜んでいます。

第一に、可変吸気制御を用いたこと。
第二に、低回転重視のローカムが採用されたこと。
第三に、不等長5-3-1のステンレス製(!?)エキゾーストマニホールドが採用されたことです。

不等長エキマニは、かつてのスバル 水平対向4気筒のボクサーサウンドを連想する方もいるでしょう。
あれを高回転で回した方はご存じかも知れませんが、その域のビート音は至極のサウンドです。

ラファーガの直列5気筒では、低回転で消音材が使われジェントルな振る舞いを見せますが、5,000-7,200回転のサウンドは乗り手を本当に楽しませてくれるものに仕上がっています。

ホンダ ラファーガ 中古車情報

アスコットもラファーガも年に数回、ごくごく稀に出回ります。
走り屋御用達というわけでもなかったため、比較的良質なものも見受けます。
執筆時点ではアスコット CS が1台見つかりました。

既に20年選手にもなる車ですので、所有をお考えの場合はバッテリーなど電装系はリファインした方が良いでしょう。寒冷地仕様の75D23Rを積んでおくと尚良いです。

中古車をお探しの方はこちら

まとめ

ホンダ ラファーガ、いかがだったでしょうか。

ホンダ ラファーガは、レジェンドやインスパイア、アコードのように大々的な販促活動がなされませんでした。そのためか、一代で姿を消してしまいましたが、ホンダのこだわりが詰まっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

中古市場でCSを見つけられた際は、ぜひ試乗してみてください。
楽しめるハンドリングセダンとして再評価に値することになるかも知れません。