【アバルト 124スパイダー】イタリアのパフォーマンス、日本のテクノロジーから生まれたサラブレット!

「アバルト」といえばフィアットのレーシング部門として有名なブランドです。8月5日に千葉県・幕張メッセで開催された「2016年オートモビルカウンシル」において、話題となっていた「アバルト 124スパイダー」が発表となりました。マツダ ロードスターと共同開発ということで、何かと話題になりましたが、随所に「アバルト」のこだわりを見せる仕上がりとなっていました。(飯嶋洋治/RJC会員)

アバルト 124スパイダーとは?

イタリアの名門「アバルト」の名を冠したオープンスポーツモデル!

photo by iijima

「アバルト」とは1949年にカルロ・アバルトのよって設立されたイタリアを代表するチューニングメーカー。1971年にはフィアット傘下となり、同社のレーシングディビジョンの役割を果たしてきました。

今回の「アバルト 124スパイダー」はまさにその名を冠して登場したスポーツカーです。もうひとつ話題となったのは、マツダ ロードスターのアーキテクチャーを基としていること。ロードスターはスポーツカーとしての定評は固まっていますから、アバルトがどのような仕上がりを見せているか? に注目が集まりました。

日本のテクノロジーとイタリアのパフォーマンスを搭載!

発表会の冒頭、FCAジャパンのティツィアナ・アランプレセ氏は「FCAのミッションとして、日本の自動車の文化を豊かに、エキサイティングになるように協力したいということがあります。アバルト 124スパイダーは、そのミッションに対してシンボリックな存在です。日本のテクノロジーとイタリアのパフォーマンスを持ち、日本の顧客と新たな歴史をつくりたい」という趣旨の挨拶し、その意気込みを見せました。

アバルト 124スパイダーのエクステリアは?

マツダロードスターをベースとしながらもアバルト独特の雰囲気も!

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発表まで賛否があったスタイリングですが、実際に見てみるとまとまっていてかっこいいと思いました。確かに1.4リッターターボということを考えると、ノーズの長さが強調されすぎているかなという感もありますが、それをあえてさらに強調するように、パッセンジャーシートをリヤアクスル近くまでも持って行っているというのは、開き直った? 割り切りの良ささえ感じられます。

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ノスタルジックだけではない! 風洞実験による検証を重ねたスタイリング

6角形のフロントグリルと二層になるように大型のエアインテークが設けられ、ターボエンジン搭載車という部分を強調しています。リヤのディフューザー、リヤスポイラー、ウィンドスクリーンなどは、見た目だけでなく風洞実験により形状を決定しているというのは、イマドキのクルマを感じさせる部分と言えます。

アバルト 124スパイダーのインテリアは?

ロードスター風味は残るも、各所に「アバルトらしさ」を織り込む!

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実際に座るチャンスがなかったのですが、見た感じではシート、ステアリング、シフトノブと機能的な感じがすると同時に、イタリア車的なファッショナブルさも感じられるものです。シートにはアルカンターラ/レザーとなっていますが、オプション設定でオールレザーも選択できます。

その場では確認できませんでしたが、ペダルもアルミニウム製ということで、スポーツカーとしてのこだわりが感じられる部分。タコメーターはドライバーの正面に位置し、スポーツ走行重視が感じられる部分です。

アバルト 124スパイダーのパワートレインは?

1.4リッターマルチエアターボはライトウェイトスポーツカーに十分なパフォーマンス

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搭載されるエンジンは1.4リッターマルチエア4気筒ターボエンジンです。このエンジンはフィアットが2009年に市場投入したマルチエアという動弁系を採用しているのが特徴です。ちょっと詳しく解説すると、4バルブですがカムシャフトは排気側に設けられた1本だけ。このカムシャフトが排気弁を動かすのと同時に、ロッカーロッカーを介して吸気側の油圧溜まりに油を押し込むことで吸気弁が開く構造です。この油圧をコントロールすることによって、吸気バルブのタイミングとリフトを可変とした油圧可変バルブ仕様となっています。

すでに信頼性も定評のあるエンジンですが、それをアバルト124スパイダーの心臓部としました。最高出力は170ps、最大トルクは250Nm、0~100km/h加速が6.8秒とライトウェイトスポーツカーとして十分なものとなりました。

エキゾーストノートにもこだわり。トランスミッションはATでもスポーティに!

エキゾーストノート(排気音)にもこだわりが入っています。「レコードモンツァ デュアルモードエキゾーストシステム」がアクセサリー設定されています。これはエンジン回転数によって排気経路が変わるもので、心地よい深みのあるサウンドを実現した、としています。

トランスミッションの設定は6速MTと6速ATの設定となっています。特に6速MTは5速で変速比が1となるクロスレシオとなっており、ワインディングなどでは楽しく走れることが予想されます。スポーツカーとしては重要な要素となるシフトフィールも考慮されており、短くダイレクト感のあるもの、ということです。ATはコンベンショナルなトルクコンバーターを使用したものですが、シフトチェンジはセレクターレバーとパドルスイッチの両方で可能となっています。

アバルト 124スパイダーのシャシー、サスペンションは?

サスペンション形式はロードスターと同一ながら、独自のセッティングを!

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ボディはFCAも言うようにマツダロードスターがベースとなっています。サスペンション形式はフロントがダブルウイッシュボーン、リアが5アームマルチリンクということで、これもロードスターと同一。ただし、コーナリング時や減速時の安定性を高める独自のセッティング、味付けとしたのはアバルトの真骨頂と言えるでしょう。

ショックアブソーバーはビルシュタインのド・カルボン(単筒)式ショックアブソーバーとしています。これはオイル容量を増やすことができるとともにオイル冷却性に優れ、よりスポーティな走行を約束してくれるもの。スプリングも最適化され、前後にスタビライザーが装着されることでロール剛性を高めています。

ステアリングフィールに関しては、パワーステアリングシステムに専用のスポーツ設定をしたということなので、この辺もアバルトならではのこだわりと言える部分でしょう。

リヤ駆動ということで、どうしてもテールスライドやドリフトが注目されるところですが、アバルトとしては「後輪のトラクションを最大に引き出し、レベルの高いFRとした」としています。それを実現すべく標準装備されているのが、機械式のセルフロッキングディファレンシャル。これでリヤ2輪で最大限のトラクション性能の確保を図っています。

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前後重量配分の最適化と軽量化はアバルトの腕の見せ所に!

重量配分も十分に考えられたものとなりました。重量物をアクスル間(前輪車軸、後輪車軸の間)に集中。特にエンジンはフロントアクスルよりかなり後退した位置にあるために、フロントミッドシップとも呼べるもので、コーナリング性能の向上に大きく役立っていると思われます。

軽量化に関しても気配りが効いています。レースではグラム単位の軽量化を積み重ねることで、ライバルより性能をアップするという手法がとられますが、これこそ「アバルト」が得意とするところ。無駄な重量を1gでも削り取るという徹底的な軽量化を行なっています。

また、現代のクルマということで、電子制御によってアクティブセーフティ装備、機能を備えられたのもトピックと言えます。具体的には、センターコンソールのレバーで「ノーマル」と「スポーツ」の2つのモードの切り替えが可能となっています。「ノーマル」は一般走行ですが、「スポーツ」にすると電子制御により、アクセルレスポンス、パワーステアリングのアシスト量、スタビリティコントロール、トラクションコントロールを、スポーツ走行に適したものに制御します。

主要諸元

カッコ内は6速オートマチック車

型式

CBK-NF2Ek

サイズ

全長 4,060mm
全幅 1,740mm
全高 1,240mm
ホイールベース 2,310mm
トレッド
フロント 1,495mm
リヤ 1,505mm
車両重量 1,130kg(1,150kg)
乗車定員 2名
トランクルーム容量 140L

エンジン

型式 3268
種類 直列4気筒マルチエア16バルブインタークーラーターボ
総排気量 1,368cc
ボア×ストローク 72.0mm×84.0mm
圧縮比 9.8
最高出力 125kW/5,500rpm
最大トルク 250Nm/2,500rpm
燃料供給装置 マルチポイント式電子制御燃料噴射
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量 45L
燃料消費率:JC08モード 13.8km/L(12.0km/L)
主要燃費向上対策 電動パワーステアリング、マルチエア(電動パワーステアリング、マルチエア、ロックアップ付トルクコンバーター)

駆動系

駆動方式 FR
クラッチ型式 乾式単板ダイヤフラム(3要素1段2相形:ロックアップ付トルクコンバーター)
変速比 1速4.363(3.538)/2速2.348(2.060)/3速1.647(1.404)/4速1.262(1.000)/5速1.000(0.713)/6速0.844(0.582)/後退3.863(3.168)
最終減速比 3.454(3.168)

ステアリング&サスペンション系

ステアリング形式 電動パワーアシスト付ラック&ピニオン
サスペンション
フロント ダブルウイッシュボーン
リヤ マルチリンク
主ブレーキ
フロント ベンチレーテッドディスク
リヤ ディスク

タイヤサイズ

205/45R17

まとめ

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マツダ ロードスターはもちろん素晴らしいクルマですが、スポーツイメージとしてはイタリアの名門「アバルト」が勝るというのは共通した認識だと思います。そのアバルトがロードスターをベースに……ということや、海外の情報などをみると、あまり良い噂? がなかったために、ちょっと色眼鏡でみるところもあったのですが、実物を見る限りスタイリングも良いと思いましたし、「アバルトらしさ」も感じることができました。まだ発表の段階ですので、走行性能は想像の域になってしまいますが、試乗する機会があれば、ぜひお届けしたいと考えています。