【ボルボ S60/V60ポールスター】レーシングカーの血が流れるロードゴーイングカー

ボルボ・カー・ジャパンが8月5日にボルボ S60/V60ポールスターを発表しました。ポールスター・シアン・レーシングでWTCCを戦うボルボですが、今回のS60/V60ポールスターは、その血筋を継ぐものです。また、速いだけではなく、快適性にも十分な配慮がされていると言います。どのような仕上がりなのか、ちょっと見ていきましょう(飯嶋洋治/RJC会員)

ボルボS60/V60ポールスターとは?

photo by iijima(S60 Polestar)

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ボルボ・カー・ジャパンは、8月5日に千葉県・幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2016」において新型「S60ポールスター/V60ポールスター」を発表するとともに、同日より発売を開始しました。

ボルボのパフォーマンスブランド「ポールスター」を冠した二車種

ポールスター(Polestar)とは、ボルボ・カーズのパフォーマンスブランドで、1996年にモータースポーツチームとして創立、ボルボでレースに参戦してきました。2009年にはレース活動だけでなく、市販車のパフォーマンスの向上を図るパーツの提供を開始し、ボルボ・カーズとの提携関係を強化。2014年にボルボS60/V60をベースにした初のコンプリートモデルを発売。2015年にはポールスターのパフォーマンス部門がボルボ傘下となり、より一層の高性能車の開発に力を入れてきました。

photo by volvo car japan(V60 Polestar)

ボルボS60/V60ポールスター、2014に登場し好評を得る!

「S60/V60ポールスター」は2014年に発表されました。今回は、それからの進化バージョンと言えるわけですが、ちょっと歴史を振り返ってみましょう。最初のS60/V60ポールスターは、世界限定で750台、90台が導入されたものでした。同車はハイパフォーマンスモデルであることはもちろんですが、サーキット走行などのハードユースだけでなく、日常走行を含む様々なシチュエーションで、スポーティさと快適なドライビングができる「オールシーズン・ドライバーズカー」という位置づけでした。

ハードユースのみではなく、日常使いにも優れたパフォーマンスを発揮

ポールスターによるチューニングポイントとしては、専用ターボチャージャーによる出力向上に対応するシャシー/ブレーキ性能の強化、後輪へより積極的にトルク配分を行うAWDシステムやシフト変速のレスポンスを向上させたオートマチックトランスミッションなど。さらにエンジンや足回りだけでなく、パワートレインも専用チューニングが施されたものです。空力特性を改善する専用エクステリアパーツや、よりスポーティーに仕立てられたインテリアなど、細部までポールスター社によるチューニングが施されています。

先代ボルボS60/V60ポールスターは350psに4WDシステムで登場!

この時点のパフォーマンスはT6(直列6気筒ターボ、2.953cc)エンジンで最高出力:258 kW (350 ps)/ 5,250 rpm、最大トルク:500 Nm (51.0kgm) / 3,000-4,750 rpmというもの。パワーの源となる専用ツインスクロールターボはボルグワーナー社製です。駆動系では後輪駆動へのトルクを増大するために、ハルデックス社製の電子制御AWDシステムを装備。これをスポーツモード付6速ギヤトロニック・オートマチックトランスミッションを介して路面に伝えるシステムを与えられました。

電子制御AWDシステムやオーリンズのサスペンションは当初から装備

サスペンションはオーリンズと共同開発のショックアブソーバーを装備。8.0Jx20専用アルミホイールに245/35ZR20Michelin Super Sportsタイヤを装着するというものでした。2014年に限定車として発売された同車は好評を得ることとなり、2015年にも日本市場で特別限定車として、S60ポールスターが10台、V60ポールスターが40台の計50台が発売されました。このときは基本的な変更点はありません。

ボルボS60/V60ポールスターがパワーユニットをブランニュー!

photo by volvo car japan(S60/V60 Polestar)

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新型ではエンジンをツインチャージ化! さらに強力な仕様に

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そして、2016年にさらにパワーアップした形で100台限定の発売となるわけです。今回発売されるS60/V60ポールスターは、従来よりパワーアップしたのが最大の特徴と言えます。Drive-E2.0リッター4気筒エンジンは、従来型の3.0リッター6気筒エンジンの350psから367psへとパワーアップ。0-100km/h加速はS60が4.7秒、V60が4.9秒(欧州仕様参考値)、最高速度250km/h(リミッター作動。欧州仕様参考値)という俊足ぶりを発揮します。

ボルボS60/V60ポールスターに注がれたレーシングテクノロジー

ちなみにFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)で活躍するポールスター・シアン・レーシングでは、2016シーズンより「S60ポールスター TC1レーシングカー」を走らせていますが、今回市販されるボルボS60/V60ポールスターには、このテクノロジーが注がれており、同車のシャシーとエンジンに同一のテクノロジーが採用されています。これがポールスターの真骨頂でもあり、同車の完成度の高さに通じているところといえるでしょう。

エンジンの内部にも手を入れる徹底的なパフォーマンスアップ!

特にパワーユニットでは、ターボチャージャーの大型化、スーパーチャージャーの装着などわかりやすい部分だけではなく、コンロッドとカムシャフトの見直しといったエンジン内部にまで手が加えられました。過給に見合うようにエアインテークも大型化し、燃料ポンプの大容量化することによって、吸気に見合う燃料が供給されるように、徹底的に見直しが図られています。

ボルボS60/V60ポールスターの駆動系、サスペンションは?

photo by iijima(S60 Polestar)

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駆動系はボルグワーナー社の4WDシステムのほか、新たにSPORT+(スポーツプラス)モードを採用しました。トランスミッションは従来の6速ATから、パドルシフト付8速ATへと進化しています。電動パワーステアリングも新たにセッティングが見直されるなど細かな変更点から、新採用となる371mmのスロット付きフロントブレーキディスク、およびブレンボ製6ポットキャリパーで、より操縦性や制動力の安全性を高めています。

ショックはオーリンズDFV、ブレーキ性能はさらにアップ!

サスペンションのショックアブソーバーは引き続きオーリンズのDFVダンパーが採用されて、スポーティであるとともに、日常でも使いやすいものとしています。こうした個々のパーツもそうですが、最新モデルは、車両重量の削減も実現しています。主要諸元は現在明らかにされていませんが、新パワートレインの採用で、フロントアクスルを中心に軽量化が図られ、重要配分が最適化されたことも、ハンドリングの向上に大きく影響していると思われます。

主要諸元

※スペック等の情報は予定値

パワーユニット

種類 Drive-E2.0リッター4気筒スーパーチャージャー/直噴ターボガソリンエンジン
最高出力 270kW(367ps)
最大トルク 470Nm(47.9kgm)

駆動系

トランスミッション 電子制御式8速AT(ロックアップ機能付ギアトロニック)

足回り

オーリンズ製DFVダンパー
スロット付フロントブレーキディスク
ブレンボ製6ポットキャリパー
20インチアルミホイール

同日にクラシックボルボのための「クラシックガレージ」開設を発表!

photo by iijima

ボルボというメーカーは質実剛健、堅牢なボディというイメージが強いメーカーです。ということは、古いボルボでも大切に長く乗っているユーザーが多いということ。実は発表会当日のS60ポールスターの左右にはボルボP1800と850T5-Rも展示されていました。これこそが新しいボルボをユーザーに販売するだけでなく、古いボルボに乗るユーザーを大切にしたいという「クラシックガレージ」のポリシーを示すものと言えます。

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実はこのP1800はボルボ・カー・ジャパン代表の木村隆之氏の所有車。木村氏は「クラシックボルボのメンテ、サポートをすることで、ボルボをもっと好きになっていただきファンを広げたい。機械式の時計のようにボルボを楽しみ続ける。そのためのクラシックガレージです」という趣旨のスピーチを行ないました。

クラシックガレージは、ボルボ・カーズ東名川崎に併設され、100/200/700/900シリーズといったモデルを中心に、エンジン整備、ボディペイント、一般修理、定期点検、車検等を実施する専用のワークショップとなります。同日にマツダが初代ロードスターの部品供給の検討に入っているという発表もあり、自動車メーカーのこうした「古いものを大切にする」という動きが活発になることも予想される発表となりました。

まとめ

ボルボというのは、日本では高級車、あるいは乗員の安全性の高さというようなイメージからスポーツ選手が一時多く乗っていたようなイメージがあります。しかし、今回のポールスターに代表されるように、もともとはラリーや1980年代の240Tに代表されるグループAレースなどのモータースポーツに積極的なメーカー。現在でもWTCCにポールスター・シアンレーシングからS60ポールスターが参戦しているのは前述のとおりです。実はWTCCには日本ラウンドもあり、それは9月3日(土)、4日(日)にツインリンクもてぎで開催されます。このときにはポールスター・シアン・レーシングのエースドライバーでS60/V60ポールスターの開発ドライバーであるテッド・ビョーク選手とロバート・ダールグレン選手が参戦するということなので、足を運んでみてはいかがでしょうか?