【クライスラー ボイジャー】すべてのミニバンの潮流はこの一台から始まった!

ミニバンというクルマが、自動車の歴史のはじまった頃から存在したわけではありません。そして、その流れをはじめて生み出したのが、日本にクライスラー ボイジャーとして輸入されていたこともあるモデルでした。

フォードによって否定されたミニバンスタイルを実現したのはクライスラー

崩壊寸前のクライスラー社を立て直した手腕から、経営界の伝説となった人物、リー・アイアコッカ。彼は、1974年の当時に働いていたフォード社内において、ムスタングの開発主任であったハロルド・スパーリックとともに、ある新しいクルマの形を発案しました。

しかし、フォードのオーナーであるヘンリー・フォード2世との確執が健在化していたため、そのアイディアは簡単に却下されてしまいます。そして、その新種のクルマこそが、後に消費者から高く評価され自動車文化を大きく変えることとなる、ミニバンというスタイルだったのです。

後の1983年、クライスラー社へ移っていたアイアコッカとスパーリックの2人は、経営が上向いていた同社でフォードが否定したアイディアを具現化します。そのモデルこそが「ダッジ キャラバン」であり、1997年に日本へ輸入される時に「クライスラー ボイジャー」と呼ばれたクルマでした。

ダッジ キャラバン(日本名クライスラー ボイジャー)についての解説(英語)

日本にやって来たのは1997年の3代目から

登場以来2世代にわたり、クライスラーのドル箱のようになっていたクライスラー ボイジャー。実は車体の構成は、短いホイールベースの「ボイジャー(キャラバン)」と、それを延長した「グランドボイジャー(グランドキャラバン)」の2種類が存在します。

3世代目クライスラー ボイジャー(1996年〜2000年)

クライスラー ボイジャーの姉妹車、プリムス ボイジャー

クライスラー ボイジャー、およびグランドボイジャーとして日本に入ってきたのは、1996年発表の第3世代モデルから。すでに日産にキャラバンという車名があったため、プリムスなどで使っていたボイジャーの名称が採用されました。

この世代のダッジ・キャラバン、世界モデルに用意されたエンジンは以下の通りですが、日本に持ち込まれたのは3.3Lエンジンです。
・排気量2.4L 直列4気筒DOHC 出力110kW(150ps)トルク226N・m(23.1kgf・m)
・排気量3.0L V型6気筒SOHC 出力110kW(150ps)トルク239N・m(24.4kgf・m)
・排気量3.3L V型6気筒OHV 出力118kW(160ps)トルク275N・m(28.0kgf・m)
・排気量3.8L V型6気筒OHV 出力124kW(169ps)トルク308N・m(31.4kgf・m)
・排気量3.8L V型6気筒OHV 出力130kW(177ps)トルク330N・m(33.7kgf・m)

これらのエンジンはフロントに横置きされ、駆動方式はFWDもしくはAWDの設定がありました。変速機としては、5速のマニュアルトランスミッションに、3速および4速のオートマチックトランスミッションが組み合わされます。標準のタイヤサイズは、215/65R16でした。

【諸元表】クライスラー ボイジャー LE(1999年)

エンジン排気量:3,301cc
エンジン出力:118kW(160ps)/4,850rpm
エンジントルク:274.6N・m(28.0kgf・m)/3,250rpm
全長:4,732mm
全幅:1,951mm
全高:1,740mm
重量:1、830kg
ホイールベース:2,880mm
サスペンション:マクファーソンストラット式(前)/ リーフリジッド(後)

4世代目クライスラー ボイジャー(2001年〜2007年)

2000年の北米自動車ショーで発表される際、ナビスコオレオとのタイアップ形式を取り話題を呼んだのが、第4世代のダッジ キャラバンです。この時期には、V型6気筒3.0Lが米国カリフォルニア州などの排気ガス規制にあわなくなり、ラインアップからなくなりました。

装備としては、電動のスライドドアや車体後部のパワーハッチなどが、あらたにオプション設定されたりしています。変速機も、3速と4速のATのみの設定です。

【諸元表】クライスラー ボイジャー LX プレミアム(2004年)

エンジン排気量:3,301cc
エンジン出力:128kW(174ps)/5,100rpm
エンジントルク:278N・m(28.3kgf・m)/4,000rpm
全長:4,803mm
全幅:1,996mm
全高:1,750mm
重量:1,890kg
ホイールベース:2,880mm
サスペンション:マクファーソンストラット式(前)/ リーフリジッド(後)

5世代目クライスラー グランドボイジャー(2008年〜2010年)

2008年に発表された第5世代のクライスラー ボイジャー。先代まで存在していたショートホイールベース版の車体をなくし、拡張版のグランドボイジャーだけのラインアップとなりました。ミニバンには小型のボディの需要が少なくなっていたからです。同時に車体の大型化に合わせて、タイヤサイズも225/65R16となりました。

用意されたエンジンには、以下のようなものがあります。
・排気量3.3L V型6気筒OHV 出力131kW(177ps)トルク278N・m(28.3kgf・m)
・排気量3.8L V型6気筒OHV 出力147kW(200ps)トルク305N・m(31.1kgf・m)
・排気量4.0L V型6気筒SOHC 出力187kW(255ps)トルク351N・m(35.8kgf・m)
・排気量3.6L V型6気筒DOHC 出力211kW(287ps)トルク352.5N・m(36kgf・m)

この世代から、変速機に6速のオートマチックトランスミッションなどが投入され、ライバルと目される日本車へ対抗策が講じられました。とはいえ、2008年に急騰をはじめた原油価格のあおりを受け、世界的にミニバンやSUVへの需要が減少していったのもこの時期です。

日本には、3.8Lエンジン車が輸入されていましたが、2010年をもってラインアップから削除され、以後ボイジャーの正規販売はありません。

【諸元表】クライスラー グランドボイジャー LX(2010年)

エンジン排気量:3,782cc
エンジン出力:142kW(193ps)/5,200rpm
エンジントルク:305N・m(31.1kgf・m)/4,000rpm
全長:5,144mm
全幅:1,953mm
全高:1,750mm
重量:2,010kg
ホイールベース:3,078mm
サスペンション:ストラット式(前)/ アクスルビーム式(後)

ボイジャー&グランドボイジャーの中古車ってある?

ダッジ(クライスラー)の英語公式ページには、2016年現在でもグランドキャラバンが載ってはいますが、残念ながら日本へは輸出されていません。したがって、このクルマを購入するもっとも容易な方法は、中古市場をさがすことになります。

ちょっとしらべてみると、2004年登録で走行距離10.5万kmという車体(LX、3.3Lエンジン)が、車検整備付きの状態で160,000円という格安のものが出ています。逆に高い方ですと、2005年登録で走行距離が 5.7万Km程度というもので、車検なしの状態で680,000円になります。

ミニバンの老舗的な車であるクライスラー ボイジャーですが、現在はかなり価格がこなれてきていそうですね。

カスタムやパーツの供給は?

ボイジャーやグランドボイジャーを中古で購入したら、外装や内装をはじめいろいろカスタムにしたいと思われる方も多いでしょう。まぁ、故障時や整備のことを考えても、パーツの購入先は確認しておくに越したことはありません。

たとえば、「キャルウイング」のページでは、クライスラー ボイジャー系の色々なパーツを手配できるようになっています。下にリンクを貼っておきますので、ご参考にどうぞ。

クライスラー ボイジャーのまとめ

いわゆるリーマンショックから始まった原油高が、若干の逆風になったとはいえ、2012年には合衆国ならびにカナダでは歴代最高の193,020台が売られ、根強い人気を証明したクライスラー ボイジャー(ダッジ キャラバン)。

今では、日本国内メーカーもミニバンを扱うようになって、選択には困らない状況です。しかし、やはりこのスタイルのルーツでもあるキャラバンは、アイコニックな自動車の一つに違いありません。それが日本に入ってきていないのは、やはり残念というべきなのでしょう。