【日産スカイライン350GT HYBRID 試乗(DAA-HV37)】最新機能を装備した大人のセダン!

「スカイライン350GT HYBRID」が登場したのは、2013年11月。3.5リッターV6エンジンに電動モーターを組み合わせたハイブリッドカーというのも注目ですが、「ダイレクトアダプティブステアリング」という世界初のステアバイワイヤーを装着したことで話題となりました。一昨年、このクルマを試乗する機会がありましたので、各部の紹介とともに試乗インプレッションをお届けします。(飯嶋洋治)

日産スカイライン350GT HYBRIDとは?

伝統のスカイラインを受け継ぐフラッグシップカー

今さらいうまでもなく、古くはプリンス自動車のフラッグシップカーとして、日産に吸収されてからもスカイラインGT-Rに代表されるように、日本のハイパフォーマンスカーの代表的な地位を築いてきたのがスカイラインです。GT-Rはスカイラインの名称が外されてしまいましたが、「スカイライン」自体は健在で、350GTではハイブリッドエンジン、ダイレクトアダプティブステアリング(ステアリング バイ ワイヤー)などの最新技術が盛り込まれ、現在でも根強い人気を得ています。

photo by nissan

日産スカイライン350GT HYBRIDのエクステリアは?

ワイドアンドローなプロポーション。立体感のあるフロント周りも印象的。

photo by nissan

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一見してワイドアンドローなプロポーションが目につきます。正直に言って、あまり若者向けに見えませんが、落ち着いたスポーティセダンというイメージでしょうか? ある程度保守的な層を取り込むには良いのかもしれません。ディメンションでは、全高さを10mm、全幅を50mm広げているということなので、その効果は十分に出ています。さらに立体感がひときわ目立つフロント周り、ウェーブメッシュ状のフロントグリルなども押し出し感を感じさせるものです。リヤ周りではトランクリッドをスポイラー形状とすることで空力の向上を狙っています。

日産スカイライン350GT HYBRIDのインテリアは?

ドライバーオリエンテッドながら、全体的には落ち着き感重視に。

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全体的には、落ち着いた高級車のものでしょうか? もちろん機能性の高さは感じさせますが、「やる気にさせる」という類のものとは少し違うようです。長距離をドライブしても疲れさせないという意味では、優れたものだと思います。インパネは、ドライバーの包み込み感が強く好感のもてるもので、これを日産では「ダブルウェーブ」と呼んでいます。センターのツインディスプレイクラスターは操作性や情報把握にも優れたものとなっています。一方でドライバーの目に入る大型の2眼メーターは、割と古典的な感じもしました。スカイラインというブランドとしては、譲れない? 部分ではあったのかもしれません。その他、精緻に作り込まれたステッチラインの美しいニーパッドなど、クラフトマンシップが漂うところです。

日産スカイライン350GT HYBRIDのパワーユニットは?

1モーター2クラッチ方式ハイブリッドシステムで環境性能と動力性能を両立!

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エンジンはVQ35HR。日産が1994年から生産を開始している信頼性の高いV6ユニットです。吸気ポートのストレート化やピストンリングの低フリクションかなどに加え、可変バルブタイミングシステムやアイドリングストップなどで燃費向上を図りつつ306psの大パワーを発揮します。350GTハイブリッドでは、これに交流同期モーターが組み合わされ、モーターだけで290Nmの大トルクを発生します。ハイブリッドシステムは、運動性能と環境性能を高次元で両立した、日産独自の1モーター2クラッチ方式ハイブリッドシステム「インテリジェントデュアルクラッチコントロール」で、環境性能のみならず、高い運動性能を持たせたものとなっています。

日産スカイライン350GT HYBRIDのボディ、サスペンションは?

リヤマルチリンクサスペンションを熟成させることで、操縦性、静粛性を向上。

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ボディ全体の高剛性化を図ることはもちろん、軽量化も果たしたのが今回のスカイラインのキモです。特にフロント部の剛性の強化にこだわることにより、操舵初期の車体の変形を抑制したといいます。これによってハンドリングの応答性を高め、操縦性アップに貢献しています。フロントサスペンションはダブルウイッシュボーン、リヤサスペンションがマルチリンクとなっています。日産としては、すでに研究しつくしたサスペンションという面もありますが、今回はリヤサスペンションに特に力を入れ、新開発としました。具体的には、軽量化のためにアルミ材を多用、リンクジオメトリーとブッシュ特性の最適化、ダンパーとスプリングの同軸化などがあげられます。これによりリヤタイヤの追従性をアップし、好ハンドリングをもたらします。またロードノイズを遮断することで、静粛性にも貢献しているといいます。

日産スカイライン350GTに採用された世界初「ダイレクト アダプティブ ステアリング」とは?

「ダイレクト アダプティブ ステアリング」は、コンピューターとアクチュエーターでハンドルを切る!

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ステアリングシステムは、従来のラックアンドピニオン方式の場合、ステアリングを回すことで、ピニオンギヤを動かし、歯が刻まれたラックが左右に動くことでタイヤを切るというある意味原始的な方法で行われます。しかし、スカイライン350GTでは、ステアリングを切ると電気信号によってアクチュエーターを動かすことで転舵する「ダイレクトアダプティブステアリング」という世界初の機構が用いられています。この構成は、主にステアリングコラム部のステアリングフォースアクチュエーター、ステアリングシャフト上の中間クラッチ、ステアリングギヤボックスの両端にあるステアリングアングルアクチュエーターからなり、3つのステアリング制御コンピューターによって管理されています。

世界初のシステムで「2015年度RJCテクノロジーオブザイヤー」最優秀賞を受賞!

コンピューター間の通信システムはFlexRay(フレックスレイ)という同期通信で、これらが相互監視しながら制御するものです。「ダイレクトアダプティブステアリング」ではクイックなレスポンスを確保すると同時に、従来のステアリング機構ではクイックにすると問題となったキックバックも解消できました。またコンピューター制御なので、可変ギヤレシオも容易で8~25とワイドなものとなっています。この機構は2015年度の「RJCテクノロジーオブザイヤー」の最優秀賞を受賞しました。

日産スカイライン350GT HYBRIDの乗り心地は?

あくまでもジェントル。快適な大人の走り!!

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ハイブリッドシステムやダイレクトアダプティブステアリングなど、新機構が盛り込まれているために、期待半分、緊張半分というような気持で試乗を始めました。都内の道路から高速道路へと入りますが、拍子抜けするほど「普通」というのが第一印象でした。一般的な速度で走行している限りは、乗り心地は上質といっていいでしょう。300psを超える大パワーを持っているクルマですから、その気になってアクセルを踏めば「牙をむく」ということもあるのでしょうが、高速巡行では、ちょっとアクセルに足を乗せているだけで、ジェントルな加速を見せます。どこまでも一定速で走っていたいと思わせてくれます。

ダイレクトアダプティブステアリングは、峠道で真価を見せる!

峠道を走った感じでも、基本的にこのイメージは変わりませんでした。ひとつ感じたのは、ステアリングのシャープさ。これは「ダイレクトアダプティブステアリング」の利点が出ているところで、比較的小さな舵角を与えるだけで、タイトなコーナーをクリアしていきます。ただ、残念? だったのは、あまりペースを上げようという気持ちにさせてくれないこと。そういう嗜好のクルマではないといえば、そうなのでしょうが、あまり走りに対するパッションを感じません。サイズ的な問題もありそうですが、あくまでも大人がジェントルに走るクルマということでしょうか?

主要諸元

350GT HYBRID Type P

車両型式

DAA-HV37

寸法

全長 4,790mm
全幅 1,820mm
全高 1,440mm
ホイールベース 2,850mm
トレッド(フロント/リヤ) 1,545mm/1,570mm
最低地上高 130mm

重量・定員

車両重量 1,760kg
乗車定員 5名
車両総重量 2,035kg

性能

最小回転半径 5.6m
燃料消費率(JC08モード) 17.8km/L
主要燃費向上対策 ハイブリッドシステム、アイドリングストップ装置、可変バルブタイミング、電動パワーステアリング

諸装置

駆動方式 後輪駆動
ステアリングギヤ形式 ラック&ピニオン式
サスペンション(フロント/リヤ) 独立懸架ダブルウィッシュボーン式/独立懸架マルチリンク式
主ブレーキ(フロント/リヤ) ベンチレーテッドディスク式/ベンチレーテッドディスク式
タイヤサイズ 225/55RF17

エンジン

型式 VQ35HR-HM34
種類 DOHC・V型6気筒
内径×行程 95.5mm×81.4mm
総排気量 3,498cc
圧縮比 10.6
最高出力 225kW(306ps)/6,800rpm
最大トルク 350kW(35.7kgm)/5,000rpm
燃料供給装置 ニッサンEGI (ECCS)電子制御燃料噴射装置
使用燃料・タンク容量 無鉛プレミアムガソリン・70L

モーター

型式 HM34
種類 交流同期電動機
最高出力 50kW(68ps)
最大トルク 290kW(29.6kgm)
動力用主電池 リチウムイオン電池

変速比・最終減速比

トランスミッション マニュアルモード付電子制御7速ハイブリッドトランスミッション
・変速比
第1速 4.783
第2速 3.102
第3速 1.984
第4速 1.371
第5速 1.000
第6速 0.870
第7速 0.775
後 退 3.858
最終減速比 2.611

まとめ

「スカイライン350GT Hybrid」は、パワーユニットはもちろん、「ダイレクトアダプティブステアリング」など先進的な機構を盛り込み、サスペンションもよく熟成された完成度の高い一台と言えると思います。ただ、あまり過剰に「走り」をもとめると、ちょっと違うかな? という印象を持つかもしれません。古い世代の人間だと箱スカ、その次の世代だとR32という過激な「GT-R」は別に設定されています。このスカイライン350GT Hybridは、かつてはワインディングでヒールアンドトウを駆使して走っていた層が、やんちゃは卒業したけれど、走りへのこだわりは捨てたくない……と思ったときにベストな選択肢として存在しているのかもしれません。