【トヨタ ハリアー ハイブリッド 試乗(DAA-AVU65W-ANXMB)】E-Fourシステムは素直な走りにも貢献

SUV人気の一角を支えている「トヨタ ハリアー」ですが、2013年に3代目が登場しました。それまでよりもコンパクトとなったボディ、2.0リッターに加え2.5リッターのダウンサイジングエンジンとハイブリッドの組み合わせ、E-Fourと呼ばれる電子制御のリヤモーターによる4WDなど、最新のメカニズムで見どころの多い一台となっています。各部の解説と試乗時の感想を紹介しましょう。(飯嶋洋治)

トヨタ ハリアー ハイブリッドとは?

三代目はコンパクトに。エンジンもダウンサイジング。

photo by toyota

2013年12月に市場投入された現行「トヨタ ハリアー」。1997年に「高級クロスオーバーSUV」として初代が投入され、トヨタの新たなブランドイメージを作ってきただけでなく、世界ではじめてプリクラッシュセーフティシステムを採用するなどの先進性ももったクルマです。2代目を経て、現行型でも、「高級・進化・新規」をキーワードとして、ユーザーの高級クロスオーバーSUVに求める期待に沿うべく開発されました。その中でも注目なのが、リダクション機構付のTHS(トヨタハイブリッドシステム)II+E-Four(電気式4輪駆動)が採用された「ハリアー ハイブリッド(GRAND、ELEGANCE、PREMIUM、PREMIUM“Advanced Package”の4グレード)」です。

トヨタ ハリアー ハイブリッドのエクステリアは?

ラグジュアリーなだけではなく、まとまり感のあるデザイン。

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好き嫌いのわかれるデザインだとは思いますが、全体的には2代目にくらべてまとまりのある感じだと思います。グリルとライトの処理などで、フロントフェイスは近未来的なものとなっています。フロントバンパーのコーナー部は、ぐっと後方に引かれ、立体で力強い塊感を表現、合わせてシャープさと彫りの深い造形が印象的です。初代、二代目から引き継ぐ水平基調のプロモーション、前掲したクォーターピラーは疾走感を演出しています。張り出したホイールフレアもタイヤの踏ん張り感を表現し、より安定感のあるイメージを醸し出すのに貢献しているといえるでしょう。二代目に比べて若干ですがボディがコンパクトになっています。

トヨタ ハリアー ハイブリッドのインテリアは?

見た目の高級さだけでなく、機能性の高さを感じさせるのが好感!

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いわゆるラグジュアリーな雰囲気を楽しむクルマでもあるので、そういった豪華さの演出も目立ちます。スペース的には解放感があるというよりも、どちらかというとタイトな感じ。結構「走りの機能」に振ったのかな? というのが第一印象でした。センタークラスターは静電式スイッチを採用しており、タブレット端末のように使えるのは先進性を感じさせる部分です。細かに見ていけばドアプルハンドルはインパネからの一体感を感じさせますし、フロントドアトリムオーナメントはハリアーマークのエンボス加工とされるなど、高級感と統一感に気配りされていることが見て取れます。

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トヨタ ハリアー ハイブリッドのパワーユニットは?

2.5リッターアトキンソンサイクルエンジンに143psを発揮するモーターの組み合わせ!

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搭載されるガソリンエンジンは「2.5L 2AR-FXE」と呼ばれます。これはアトキンソンサイクル(圧縮時に吸気バルブを遅く閉じることによって、圧縮行程を短く膨張行程を長くして熱効率を高める)と、クールドEGR(排気ガスの一部を冷却して燃焼室に戻し熱効率を高める)などされたハイブリッド用エンジンです。これに143psを発揮するフロントモーターが組み合わされてハイブリッドシステムとなっています。

4WDシステムはリヤモーターが受け持つ。68psで強力にサポート。

ハリアーハイブリッドは4WDですが、リヤタイヤは、リヤアクスルに配置されたモーターによって駆動されます。このモーターは68psを発揮。全開加速時、そして強力なトラクションが必要となる雪道などで4WDに切り替わることで操縦安定性を高めます。使用される駆動用のバッテリーは、ニッケル水素となっています。搭載位置はリヤシート下となり、2分割に収納することによりラゲージスペースを犠牲にすることなく確保しています。

このエンジンと前後のモーターによるハイブリッドシステムにより、JC08モード走行燃費21.8km/L[CO2排出量:106g/km]となり燃費性能の向上とCO2排出量削減を図っています。

トヨタ ハリアー ハイブリッドのボディ、サスペンションは?

ボディ剛性は高張力鋼板の採用を拡大することなどで向上!

ボディは操縦安定性向上のため、小型化するとともに高張力鋼板の採用範囲を拡大しています。ボディ各部の結合方法を改良することによる剛性の向上はもちろんのこと、静粛性にも十分な配慮がされたといいます。吸遮音材・制振材の配置の工夫、高遮音ガラスの採用など、車内への音の侵入を効果的に防ぐ手段を取り、高級車として不足のない静粛さを確保しています。

ストラット&ダブルウイッシュボーンサスペンションに加え、モーターによる「バネ上制振制御」を採用。

フロントサスペンションはストラット式、リヤサスペンションは ダブルウィッシュボーン式となっています。ショックアブソーバーには路面や走行状況に合わせて減衰力を変化させるFAD(振動数感応)ショックアブソーバーを採用しています。電動パワーステアリングの制御も新しくされ、乗り心地、操縦安定性の向上を図りました。さらに、ハイブリッドでは、路面の凹凸に応じて、モーターのトルクをリアルタイムに制御することで、ピッチングを抑制する「ばね上制振制御」が備えられています。これが後述するハリアー ハイブリッドの滑らかでフラットな乗り心地に一役買っていることは間違いないでしょう。

トヨタ ハリアー ハイブリッドの乗り心地は?

見た目だけかな? と思っていたものの、走りの良さに脱帽!

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個人的にSUVというジャンルにあまり興味がないことや、先代に比べてコンパクトになったといっても大柄のボディにはかわりなく、気の進む試乗とは言えませんでした。ですが、先述したように割とタイトな感じもあるコクピットに座り、スタートさせるととても滑らかな乗り心地は好印象でした。一般走行でリヤモーターは使うことなく、ほとんどFFでしょうが、パワーも十分。視線の高さを含めそれほど取り回しも悪い感じもせず、「けっこういいかも」という気持ちに変わっていきます。

FADショックアブソーバーの効果ももちろんあるのでしょう。65扁平(ELEGANCE)という現代的にいうと扁平率の高いタイヤの影響も大きいように思います。一般的にはこのくらいのタイヤでいいのでは? というのは低扁平タイヤに乗りなれた最近の全般的な感想でもあります。

峠道でも素直な操縦性能。ダート走行でも安心の走り!

峠道などでは、ソフトすぎるかというとそうでもなく、結構スポーティに走ることも可能です。もちろん一定の速度域ですが、あまり背の高いSUVということは感じませんでした。この辺はサスペンションセッティングも上手に行ったところだと思います。電動パワーステアリングのステアリングフィールも違和感のないものでした。

必要に迫られて? 未舗装の峠道も数キロ走りました。「撮影用にちょっと高めのスピードでコーナリングを」という指示があったので、それなりのスタートダッシュとコーナリングを試してみましたが、それほど強い入力がボディに入るのを感じることもなく、コーナリングもごく安定したものでした。「バネ上振動制御」の効果も出ている面もあるでしょう。こういうところに、見せかけだけでない実用的な4WDの良さを持っているのは美点だと思いました。

主要諸元

型式

DAA-AVU65W-ANXMB(グレードは「ELEGANCE」)

サイズ

全長☓全幅☓全高 4,720mm☓1,835mm☓1,690mm
ホイールベース 2,660mm
トレッド(前/後) 1,570mm/1,570mm
最低地上高 175mm

重量・定員

車両重量 1,770kg
車両総重量 2,045kg
定員 5名

性能

最小回転半径 5.4m
ハイブリッド燃料消費率(JC08モード) 21.4km/L

エンジン

型式 2AR-FXE
種類 直列4気筒DOHC
総排気量 2,493cc
内径×行程 90.0mm×98.0mm
圧縮比 12.5
最高出力 112kW(152PS)/5,700rpm
最大トルク 206Nm(21.0kg-m)/4,400-4,800rpm
燃料/タンク容量 無鉛レギュラーガソリン/56L

電動モーター

型式 2JM
種類 交流同期電動機
・フロント
最高出力 105kW(143PS)
最大トルク 270Nm(27.5kgm)
・リヤ
最高出力 50kW(68PS)
最大トルク 139Nm(14.2kgm)
システム全体 145kW(197PS)

駆動装置

駆動方式 E-Four(電気式4輪駆動方式)
トランスミッション 電気式無段変速機
減速比 3.542

駆動用バッテリー

種類 ニッケル水素電池
個数 34
接続方式 直列
容量 6.5Ah

操向装置

ステアリング形式 ラック&ピニオン式

緩衝装置

フロント ストラット式コイルスプリング
リヤ  ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング

制動装置

主ブレーキ形式(前/後) ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤ

サイズ 225/65R17

まとめ

割と「見た目」や「押し出し感」で判断される、こうした高級SUVですが、今回、ハリアー ハイブリッドに乗った感じでは、しっかりと走行性能も確保されているというのが最終的な結論でした。先代に比べひとまわりコンパクトになっていること、ガソリン車、ハイブリッド車ともにエンジンがダウンサイジングされて環境性能が向上されていることなど、ある意味、これまでのユーザーに対してはかなり勇気の必要なモデルチェンジだったのかなとも思います。ボディ剛性の高さも感じさせますし、サスペンションは本当にいい印象を持ちました。一般走行はもちろん、(本格的なオフローダーにはかなわないとしても)ある程度ヘビーデューティな使い方に応えてくれる、総合点の高い一台と言えるでしょう。