【マツダ アクセラ スポーツ15C(DBA-BM5FS) 試乗】峠道が楽しいエコなホットハッチ!

マツダが「SKYACTIVE TECHNOLOGY」を前面に押し出し存在感を増したのが2013年といえます。その中でも最初にスポーティなイメージで印象に残るのが「アクセラ スポーツ」で、現在もマツダの代表車として存在感を保っています。今回は、2014年にアクセラスポーツ15Cの試乗したときの印象と合わせて同車を紹介します。(飯嶋洋治)

マツダ アクセラとは?

「SKYACTIV TECNOLOGY」を全面採用することで、先代から大きくチェンジ!

photo by mazda

「技術」というよりは、マツダならではのクルマ作りの哲学ともいえる「SKYACTIV TECNOLOGY(スカイアクティブテクノロジー)」を前面に押し出しているマツダの代表車ともいえるのが、今回紹介する3代目のアクセラです。ラインナップでは1.5リッターガソリンエンジン、2リッターガソリンエンジン、2.2リッターディーゼルエンジン、そしてハイブリッドエンジンがありますが、今回試乗したのはアクセラ スポーツ1.5Cという基本グレードともいえるものです。ボディタイプにはセダン(アクセラ セダン)とハッチバック(アクセラ スポーツ)があります。もともとコンパクトなボディとスポーティさがウリのクルマですが、そういう意味でも15Cのハッチバックは、一番アクセラの良さが出ているグレードではないかと思います。

エクステリアは?

低く流麗なコンパクトハッチで、シンプルにかっこいい!

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ハッチバックの15Cをはじめて見たときの印象は素直に「かっこいい!」 というものでした。マツダのデザインテーマである「魂動(こどう)」をよく体現した、「躍動感のあるデザイン」になっているなどという抽象的な言い方もできると思うのですが、冷静に? 見てみると、車高も全体的に低く、スタイルに間延びがしたところがないという部分が大きいのかもしれません。セダンの方が流麗ではあるのでしょうが、リヤの処理などを含め全体的なバランスを考えるとやはりハッチバックの方がいいかなと思います。試乗車のボディカラーはソウルレッドプレミアムメタリックで、ちょっと渋い赤という感じも悪くありませんでした。

インテリアは?

車格以上に上質で「その気にさせる」スポーティなコクピット

photo by mazda

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いわゆる高級車ではありませんから、インテリアには、当然ある程度の割り切りは必要か? と思ったのですが、「けっこうしっかり作ってあるな」という印象を持ちました。スポーティなエクステリアにふさわしい機能性の高さを感じさせるように思いますし、少なくとも安っぽいというイメージはありませんでした。

試乗当日は結果的に峠道を走ることが多かったのですが、コーナリングの際もシートのサイドサポート不足も感じませんでしたし、長時間の運転となったにも関わらず疲れたという感覚は少ないものでした。これは、マツダなりの「ドライバーオリエンテッド」という考え方が反映されているから、などと書くと褒めすぎになってしまうかもしれませんが……。ただ、特にハッチバックの場合はフロントが優遇されている分、2列目シートの居住性は犠牲になっているのは致し方ない部分かもしれません。

パワーユニットは?

高圧縮比化で燃焼効率アップ。ノッキング対策も入念に。

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15Cに搭載される1.5リッターガソリンエンジンは、「SKYACTIVE-G」と呼ばれるものです。自然吸気エンジンとしても13.0というのは高圧縮比ですし、それが特徴でもあります。エンジンは圧縮比を高くしていけばパワーが出る方向となるのですが、高めすぎればスパークプラグが点火する前にノッキング(ピストン周辺での異常燃焼)が起き、最悪の場合はエンジン内部が破損してしまいます。ここをどう防ぐかがポイントとなります。

タンブルポートの速い燃焼と、直噴による冷却でシリンダー内を冷却する。

そこでマツダはいくつかの対策を講じました。一つは、燃焼室内に強いタンブル流を作ることで、より良い点火を行い燃焼速度を向上させたことです。これを「高タンブルポート」と名付けています。もうひとつがマルチホールインジェクターです。このエンジンは吸気行程で混合気を燃焼室内に取り込むのではなく、空気を取り込んで、そこにガソリンを噴射する「直噴エンジン」なのですが、マルチホールによって、より均質で流動の強い混合気を作り出すことを可能としています。さらに、直噴ということで、ガソリンによる気化潜熱を利用してシリンダー内を冷却することができ、ノッキングを抑えることに貢献しています。

カタログパワーは111psと控えめな(といっても1.5リッターエンジンと考えると悪くはないのですが……)数値となっていますが、体感的な性能はそれをしのぐものでした。これについては後に触れます。

ボディ、サスペンションは?

高剛性ボディと、よくしつけられたサスペンション。

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良い走りを支える土台ともいえるボディも見直され、高剛性化が図られています。高張力鋼板の使用率は60%となり、これは先代より10%増しとなりました。特にボディ剛性に影響するサイドシル(ドアの下の袋状の部分)には、超高張力鋼板を使用するなどして、ねじり剛性だけで見るとハッチバックでは先代よりも31%、セダンでも28%向上しているそうです。この辺は後述しますが、走りの良さに良く反映していると思いました。

サスペンションはフロントストラット、リヤはマルチリンクとなっています。どういうジオメトリーとなっているのか詳細はわかりませんが、乗った感じの直進安定性の高さや、ハンドルの初期応答の感じからすると、キャスター角を大きくとってドイツ車風の安定志向に振ってあるような感じがしました。リヤのマルチリンクの動きも後述しますが、安定性と軽快さがバランスするうまいセッティングだと思いました。

乗り心地は?

1.5リッターをなめてはいけない! 活発な動力性能。

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試乗当日は、一般道、高速道路、峠道といろいろなシチュエーションが楽しめました。まずは都内の細い路地からスタートしたのですが、やはりサイズ的にコンパクトなために取り回しの良さが際立ちました。足回りはやや硬めかなという程度で、乗り心地にも不満はありません。高速道路に入って気が付くのは、エンジンの良さでした。1.5リッターという排気量や、残念ながら? MTではなく6速ATの方だったので、まったく期待していなかったのですが、軽くアクセルを踏み込むだけで、いつの間にかスーッと車速が乗っていく感じです。エンジンの静粛性も高いように思いました。正直に言えば、もう少しレブリミットが高ければという感じはあります。

サスペンションに関しても100km/h程度で高速道路を巡行している限りは、不安を感じさせるような部分はありません。もし自分のクルマだったら、もう少しかためるかもしれないな? とは思いましたが、普通にのっている限りは乗り心地もよく、必要にして十分な感じです。

さて、お待ちかねの峠道に入ります。ここで諸般の事情で時間が押して、到着時間に間に合わせるためにやや高いペースで走らなければならなくなってしまいました。同乗者に了解を得て峠道を比較的ハイペースで走ります。そこでアクセラの本領を見ることになります。もちろん、もちろんある程度のスピード域でのインプレッションですが、とにかくワインディングが楽しいクルマです。

一定の速度域では常に従順な走り。いつまでもワインディングを走りたい!

ATのマニュアルモードの2、3速あたりを積極的に使って走れば、登り勾配でも、まず動力性能で不満を感じることはありませんでした。エンジンはアクセルワークに忠実に反応してくれます。操縦性に関しては、「鋭い」とまでは言いませんが、FF的なフロントの重さも感じさせずに、かなり素直な回答性を見せます。それに応じてリアサスペンションもきれいに追従してくる感じで、不安な挙動は見せませんでした。普通にブレーキングからステアリングを切り込み、アクセルを踏むという手順を保っているだけで、十分に速い感じです。重心位置やサスペンションジオメトリーの関係もあるのでしょうが、それほど硬いサスペンションではないにも関わらずロールも適度に抑えられている感じで、高速道路で感じた印象とは逆に「これならミニサーキットくらいならノーマルの足でいいんじゃないか?」と感じました。

おそらく3、40キロのワインディングを走ったと思うのですが、それでも楽しい、まだ走っていたいと思わせる、という意味では、このアクセラは特筆していいと思いました。もちろん、限界域まで攻め込んだら、また話は別になるのでしょうが……。

唯一、不満に感じたのが後方視界があまりよくないことでしょうか? 一度、狭い路地でバックしなければならないシチュエーションがありました。バックモニターが付いているので、事実上問題はないのですが、目視でやってみる見づらいと思いました。この辺はもしかするとデザイン優先から来ている面があるのかもしれません。ビギナードライバーなどは慣れが必要になるでしょう。

主要諸元

車両型式

DBA-BM5FS

エンジン

型式 SKYACTIV-G 1.5
種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量 1.496cc
ボア×ストローク 74.5×85.8mm
最高出力 82kW(111ps)/6,000rpm
最大トルク 144Nm(14.7kgm)/3,500rpm
燃料供給装置 電子制御燃料噴射装置
使用燃料/タンク容量 無鉛レギュラー/51L
駆動方式 前輪駆動(FF)
燃料消費率(JC08モード) 20.4km/L

トランスミッション

6EC-AT

サイズ

全長 4,460mm
全幅 1,795mm
全高 1,470mm
ホイールベース 2,700mm
トレッド(フロント/リヤ) 1,555mm/1,560mm
車両重量 1,260kg
最小回転半径 5.3m
乗車定員 5名

サスペンション

フロント マクファーソンストラット式
リヤ マルチリンク式

ブレーキシステム

フロント ベンチレーテッドディスク
リヤ ディスク

タイヤサイズ

205/60R16

まとめ

試乗したのは2014年で、まだアクセラが登場して間もなくのことでした。その時は私自身、新車に試乗するというのは、ずいぶん久しぶりのことだったので、アクセラ云々の前に、最近のクルマの出来の良さを鮮烈に感じた面があり、その分アクセラの評価も高くなってしまったのかもしれません。ただ、この試乗の後にマツダの技術者と話しをする機会があったのですが「MTはもっと楽しいですよ!」と自信たっぷりに語っていました。こういうクルマ好きの社員が少なからずいるということも、現在のマツダのクルマの面白さにつながっているのかもしれません。