【マセラティ ブーメラン】世界に一台のショーカーの現在が意外なことに!?

世に自動車のショーモデルは数あれど、数十年間も人の記憶に残るものは一体どのくらいあるのでしょう。1971年にイタルデザインのショーカーとして発表された、マセラティ ブーメラン。この一台、記憶上の印象だけでなく、その価値も年々上がり続けているという、現役のショーカーなのです。

1971年のトリノに降り立ったフューチャーマシンが マセラティ ブーメラン

時間の経過とともに、「未来」の姿も常に変化してゆきます。だから、1980年代に想像された、空を飛んだり時間旅行をするクルマも、残念ながら未だに登場してはいません。

世界的自動車デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロは、1971年のトリノ自動車ショーで先鋭な未来像を描きました。そのイメージを託された自動車こそ、マセラティ ブーメラン(マセラッティブーメラン)というコンセプトカーだったのです。

もちろん、その名称である「boomerang」は、オーストラリアのアボリジニが使う、伝統的な狩猟道具からもらっています。

超絶デザインで多くを魅了したブーメラン

1971年に公開されたマセラティ ブーメランは、その車体がモックアップであり、単純にデザイン提案を目的としていました。しかし、翌年のジュネーブショーには、自動車としての機能を備えたロードゴーイングカーとして登場します。

そのボディパネルは、アルミニウム製の一品成形もの。また、シャーシ部分には、マセラティ ボーラ からの流用パーツが使われています。全体の形状デザインは、度を越えたといわれそうに大胆なウェッジシェイプ。ドア部分からは、ガラス製のシールドがルーフへと続いています。このブーメランが与えた強烈な印象は、この後に登場するマセラティ カムシン などへも、ある程度以上の影響を与えたといって過言ではないでしょう。

インテリアにおいてもっとも目立つのは、そのステアリングホイール周辺です。いくつかのメーター類を、ハンドル円周の内側に沿うように配して、ホイールを含めたそれらがコンソールの一部となっているのです。

ミッドシップにマウントされたのは、出力が228kW(310ps)でトルクは460N・m(46.9kgf・m)の、V型8気筒DOHCエンジンです。排気量は4.7L。トランスミッションは、5速のマニュアル式で後輪へと駆動力を伝達します。また、サスペンションは、前後ともにダブルウィッシュボーン式を採用しています。

そのボンネットに描かれた巨大な「トライデント」のマークは、この車がマセラティを象徴するモデルであることを、強く主張するものでした。

オークションで約3億8千万円で落札されて、実は公道を走っているブーメラン

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1972年のショーモデルは、1974年までヨーロッパ各所の自動車ショーなどで展示され、最後はスペインへと移動し保存されました。

この車の運命に、再び大きな動きが見られるようになったのは、1980年のこと。とあるマセラティマニアの目に止まったのがきっかけです。この男性は、ベニドルムというスペインのリゾート地で、キャバレーを経営している人でした。

彼は、1972年のショーモデルをじかに目にしていた人物。その時ブーメランが発していた強烈な印象に魅了されましたが、もちろん展示品では購入は不可能。当時は、飾り物のモデルで我慢していたのです。しかし、現物の車体を目にした今、彼はそれを買い取りたい衝動を抑えきれませんでした。

かくして、最初のオーナーとなったこの人物は、すぐに大掛かりなレストア作業を開始し、ブーメランを再び走れる自動車へと復活させました。これは、1990年にパリで行われたショーで展示されることになります。

その後、再び新しいオーナーへと売り渡されたブーメラン。同時に、再び大掛かりで慎重なリストア作業を受け、公道走行のためのナンバーも取得します。このときの修理には18か月の時間と、2万ポンドの予算が費やされました。

この車体はさらに、2005年のクリスティーズオークションで落札され、次のオーナーのもとに渡されることとなります。その価値は、約1億840万円でした(落札時)。そしてさらに、2015年にフランスで行われたボンハムズ(Bonhams)のオークションへも出品され、なんと3,335,000ユーロ(2016年6月の円レートでは、約3億8千万円)で落札。現在、4人目のオーナーの手元へと渡っています。

【諸元表】マセラティ ブーメラン

名称:マセラティ ブーメラン
エンジン排気量:4,719cc
エンジン出力:228kW(310ps)/6,000rpm
エンジントルク:460N・m(46.9kgf・m)/4,200rpm
全長:4,342mm
全幅:1,860mm
全高:1,070mm
ホイールベース:2,600mm
サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(前)/ ダブルウィッシュボーン式(後)

幻のマセラティ ブーメランを手に入れる方法

日本国内でも、マセラティ ブーメランのような自動車が欲しい、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。

世界に1台しかないので、オーナーが手放さない限り入手することはできません。また、売却もオークションにかけらるでしょうから、どのくらいの金額になるのか予想できません。ここでは視点を変えてみることにして、プラモデルのブーメランはいかがでしょうか? これまで、いくつかのモデルが発売されています。もし、ブーメランの魔力に魅了されてしまったなら、そんな中からお気に入りをみつけるのも手かもしれません。

スーパーカーといったら、やはりミニカーでコレクションするのが最高。たとえば、「1/43 マセラティ ブーメラン(レッド)」とういのもあります。現実には色はシルバーですが、こういったのも空想を掻き立てて楽しいのではないでしょうか。

NEO 1/43 マセラティ ブーメラン 1972 レッド

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自分で組み立てるマセラティ ブーメラン。つまりプラモデルの方はどうでしょうか。静岡県のプラモデルメーカー、アオシマがかつてリリースしていたものが、2016年の6月時点で、ちょうどアマゾンに出品されています。

アオシマ 1/16 マセラティ ブーメラン モーターライズ

¥32,000

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元来、まさに幻の中の幻である、そんな一台がマセラティ ブーメランです。ホビー用品の世界でも、現在は品薄になっているようですね。

マセラティ ブーメランのまとめ

若干、言い方が悪いですが、その尖りすぎたデザインが今ではジョークのネタになりそう、そんなマセラティ ブーメランです。

しかし驚異的なのは、世界に立った一台しかないこのクルマが、コンセプトカーとして発表後40年以上経過した現在でも、ちゃんと動く状態として存在することです。

まさに、マセラティ・エーンスージアスト様達の、トライデントマークに対する愛情が結実した姿がそこにある、といえそう。それが、このブーメランなのです。