【ルノー キャプチャー カンヌ】カンヌ映画祭の名を冠した50台限定車

「カンヌ国際映画祭」といえば、「ベルリン国際映画祭」、「ベネチア国際映画祭」と並んで世界三大映画祭のひとつ。今回発表された「ルノー キャプチャー カンヌ」はまさにその名を冠したクルマで国内50台限定車となります。ルノーと映画の長い関わりも含めて、今回は同車を紹介していきましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

ルノー キャプチャー カンヌとは?

「カンヌ国際映画祭」との長い関係性から生まれた限定車

まず、「ルノー キャプチャー カンヌ」の紹介をする前に、2014年に発売されたベース車となる「ルノー キャプチャー」についてざっと解説しておきましょう。現在、ルノーではデザイン戦略として「サイクル・オブ・ライフ」を提唱しています。これは同社の企業理念である「ヒューマンセントリック(人間を中心としたクルマ作り)」を出発点とし、6 つのライフステージをひとつのサイクルと考え、このサイクルを通じてブランドと人を繋ぐことを目的としたものといいます。具体的には、(1)人と人が出合い恋に落ち(LOVE)、(2)ふたりは世界中を旅し(EXPLORE)、(3)家族を持ち(FAMILY)、(4)働いて充足し(WORK)、(5)余暇を楽しみ(PLAY)、そして(6)賢さを得る(WISDOM)という形で表されます。その二つ目のステージである「出会ったふたりが世界中を旅し知見を広げる:EXPLORE」が「ルノー キャプチャー」となります。

「ルノー キャプチャー カンヌ」は、その特別仕様車で、「カンヌ国際映画祭」から「カンヌ」の名前を冠しています。ここではルノーとカンヌ映画祭の関係を説明しなければなりません。「カンヌ国際映画祭」はフランスを代表する映画祭として有名ですが、ルノーは1983年から協賛を続けているそうです。今年5月に行われた第69回カンヌ国際映画祭でも300台を超えるルノーがオフィシャルカーとして提供されています。ちなみにルノーと映画(映像)という関係になると、時代がもっとさかのぼり、フランスの映画発明者、映画の父とも呼ばれるリュミエール兄弟がルノー車を映像化したところまでさかのぼるそうです。ルノーの本社はフランスのブローニュ=ビヤンクールにあり、そこに初の映画スタジオも作られたという経緯から、ブローニュ=ビヤンクールはルノーの工場があり映画スタジオもあるという街になったわけです。

エクステリアは?

アクティブなSUVの要素と、ファッショナブルなフランス車の要素を併せ持つ。

photo by iijima

「ルノーキャプチャー カンヌ」のベースとなっているのは、「ルノーキャプチャー インテンス」というバージョンです。前述した「サイクル・オブ・ライフ」の一環である「Explore」というテーマが示すように小型(Bセグメント)のクロスオーバー車となっています。車高も高くホイールベースも長くというのは、いわゆるSUVの本道を行くものです。ただ、単なる実用本位のクルマに終わらせていないところがフランス車の真骨頂といえる部分でしょう。力強さだけでなく、曲線、曲面を巧みに使った柔らかさを併せ持つエクステリアデザインとなっています。

「カンヌ」独自の仕様としては、「ブルーマリーン フュメ+カプチーノメタリック」と「イヴォワール+カプチーノメタリック」という専用のボディカラーを設定したこと。そして、カンヌ映画祭で最高賞である「パルム・ドール(黄金のシュロ)」のエンブレムが入ります。

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インテリアは?

特別仕様として9インチの大型ナビゲーションを装備。

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コンパクトなボディサイズの中でも、ホイールベースを極力長くとったため、居住空間は広目となりました。飛行機の翼からインスピレーションを得たというダッシュボードは国産車とは一線を画すデザインといえるでしょう。

機能面では、ステアリングのチルト調整量は60 ㎜、テレスコピック調整量は50 ㎜を確保しました。運転席の高さ調整も可能ですから、ドライビングポジションで苦労するということはないでしょう。

センタークラスターには、「カンヌ」の特別仕様としてブルーレイ対応高画質9インチSDナビゲーションシステムが配されます。これは他のバージョンと同一ですが、メーターパネルは、デジタル速度計を中央に配置し視認性の向上を図ったファインビジョンメーターを採用しました。

フロントシートは、貝殻(シェル)のような形状の、背面に樹脂フレームを使用したシェルシートを採用。これは、人の体形にフィットする形状で、繭に包まれたような心地よい座り心地を目指したものです。「カンヌ」には、これに加え、全席ヒートシーター付き専用レザーシートが装備されます。

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パワーユニットは?

1.2リッターターボエンジンで、実用域で使いやすい動力性能を確保。

パワーユニットは「ルノー キャプチャー」と共通ですが、ルノー ルーテシアと同じ1.2L 直噴ターボエンジンが搭載されています。筒内直接噴射方式、ダブルVVT(可変バルブタイミング)、ターボチャージャーを組み合わで、本年3月のマイナーチェンジにより仕様変更され、より使いやすくなりました。

最高出力は旧来の120psから118psとダウンしたものの、トルクを205Nm/2,000rpmと厚くしました。従来から、消費燃料を抑えるために、可動容量式電動オイルポンプ、低フリクションタイミングチェーン、グラファイトピストンスカート、DLC(Diamond Like Carbon)コーティングカムシャフトタペットを採用しているのは同様です。

さらに減速時にはオルタネーターを稼働させてバッテリーを充電する回生機構と、バッテリーからの電源供給機会を増やしてエンジン負荷を軽減し、燃料消費を抑える機能を組み合わせた、エナジースマートマネジメント(ESM)も搭載されています。本年のマイナーチェンジではストップ&スタート機能(アイドリングストップ)も搭載され、より燃費性能の向上を図りました。

6速エフェシエントデュアルクラッチは、イージーな走りもスポーティな走りも可能。

トランスミッションは6速エフィシエントデュアルクラッチを採用しています。これは2組のクラッチシステムを持つトランスミッションで、操作自体はコンベンショナルなATと同じです。ただ、2組のクラッチシステムが効率良くエンジンからの力を伝える機構となっており、ファイナルギヤもギヤによって2種類設定するなど燃費の向上を図っています。デュアルクラッチということで、マニュアルモードでも素早いシフトが可能となり、スポーティな走りも楽しめる仕様です。

サスペンションは?

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ストラット、トーションビームとオーソドックスながら、各部を最適化。

「カンヌ」に限りませんが「ルノー キャプチャー」のフロントとリアのサスペンションは、日本未導入のルノー ルーテシア エステートから派生したもので、大径ホイールに対応するものとなっているそうです。フロントサスペンションはマクファーソンストラットで、ツインブッシュ付のロワアームに結合されています。これは縦方向と横方向からの負荷の影響を最小限に抑えることを考慮したものです。

リヤサスペンションは、トレーリングアーム式で、コイルスプリング付のプログラムドデフレクショントーションビームで構成さています。トーションビームとアンチロールバー(スタビライザー)は、ロールコントロールを最適化を狙ったチューニングが施されています。シャシーは、ハッチバックよりもわずかに高くなった重心を考慮したものとなっているそうです。

その他、バランスのとれた走行性能の確保とボディロールの最小化のために、ロール剛性の前後バランスの適正化を図り、ハンドリング、安全性、そして快適性のために、ダンパーも最適化されています。

主要諸元

車両型式

ABA-2RH5F1

エンジン

型式 HSF
種類 ターボチャージャー付筒内直接噴射直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量 1.197cc
ボア×ストローク 72.2×73.1mm
最高出力 87kW(118ps)/5,000rpm
最大トルク 205Nm(20.9kgm)/2000rpm
燃料供給装置 電子制御式マルチポイントインジェクション
使用燃料/タンク容量 無鉛プレミアム/45L
駆動方式 前輪駆動(FF)
燃料消費率(JC08モード) 17.2km/L

トランスミッション

6速エフィシエントデュアルクラッチ
ギヤ比
1速 4.307
2速 2.476
3速 1.447
4速 1.019
5速 0.844
6速 0.653
リバース 3.858
最終減速比
第一 3.950(1,2,5,6速)
第二 4.388(3,4速)

サイズ

全長 4.125mm
全幅 1.780mm
全高 1,585mm
ホイールベース 2.605mm
トレッド(フロント/リヤ) 1,530mm/1,515mm
車両重量 1.280kg
最小回転半径 5.5m
乗車定員 5名

サスペンション

フロント マクファーソン/コイル
リヤ トーションビーム/コイル

ブレーキシステム

フロント ベンチレーテッドディスク
リヤ ドラム

タイヤ/ホイール

タイヤサイズ 205/55R17
ホイールサイズ 6.5J×17

まとめ

「ルノー キャプチャー カンヌ」の発表会ではスクリーンに「Renault aime le cinéma(ルノーは映画のことが好き)」と大きく映し出されました。1900年代初頭のリュミエール兄弟との関係から現在まで、そのスタンスは連綿と続いています。今年も毎月のように各地の映画祭などに同社は協賛し、クルマの貸し出しなどを行っているそうです。その中でも一番大きいのが「カンヌ国際映画祭」で「ルノー キャプチャー カンヌ」はそういう土壌の中で育まれた特別仕様車となるわけです。

ちなみにカンヌ映画祭では200台から300台のルノー車が、約20,000回くらい、映画監督や俳優などの関係者を送迎するそうです。こういう絶え間ない文化的な取り組みが、フランス国内はもちろん日本を含めた世界中にルノーファンを根付かせている要因となっているのは間違いないようです。

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