【オペル スピードスター】ロータスの血筋を強く受け継ぐ尖ったスポーツカー

オペルと聞くと、まるっこくて温厚なイメージの自家用車を思い浮かべます。GMグループの中でも、世界中に小型車などを供給しているブランドですが、やっぱり真面目さが最大のウリになっているでしょう。ところが、そのオペルが以前、ちょっと過激なことをやってしまっていたのです。それが、オペル スピードスターです。

オペル100年間の歴史を背負ったピュアスポーツ

2000年当時、ヨーロッパ域内での安全基準変更の影響もあってか、ロータス カーズ社は人気車種エリーゼの全面改良に迫られていました。そして当時、同社と提携関係にあったオペルAG社に資本上の支援を求めたのです。

同じ時、オペルの方は自動車生産100周年を迎えていましたから、何かモニュメンタルなモデルを求めていたでしょう。そんなこんなで両社の話はうまくまとまり、オペルから出資する代わりに、新型エリーゼの骨組みをオペル用にも使用する契約が成立。そして生まれた「超尖ったオペル車」が、オペル スピードスターという本物のスポーツカーでした。

このクルマ、製造もロータス社が請け負うこととなり、イングランドはノーフォークのヘゼル工場で、2000年に製造がはじまります。そして、イギリスにおいてはボクスホール VX220として、販売もされることとなりました。と言うことで、ロータスの血筋を強く受け継ぐオペル車であったのが、この純粋スポーツカーなのです。

オペルの枠を超えたレーシーな作り

ロータスのスポーツカーは、軽量&コンパクトが真髄。そのために、アルミの押し出し材をエポキシ接着剤で張り合わせるという、シャーシの組みたて方法が採用されています。もちろん、スピードスターもそうやって作られました。

ロータス エリーゼも、このオペル スピードスターも、当然のことながら2シーターのミッドシップレイアウト。ただ、エリーゼはエンジンにもトヨタ製の排気量1.8Lというコンパクトなものを搭載するのに対し、スピードスターはGM製の2.2Lエンジンを使用します。「Ecotec」と呼ばれるこのタイプは、出力が110kW(149ps)でトルクは203N・m(20.7kgf・m)の性能です。数字的には驚きは感じられませんが、高々870kgしかない車体重量のスピードスターは、十分に俊敏に走り回りました。この車体の軽量化には、オペルは相当のこだわりを見せていて、内装のかなりな部分を完全に削除して、アルミ素材が露出している部分もあるほどです。

それでも、もっとシゲキが欲しいという要求が強かったのも事実。それに応え、2002年の終盤には排気量2.0Lのターボエンジン仕様も追加されます。出力が147kW(200ps)で、トルクは250N・m(25.5kgf・m)にスープアップされたこのモデルは、最高速度が240km/h以上に到達。停車状態から時速60マイルまでの加速には、わずか4.7秒しかかからない速さを手に入れました。このエンジンはロータスの方にも移植され、さらにチューニングされたものが、2006年登場のロータス ヨーロッパSへ搭載されました。

サスペンションは、前後ともにダブルウィッシュボーン式。変速機は、ゲトラグ製の5速マニュアルトランスミッションのみです。装着されるタイヤは、前に175/55 R 17、後ろには225/45 R 17となっています。

エアコン非搭載、シートもリクライニングしない!?

そのルックスは、脱着ルーフのオープンカー。とても低い車高のため、大柄な人は耐え難いほどに体をねじって乗車する。まさに、スポーツカーの中のスポーツカーとなったのが、このスピードスター。ですので、車としてのラグジュアリー性は、かなり切り捨てられてもいます。

多くの場合、一番のネックとなるのが、エアコンが非搭載であるということでしょう。これは、日本みたいな国にとっては大きな問題。多くの人が、ブログやサイトでこのことに言及して、エアコン取り付けの手段を探っているようです。しかし、うまく載せられたという話はなさそう。ベースとなったエリーゼが、ちゃんとエアコン付きとなっているので、ますます不満に思えてしまうようです。

実際、座席もリクライニングしないものが装着されていますし、背後にはエンジンがみっちり詰まっているので、エアコンのコンプレッサーを載せる場所がないと思われます。やはり、セカンドカーとして使ったり、サーキットまで運んでスポーツ走行をする、そんな用途を主に考えるべきでしょう。

このオペル スピードスター、新車販売時の価格が、4、500、000円程度ということです。そのコストがどこに使われたのか、思ったより安いのかどうかは、個人の価値観による判断ですね。

【諸元表】オペル スピードスター 2.0 TURBO

名称:オペル スピードスター 2.0 TURBO
エンジン排気量:1,998cc
エンジン出力:147kW(200ps)/5,500rpm
エンジントルク:250N・m(25.5kgf・m)/1,950rpm
全長:3,786mm
全幅:1,708mm
全高:1,117mm
重量:1,005kg
ホイールベース:2,330mm
サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(前)/ ダブルウィッシュボーン式(後)

正規輸入は80台しかないオペル スピードスターに乗るには?

そんなことを言いつつも、やはり、軽量&コンパクトな本格ミッドシップ スポーツカーの魅力は健在。どうしても、我々の関心が引き寄せられてしまいます。現在は絶版車ですので、本気で購入するなら中古車を探すことになります。

生産台数の制限はなく、量産車だとは言うものの、かなり特殊なクルマです。そして、日本に正規で入ってきたものは80台しかないとのこと。実際、中古市場にどのくらい流れているのでしょうか?

そんな心配をよそに、これが、簡単に調べても複数を見つけることができるようです。例えば、2003年登録で走行距離が0.4万km(!)という車体(2.2Lエンジン)に車検がついて、値段が3,150,000円というのも見つかります。

また、前出の80台の内の一台という希少な車体も出ています。こちらだと、登録が2003年の走行距離1.4万kmの2.2Lエンジン車両が、車検付きの状態で3,330,000円です。

欲しがる人だけが欲しがるミッドシップスポーツであり、数も多くないということで、値崩れもあまりしていない様子ですね。ただ、意外と市場に流れていることに驚きました。

オペル スピードスターのまとめ

エアコンの問題があるのですが、このスピードスターには、ロータスとは違った外観上のアイデンティティが与えられ、マニアの好奇心を刺激するだけの魅力があります。

実際、ロングドライブに疲れて、サービスエリアに止めて休憩しようとしても、車内では腰も伸ばせません。でも、そういう意味での「快適性」に関する評価が低いのは、スポーツカーにとってはむしろ勲章もの。そこに文句を言うなんて、ヤボ以外の何ものでもありません。

どこかのリース会社さんが上手く購入されて、日払いや週払いでレンタルできたら良いのですが、いかがなものでしょうか。