【ジープ コマンダー】ブランドの看板を背負ったミッドサイズSUV、中古車やカスタムパーツも紹介

最近の日欧の自動車は、効率追求を全面に押し出しているためか、基本的に同じ様なデザインテーマで作られていると感じてなりません。個性が強いクルマが欲しい! と言うのならちょっと前に作られたアメリカ車がオススメ。例えば、2005年に登場したミドルSUVであるジープ コマンダーは、良くも悪くも強い拘りが反映された一台です。

陸軍納得の性能から生まれたSUVがジープの車

1940年にアメリカ陸軍の発注によって、アメリカン・バンタム社が開発した軍用小型偵察車、それこそが「元祖ジープ」。四輪駆動車の代名詞と言えそうなこの「ジープ」という名称は、当時その製造に参画していたウィリス・オーバーランド社によって、戦後に商標登録されたものです。そして現在では、4WD車を中心に製造するブランドとなっており、クライスラー社の傘下に入っています。

まぁ、戦中派でなくても軍事マニアでなくともジープファンにとっては、あの独特なフロント周りの風貌が最大の魅力であることは変わらないでしょう。そして、そのデザイン性は唯一無二だとも言えます。その、古き良き真四角なボディーの4輪駆動車のイメージがあるから、このメーカーの存在価値が高まると言うものです。SUVの中に、そんな「ジープ感」を盛り込んだのが、ジープ コマンダーというクルマでした。

現代のジープは結構多彩なラインアップ

Jeep-Renegade-Commander-Concept

今回の主題であるジープ コマンダーは、生産された時期も2006年からの4年間だけということで、現在はラインアップされていません。実は今のジープブランドには、当然のことながら軍用車のイメージは薄くなっており、むしろ洗練されたSUVメーカーへと進化しています。

とりあえず、2016年におけるジープのラインアップを見てみましょう。

まず、本当の「ジープに乗っている人」になりたいとうい方には、やはり「ラングラー(Wrangler)」がオススメということになるでしょう。この上位グレードの「アンリミテッドスポーツ(Unlimited Sport)」は、正規輸入での車体価格が3,963,600円です。

グレード的には、その下に「チェロキー」と「グランドチェロキー」のシリーズがありますが、ルックスが「ジープとしてはやや今に媚びている」と言えます。むしろ、その下の「コンパス(Compass)」が、外観的には少しコマンダーのイメージを引き継いでいると言えそうです。こちらは、上位グレードの「Limited」で3,564,000円の車体価格となります。ちなみに、この「コンパス」には、姉妹車の「パトリオット」が存在し、そちらはもっとジープらしいデザインですが、2016年モデルでは日本には正規販売がないようです。

さて、ラインアップの最後にいるのが「レネゲード(Renegade)」です。ジープ初のスモールSUVでありながら、往年の軍用車をも彷彿とさせるデザインが売りのモデルがです。エントリーモデルということで、もっとも買いやすい「Longitude」グレードなら2,970,000円となっています。値段ともサイズ感とも、そしてジープらしさと言い、個人的にこのモデルはちょっと気になります。

しかし、全体的にみても、ジープって意外と手ごろな価格設定になっているんですねぇ……

SUVに乗りたいけれどジープにも乗りたい人のための一台

さて、巨大なアメリカのSUV市場に向けて2006年に(クライスラー傘下の)ジープが投入した一台が、ここでご紹介するジープ コマンダーです。技術的なコンポーネントを、より空力的でモダンなボディーをもつ第3世代のグランド チェロキーから譲り受けたのがこの車。しかしこのコマンダーの外観には、古い時代の記憶を持っていない人であっても、「あ、ジープ」と一言を発させるに足りる強いオーラがあります。その外観は、数年前に生産を終えていた第2世代のチェロキーのものを、さらにジープらしく変えて復活させたとも言えるでしょう。

比較的シンプルなグレード設定もジープ コマンダーらしい!?

2005年のニューヨーク自動車ショーで初お目見えした時、ジープ コマンダーには「Sport」と「Limited」のシンプルなグレード構成が与えられていました。

基本グレードの「Sport」にだけ搭載されたのが、排気量3.7LのV型6気筒SOHCエンジンです。シリーズの中では、求めやすさに重点を置いていたこのエンジンは、2.0トン級のボディーを何とか転がす程度の出力157kW(213.5ps)とトルク319N・m(32.53kgf・m)を与えられたものでした。このグレードは5人乗りです。

この「Sport」グレードでも選択可能で、7人乗りとなる上位グレードの「Limited」に標準で搭載されたのが、排気量4.7LのV型8気筒エンジン。登場当時の性能は、出力175kW(237.9ps)にトルクは393N・m(40.07kgf・m)でしたが、2008年には227kW(308.6ps)と453N・m(46.19kgf・m)へ強化されました。

上記に加えて2007年に投入されたグレードが、「Overland」です。この時のジープ コマンダーには、排気量5.7LのV型8気筒であるクライスラーの「Hemi エンジン」が組み合わされました。この5.7Lエンジンの当初の出力は、246kW(334.5ps)に508N・m(51.8kgf・m)でしたが、モデルライフの終盤に266kW(361.7ps)と527N・m(53.74kgf・m)までアップします。

エンジンとして他に、一部地域向け車両に排気量3.0LのV6ディーゼルもありました。

強いジープのイメージと言えども日常使いには十分すぎる装備

ジープの車には、やはりオールラウンドな性能が求められるでしょう。このコマンダーでも、それに応えるべく一通りの装備がなされました。

例えば、フルサイズのスペアタイヤなどは、そんなジープの性格をしっかりと表しているかもしれません。他の走行系の装備としては、「電子制御式スタビリティコントロール」や「電子制御式ロール制御」、また「タイヤ圧監視装置」などの機構が標準で搭載されました。

オプションとしては、左右の座席で別々に温度設定できるオートエアコンや、276Wのアンプによる「ボストンアコースティック・サウンドシステム」などもあります。さらに、リアの電動ゲートなども加えることが可能です。

このコマンダー、ルックスは古いというかゴツい。とは言うものの、SUV(乗用車)としてしっかり企画された一台だった、とも言ってよいでしょう。

独特な車体のコマンダーの評価は?

「ジープ」の名前を愛する人たちの多くは、古い戦争映画の中での活躍を常にイメージしているのかも。だとしても、一つの自動車メーカーとしては、戦う道具ばかりを作りつづけるわけにも行きません。そして、このコマンダーは、古典的なイメージのあるルックスの中に、日常的な使い道を与えたクルマなのです。

全3列あるシートの中でも特に運転席の作りは評価が良く、豊富なアジャスト機構のおかげで、年齢や性別にかかわらずベストなポジションが設定できると言われています。反面、評価が厳しいのは3列目の座席でしょう。床面から高々20cm程度の高さしかないという座面は、大人が座るのはほぼ不可能という評判です。クラスとしてはミッドサイズSUVのコマンダーは、最大で7人乗りです。しかしそれは、あくまでも「必要ならば」という前置詞を想定した方が良さそうです。

内装には、いわゆる「ジープ感」も演出されていて、悪くもないそうです。とは言え、インパネ周りのプラスチック感が強い素材は、評価としては減点の対象になることが多いようです。

このSUVに魅力を与える最大のキーは、前方に向けて立った様な壁の多いボディーシルエット、まさに「ジープ」のそれです。しかし同時に、無駄な空気抵抗の増加は避けられません。これは、中級クラスの(4.7L)エンジンをもってしても、ハイウェイでの追い越しにはある程度の気合を要求するそうです。「Car and Driver」誌(米)のテストでは、最高速178km/h程度ということですが、少なくともハイスピードでの快適性を期待するクルマではなさそうです。

フル加速などを含めたこのテストでの総合的な実燃費は、6km/L程度だとのことです。米国EPAによる公認推定燃費は、市街地走行で約5.5km/L、ハイウェイ走行では約7.7km/Lです。まぁ、エコロジカルなクルマでもなさそうなのがコマンダーです。

【諸元表】ジープ コマンダー Sport

エンジン排気量:3,700cc
エンジン出力:157kW(213ps)/5,200rpm
エンジントルク:319N・m(32.5kgf・m)/4,000rpm
全長:4,788mm
全幅:1,900mm
全高:1,831mm
重量:2,082kg
ホイールベース:2,781mm
サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(前)/ 5リンクリジッド(後)

ジープ コマンダーを購入するには?

基本的には中古車を探す事!

2009年に絶版しているジープ コマンダーですので、当然、新車での購入は無理です。このジープらしい姿のSUVに憧れたとしても、中古車市場を探すしかありません。

2016年現在で、日本の中古車を調べてみると、2010年登録で走行距離が13.4万kmの車体に1年弱の車検付きで価格が1,380,000円とあります。また、2006年登録ですがエンジン排気量が5.7L(HEMI エンジン)で、8.6万km走行の車体だと、約一年の車検期間付きで2,160,000円です。大ざっぱな印象ですが、このコマンダーは距離を乗った車体が多いかもしれませんね。ただ、思ったよりも選択肢は与えられています。

新車・中古車に関わらず、自動車の故障はいつも気にかかる点です。コマンダーの故障でよく起きるものの一つに、運転席側の窓ガラスが勝手に下がる、という珍妙な症状があるようです。パワーウィンドウの部品交換で直るということですが、中古車購入の際には、一応チェックすべき点と言えるでしょう。

もう一つ、初期のコマンダーには、ABS関係のプログラムに問題がありリコールされた経緯もあるそうです。ブレーキをかけた時、無意味に制動距離が延びるという症状だったそうですが、こちらも購入時の要チェックポイントでしょう。

色々交換して自分だけのジープにしてみたい? カスタムパーツについて

もともとヘビーな感じのジープ コマンダー。だからこそ、自分好みにドレスアップして、きれいに乗りたいという人も多いのではないでしょうか? ちょっと調べてみると、意外な程パーツが多く用意されているのは、このコマンダーにとって別の長所かもしれません。

「有限会社スクランチ」という業者さんのサイトを見ると、「HEMIロゴ イルミネーションランプ」やクロムメッキの「ミラーカバー セット」など外装ドレスアップパーツから、エンジンの設定を変える「チューニング デバイス」なんていうディープなパーツも。また、各種ホイールも豊富に揃っています。

このジープ コマンダーの場合、いろいろと付け替えたりしているオーナー様も多いということでしょう。なんだか楽しそうですね。

ジープ コマンダーのまとめ

開発陣やデザイナー陣がいくら努力しても、往年の「ジープ像」にかなうクルマでないとダメ。このブランドには、そんな呪縛がかかっているのかもしれません。時代が21世紀に入ってすぐに生まれたジープ コマンダーが、空力などの効率性を捨てたボディデザインになったのも、そんな風な縛りのせいなのかも。

最近、やっと環境問題に意識が向き始めたアメリカの市場では、さすがにもう作りたくても作れない無骨な四角形ボディーを持つ車、それがこのコマンダー。しかしながら、アイコニックな存在感だけは相当なものです。だから、玄人筋の評価をうけると、どうしても要求レベルが上がり過ぎる感もある気がします。

歴史の1ページを飾るべく、ジープらしいSUVとして生まれた我がジープ コマンダー。そのデザイン上の系譜は、現在でも「パトリオット」や「レネゲード」に受け継がれ、よりモダンなものとして昇華・成功しているのです。