【MINI Cooper D 5DOOR 試乗】エンジンは軽快。ホイールベース延長で操縦性にも貢献!

ディーゼルターボエンジンを搭載したMINI Cooper Dに5ドアがラインナップされました。これまで「かっこいいけどリヤドアがないのはちょっと……」と躊躇していたファンには朗報です。今回は3気筒ツインパワーターボエンジンを搭載した「Cooper D 5DOOR」に試乗する機会を得ましたので、使い勝手、装備などと一緒に試乗記をお届けしましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

MINI Coorper D 5DOORとは?

5ドアとして使い勝手を向上。見た目にもちょっと硬派な感じ。

photo by iijima

積極的にクリーンディーゼルエンジンを市場投入しているMINIですが、本年4月からMINI3ドア、MINI5ドア、MINIクラブマンにクリーンディーゼルエンジンを搭載したCooper D、Cooper S Dの計6モデルを追加しました。これで昨年のMINIクロスオーバー、MINIベースマンの4モデルを加えるとディーゼルエンジン搭載車は10モデルとなります。今回紹介するMINI Cooper D 5Doorは1.5リッター直列3気筒のいわゆる「ダウンサイジングコンセプト」の流れに沿った、一番現代的なモデルともいえるでしょう。

ユーティリティを考えて「5ドア」としたのは、もちろん大きな注目点です。やはり普段使いを考えるとリアドアが欲しいという層がいるのは否めません。MINIはそのへんのニーズに応えるべく、5ドアとして乗車定員も5名としながら、走行性能はもちろん全体的なプロポーションも魅力のあるものにしてきたといえます。3ドアよりも「質実剛健」感があるように思います。

エクステリアは?

基本的デザインは同じく、ホイールベースを3ドアから70mm延長。

ベースとなるのは2014年に登場したMINI 3ドアです。フロントまわりを見る限り、アイコンとなっている大型のグリルと丸形ヘッドライトは同様となります。ただし、ホイールベースは3ドアから70mm延長するとともに、乗降用としてリヤの2ドアが加わったことにより、ファミリー層などの利便性を高めています。とは言ってもスタイルが破たんするのはもちろんMINIファンとしては譲れないところでしょう。クラブマンほどではないにせよ、確かに長くなった感はありますが、前後のオーバーハングを切り詰め、トレッドも広くタイヤが四隅にあることから、個人的にはスポーティな感じも持ちましたし、走行面での性能向上も期待でき、いい感じではないかと思いました。実用性としても3ドアの4名乗車から5名乗車になったということは、ユーザーにとって利点が大きいのではないかと思います。

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インテリアは?

ブラック基調のインテリアで精悍さを印象付ける!

インテリアは他のバージョンと基本設計を同一にした、ファッショナブルで機能性に富んだものとなっています。以前から解説しているとおり、従前のMINIではセンターあったスピードメーターが、メーターパネルになって「普通」にはなりましたが、その代わり、余裕のあるセンターディスプレイに、多様な走行情報やエンターテイメント機能を表示することができるようになっています。MINI Cooper Dならではのものとしては、ダークカラーインテリアが標準装備されていることがあり、これも精悍さを引き立たせています。シートはブラックとファイヤーワークで、これもCooper Dの特色です。

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パワートレインは?

直列3気筒ツインパワーターボを採用。モード燃費は23.9km/Lに。

搭載エンジンは、1.5リッター直列3気筒ターボ。いわゆる「ダウンサイジングターボ」のクリーンディーゼルエンジンです。燃料噴射は、きめ細かな制御で排気ガスの浄化が期待できるコモンレール・ダイレクト・インジェクション・システム。低速域では、小型ターボのようにレスポンスよく、高回転ではターボの威力を最大限に発揮できる、可変ジオメトリー・ターボチャージャーによって過給されています。これによって低燃費化も図っています。スペックでは最高出力116ps/4,000rpm、最大トルクは270Nm/1,750-2,250rpmということからも、実用域に振った特性がわかるというもの。トランスミッションは6速オートマチックで、燃費はJC08モードで23.9km/L。ディーゼルということで、トレードオフの関係になるPMとNOxの対策が欠かせません。排気ガスの浄化対策としては、DPF(粒子状物質除去フィルター)とNOX急増還元触媒などで、ポスト新長期規制をクリア。いわゆるエコカー減税の対象となり、取得税と重量税は免税、自動車税は75%減税となります。

6速ATはディーゼルエンジンとベストマッチ。

トランスミッションは6速ATです。今となっては6速でも物足りない? 感じさえしますが、もともとATはトルクコンバーターのトルクの増幅作用がありますから、少ないギヤで良いという面ももっています。現在は多段化によって、エンジンの「おいしいところ」を使用するという考え方にシフトしているようですが……。トルクの太いディーゼルエンジンには6速ATで十分というのはうなづけるところです。

その他装備は?

最新機能の、衝突被害軽減ブレーキなど安全装備ももちろん充実。

フロントライトは標準はハロゲンですが、オプションでLEDも用意されています。リヤライトは縦長の形状を継承していますが、大型化され視認性をアップしました。もちろん最新のクルマですから、さまざまなドライバーを支援するためのデバイスが装備されています。センターディスプレイに配置された視認性、操作性の向上を図ったナビゲーションシステムはもちろんのこと、走行車検知機能付前車接近警告機能、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)、アクティブ・クルーズ・コントロール、ヘッドアップディスプレイなどは、MINIの持つ基本性能を堪能する意味でも重要なものだと思います。

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乗り心地は?

直列3気筒ディーゼルは軽快に回り、実用性は十分。

MINI独特のセンターコンソールにあるスイッチを入れることにより、エンジンを始動させます。ここでディーゼルエンジンということはことさら意識させません。知らないで乗ればガソリンかディーゼルかということを気付かせないというのは、もうあたり前の時代になってしまったように思います。走りはじめは軽快な感じ。乗り心地としては、直前にMINI Cooper D クラブマンに試乗していたこともあるのですが、相対的に路面の凹凸を拾う感じがします。ホイールベースで5ドアが2,565mm、クラブマンが2,670mmと10cm以上の違いがあることも影響しているのでしょう。視界が開けたところでアクセルを深めに踏み込みますが、スムースなフィーリングということでは、室内の静粛性の高さも相まって、すでにガソリンエンジンと遜色ないレベルになっています。ただし、絶対的な動力性能という意味では、同日に乗ったBMW M2や430i、あるいは118dとの比較になってしまうために、見劣りがするのが仕方のないところでしょう。言い古された言葉でいえば、必要にして十分な動力性能。ただし、それが燃費性能に優れたディーゼルということであれば、素晴らしいものだと思います。

ロングホイールベース化は操縦性、乗り心地に奏功か? 

乗り心地は、硬質な感じで個人的には好みだと思いました。一定の速度域では非常に素直な感じがしますし、電動パワーステアリングのフィーリングも、違和感のないものです。3ドアよりホイールベースが伸びてはいますが、きびきびと走るということでは遜色ありませんし、かえって乗り心地と操縦性に関してはメリットとなっているのではないかと思いました。

主要諸元

車両型式

LDA-XT15

エンジン

型式 B37C15A
種類 直列3気筒DOHCディーゼル
総排気量 1,496cc
ストローク/ボア 90.0×84.0
最高出力 85kW(116ps)/4,000rpm
最大トルク 270Nm(kgm)/1,750-2,250rpm
圧縮比 16.5
燃料供給装置 電子燃料噴射装置
燃料タンク容量 44L
過給装置 MINIツインパワーターボ
燃料消費率(JC08モード) 23.9km/L

トランスミッション

6速オートマチックトランスミッション
ギヤ比
1速 4.459
2速 2.508
3速 1.555
4速 1.142
5速 0.851
6速 0.672
リバース 3.185
最終減速比 3.234

サイズ

全長 4,000mm
全幅 1,725mm
全高 1,445mm
ホイールベース 2,565mm
車両重量 1,280kg
トランク容量 278L
最小回転半径 5.6m
定員 5名

サスペンション

フロント シングルジョイント・マクファーソンストラット
リヤ マルチリンク

ブレーキシステム

フロント ベンチレーテッドディスク
リヤ ディスク

タイヤ/ホイール

タイヤサイズ 205/40R18
ホイールサイズ 7J×18
ホイール材質 アロイ

まとめ

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幸いなことに、MINIにはガソリンの直列4気筒、直列3気筒、ディーゼルの直列4気筒、直列3気筒と、現行のすべてのパワーユニットを体験させてもらいました。速さという面では、昨年に乗ったMINI Cooper Sクラブマンのガソリンエンジンの4気筒ターボが圧倒しているというのが率直な感想ですが、サーキット走行でもしないかぎりはあそこまではいらないと思ったのも事実。軽快に回るガソリンの直列3気筒でも十分速いです。

それらに比べると、今回のMINI Cooper D 5DOORのディーゼル3気筒ターボは、決してパワフルではありませんが、普段乗りでの燃費や維持コスト、5ドアという使い勝手を考えると魅力が多く、普通にスタイリッシュな「MINI」を楽しみたいという大多数の層には良い選択だと思えます。ゴーカートフィーリングとはいいますが、サスペンションも大分丸みを帯びてきました。車両本体価格で税込み3,180,000円(今回の試乗車のオプションを付けると4,923,000円と大分覚悟のいる価格帯とはなってしまいますが)は家族持ちにとっては言い訳? もしやすい価格設定ではないかと思いました。