【BMW 430i クーペ ラグジュアリー試乗】スタイリッシュだけでない胸のすく加速感!

3シリーズからクーペやカブリオレが切り離される形で登場した4シリーズ。2012年と比較的最近に登場しましたが、M4が話題になるなど、すでにBMWの中核となった感もあります。今回、同じ直列4気筒ながらパワーの小さい420iと6気筒エンジンを積む上級グレードとなる440iの中間となる430iクーペに試乗する機会を得ましたので、ご紹介しましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

BMW 430iとは?

BMWの中でも一番スタイリッシュといえるのが4シリーズ!

photo by iijima

Dセグメントの3シリーズから独立したクーペ、カブリオレが4シリーズという位置づけです。ちょっとまじめになりすぎた? 3シリーズのスポーツ心や遊び心を引き継いだのが現行の4シリーズといえるかもしれません。割と廉価な(といっても500万円オーバーですが……)420iから、今回試乗した420iのパワーアップバージョンといえる430i、そして3リッター直列6気筒エンジンを積んだ440iまで幅広くカバーしているモデルでもあります。2ドアクーペ、4ドアクーペ(グランクーペ)、そして440iではカブリオレも選択でき、最近の設定ではありますが、今や一番BMWらしいシリーズと言ってもいいでしょう。

エクステリアは?

ワイドトレッド、ロングホイールベースはBMWの定石!

全体的には、スタイリッシュなクーペという言葉が当てはまると思います。BMWの定石どおり、ボディ前後のオーバーハングを切り詰めて、長くとったホイールベースが特徴的ですし、トレッドもワイドに取られて走りの良さを感じさせます。エクステリアという面では一番BMWらしいと思います。個人的には「ちょっと大きいかな?」という面もなくはありません。とはいっても、このサイズのクルマはあたり前になっているので、取り立てて問題視することもないのかなとも思います。

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高速走行でのエアロダイナミクスを考慮したフロント周り。

もちろん機能面も抜かりありません。特にエアロダイナミクスは考えられており、フロントエプロンのエアカーテンと、フロントタイヤ後方のフェンダーに設けられたエアブリーダーによって、フロント回りの空気抵抗を減らす工夫が盛り込まれています。キドニーグリルなどによるフロントマスクなどは、もう言うまでもないことでしょう。

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インテリアは?

基本的なデザインは他グレードと同一ながら、ラグジュアリーな雰囲気に。

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同日に試乗したM2や118dと基本的にはコンセプトを同一にし、機能的なコクピットとなっていますが、やはり上級シリーズということでラグジュアリーな雰囲気にまとめられています。シートはコーラルレッドのダコタ・レザーにアクセントとしてステッチが入ったもの。座面とバックレストは、高さと角度を個別に調節できるようになり、最適なドライビングポジションが得られるようになっています。

一旦コクピットに座ってしまえば、視認性のよいメーターとパドルシフトなど、スポーツ走行をしたくなるような雰囲気は、これもBMW全体に通じたものといえるでしょう。ロングノーズではあるものの、視界的にはかなり良いので、冒頭に書いたような大きさは走り出してしまえば、あまり感じることもありませんでした。

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パワートレインは?

ツインスクロールターボチャージャ、ダブルVANOSでフレキシブルなエンジン特性。

これまで4シリーズの4気筒エンジンは、同じ2リッター直列4気筒でもN20と名付けられたユニットでしたが、今年より430iはB48となりました。このユニットは、気筒容積が500ccで、ディーゼルエンジンとブロックを共有したモジュール構造がポイントとなっています。4気筒なら2リッター、6気筒ならば3リッター、ダウンサイジングで3気筒なら1.5リッターとなり、こういった面で効率化を図っているわけです。

4シリーズすべてにツインスクロールターボチャージャー、ダイレクトインジェクションシステム、アクセル開度に応じて電気モーターで無段階に吸気バルブをコントロールするバルブトロニック、吸排気のバルブタイミングをコントロールして、低回転から高回転まで、最適なエンジン特性を得られるダブルVANOSを組み合わせたBMWツインパワー・ターボ・テクノロジーを採用しています。これによって、従来の428iから最高出力を5kW(7ps)向上し、最高出力は185kW(252ps)/5,200rpm、最大トルクは、350Nm(35.7kgm)/1,450-4,800rpmとなりました。

ちなみにこのまま3気筒化したのがB38とよばれるユニットで、118iのユニットとして使用されていて、総排気量(気筒数)に応じて幅広い出力範囲を実現しているのが特徴です。6気筒エンジン(B58)は440iに搭載されます。今回は時間の関係で乗ることはできませんでしたが、概要だけ説明しましょう。こちらもツインパワーターボで過給され、従来モデルの435iに比べ、最高出力を15kW(20ps)、最大トルクを50Nm(5.1kgm)アップし、それぞれ240kW(326ps)、450Nm(45.9kgm)を発揮しながら、JC08モード燃費で約10%向上したそうです。

サスペンションは?

フロントはトーションバーを追加した専用サスペンションを採用。

サスペンションも見直しがされました。フロントはアルミニウムを使用したダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式です。フロントは専用サスペンションで、トーションバーが追加されたもの。リヤサスペンションは軽量スチールをもちいた5リンク(マルチリンク)式となっています。これはBMWの基本のようになっていますが、前後重量配分は50:50とすることや、重心位置を下げ、ロールを抑えることで、コーナリング性能の向上を図っています。この辺の素性の良さがM4につながっているといえるでしょう。

乗り心地は?

車重をまったく感じさせないエンジンパワーは痛快!

試乗コースで走り出すと、思っていたよりもしなやかなサスペンションの動きを感じました。当日は、430iの直前に118dの試乗をしていましたが、やはり430iはロングホイールベースということもあり、相対的にですがゆったりとした動きに思えます。ただ、ちょっと印象が変わるのが、荒れた路面に入ったとき、かなり強い入力がホイールとボディに入るような感じがしました。これは35扁平のランフラットという影響もあるのかもしれませんが、ちょっと荒い? という感じは否めませんでした。個人的には、ホイール径を小さくし、エアボリュームのあるタイヤで走らせた方が、安心して走れ、かえって楽しいのではないかと思います。本国仕様のスペックを見ると、前後とも225/50R17を履いているようなので、そのタイヤを試してみたいと思いました。

エンジンは「ECO PRO」、「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」の4つのモードがセンターコンソールのスイッチで選べるようになっています。まずはコンフォートモードでしばらく走って様子をみて、スポーツプラスモードでアクセルを踏み込むと、450Nmという大トルクから低速から力強い加速を見せ、エンジンを高回転まで引っ張ります。また、排気音もレーシーなものとなり痛快そのものです。

ゆるやかなワインディングロードが楽しそうなサスペンション。

もちろん限られた速度内ではありますが、ちょっとペースを上げると非常に楽しいクルマとなります。直進安定性、ステアリングフィール、ブレーキフィールとも優れたものだと思いました。一般走行でこのクルマの性能をぎりぎりまで引き出せるものではありませんが、一定の範囲内で走る分には、高速道路移動では疲れないでしょうし、中速域のワインディングでとても楽しく走れるクルマだと思います。

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主要諸元

車両型式

DBA-4N20

エンジン

エンジン形式 直列4気筒DOHC
総排気量 1,988cc
最高出力 185kW(252ps)/5,200rpm
最大トルク 350Nm(35.7kgm)/1,450-4,800rpm
圧縮比 10.2
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料消費率(JC08モード) 15.4km/L

トランスミッション

8速スポーツAT(ステップトロニック)
ギヤ比
1速 5.000
2速 3.200
3速 2.143
4速 1.720
5速 1.314
6速 1.000
7速 0.822
8速 0.640
リバース 3.456
最終減速比 2.813

寸法

全長 4.640mm
全幅 1,825mm
全高 1.375mm
ホイールベース 2.810mm
車両重量 1,610kg
最小回転半径 5.4m
乗車定員 4名

サスペンション

フロント ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式
リヤ 5リンク式(マルチリンク)

ブレーキシステム

フロント ベンチレーテッド・ディスク(ABS付)
リヤ ベンチレーテッド・ディスク(ABS付)

タイヤサイズ

フロント 225/40R19
リヤ 255/35R19

まとめ

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BMW430iクーペは、カッコいいですし、アクセルを踏み込めばたいていのクルマよりは速いというのは掛け値のないところだと思います。ただ、このサイズは都内などでは取り回し的に持て余すことがあるかな? とも思いました。個人的には、本当は往年の3シリーズくらいの大きさのクーペがいいのですが、そういう向きには1シリーズ、2シリーズがあるということなのでしょう。

車両本体価格は税込みで6,540,000円となっていますが、今回試乗したクルマには、「ダンザナイト・ブルー」のカラーリング、「BMWインディビジュアル.エクス」と呼ばれるオーダーメイドシステム、「パーキング・サポート・パッケージ」、「アダプティブLEDヘッドライト」のオプションの装備がついて、車両本体と合計で7,958,000円というプライスとなります。

装備内容からすると高い! とは言えないのでしょうが、なかなか欲しいからといっておいそれと手を出せるものではないのが庶民の感覚でしょう。仕様と価格のバランスとBMWのブランドをどうみるかで大分好みのわかれるところかな? というのが試乗を終えての偽らざる感想でした。