【BMW118d 試乗】コンパクトなボディにディーゼルターボで小気味いい走り!

HVさらにはPHVに押されている感もあるディーゼルエンジンですが、基本的には燃費が良く、トルクフルな走りができ、排気ガス対策さえ行えば期待の持てるパワーユニットということで間違いありません。BMWでも積極的にディーゼルエンジン搭載車を市場投入しています。今回は1シリーズに直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載した118dに試乗する機会を得ましたので、ご紹介します。(飯嶋洋治/RJC会員)

BMW118dとは?

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1シリーズのコンパクトなボディに4気筒ディーゼルターボを搭載。

BMWがプレミアムコンパクトセグメントと位置付けるのが今回のBMW1シリーズ(F20シリーズ)です。FFが主のこのクラスに伝統のFRを投入しているのもBMWならでは。ちなみに初代118は2004年の投入となり、ガソリンエンジンに最新のバルブトロニック機構(スロットルバルブではなく、エンジンの吸気バルブを電動モーターでコントロールすることにより、出力を制御する機構。ポンピングロスも低減できる。)も取り入れられて注目されました。

今回試乗したBMW118dは、4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載しているというのが、トピックです。BMWではこれを「新世代エンジン・ファミリーに属するクリーン・ディーゼル・エンジン」としていますが、2014年に投入されたB47というすでに信頼を得たエンジンです。ちなみにダウンサイジングターボで話題の3気筒ディーゼルエンジンがB37というエンジン形式になります。

エクステリアは?

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コンパクト+ロングホイールベースでスポーティな雰囲気に。

コンパクトなハッチバックですが、エクステリアはまごうことなくBMWのアイデンティティを継承しています。もちろん好みの好き嫌いはあるのでしょうが、サイズ的に手頃感があり、個人的には「よい走り」を期待させるスポーティなデザインだと思いました。

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前後のオーバーハングを切り詰めたスタイルはBMWの伝統。

ホイールベースは2,690mmと全長4,340mmと考えると相対的に長くとってあります。これはハッチバックでリヤが短いということもあるのでしょうが、運動性能を考えると前後に重量物がない方がよく、BMW全体に共通した考え方といえるでしょう。

試乗車はBNW118Styleで、標準装備としてVスポーク・スタイリング411アロイホイールに205/55R16のランフラットタイヤ、フロント・フォグ・ランプが付くほか、オプションとしてアダプティブLEDヘッドライトとLEDフォグ・ランプが装着されています。

インテリアは?

現代のクルマとしてはシンプルで使いやすいインテリア。

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インテリアは、ことさらスポーティを強調するものではありませんが、初めてシートに座っても戸惑うことのない実用的な作りといえると思います。シートはファブリックで、室内全体の統一感を醸し出しています。一般的な使用ではサポート性にも不具合がないものと思いました。メモリー機能付きの電動フロントシートでしたが、これはオプション設定となります。

ステップトロニック採用もパドルシフトは無し。

8速ATでステップトロニックですから、当然マニュアルモードも選択できます。ステアリングにパドルシフトは装着されていません。そういう使用は想定していないこともあるのでしょう。ただ、セレクターレバーで十分にMT的な走り方も楽しめます。

リヤシートはスルーローディング・システム(40:20:40分割可倒式、カップ・ホルダー内蔵リヤ・センター・アームレスト)となっていますが、これはオプションとなります。

パワートレインは?

4気筒ディーゼルターボエンジンは、すでに熟成の域に!

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B47型4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載しているのが118dの最大のポイントとなります。最高出力は110kW/4,000rpm、最大トルクは320Nm/1,500-3,000rpmと当然ながらディーゼルエンジンらしく低中速回転域のトルクが太いのが目立ちます。

燃料噴射はコモンレール・ダイレクト・インジェクション・システムを採用しています。これによってきめ細やかな燃料噴射が可能となっています。ディーゼルエンジンは燃費が良く、低中速の実用域のトルクが太いのがメリットですが、騒音、排気ガス(NOx、PM)の問題があります。

コモンレールとは、燃料ポンプからインジェクターまでの間に高圧となった軽油を一旦蓄えておくパーツです。これによって、コンピューターが適切な燃料の噴射時期、量などを判断し、コモンレールにストックされた燃料をコンピューターの指示どおり微細に燃料噴射するわけです。こうして燃焼状態を理想に近づけることで有害な排気ガスが低減し、燃費もさらに改善が期待できるのです。

可変ジオメトリーターボはフレキシブルと同時に排ガスのクリーン化にも貢献。

さらに、このエンジンでは可変ジオメトリー・ターボチャージャーを装着しています。これも排気のクリーン化に貢献します。これはメーカーによって可変ノズルターボなどとも呼ばれますが、低回転時は小型ターボをとな時用に排気の進入口を狭めて、低回転でもターボの効果が得られるようにし、高回転では広くして最大限のターボの過給を得られるようにしています。

ターボによる過給でパワー的に上がるのはもちろんですが、過給によって大量の空気が燃焼室に流れ込むことで、燃え残る燃料が少なくなるためにPM(スス)の発生が減ります。さらに燃焼温度が下がることでNOxの発生も少なくなるといわれています。

前にも触れましたが、トランスミッションは電子油圧制御式8速オートマチック・トランスミッション(ステップトロニック付)です。通常のAT走行でほとんど事足りるという感じですが、ステップトロニックのマニュアルモードは反応も良く、これはこれで楽しいことは間違いないと感じました。

乗り心地は?

ディーゼルの太いトルクをBMWらしい引き締まった足が支える。

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コンパクトなハッチバックで、見るからに「ワインディングロード、あるいはサーキットに持ち込んだら楽しいだろうな」といういで立ち。コクピットもほどよくスポーティな感じがします。エンジンを始動してもあまりディーゼルエンジンということは意識させません。サスペンションは、フロントストラット、リヤ5リンク(マルチリンク)です。こういうクルマにしては乗り心地はよいと思いましたが、ちょっと荒れた路面だとばたばたする感じはあります。これはランフラットタイヤの影響もあるのかもしれません。

道路の安全を確認してアクセルを踏み込むと、かなり鋭い加速を見せます。0-100km/hが8.1秒というのは驚くほど速いというわけではありませんが、ディーゼルエンジン特有の低回転のトルクの太さでスタートダッシュは鋭いものがあります。車重も1.5t近くありますから、決して軽量とはいえないのですが、ライトウェイトスポーツ的な走りといえるでしょう。

ATでもステップトロニックでも楽しめる走り。

8速ATは、アクセルワークに対しても従順で、シフトチェンジ自体をあまり感じさせないスムーズなものです。ステップトロニックのマニュアルモードもありますが、このクルマにはあまり必要ないかな? という感じもあります。本国ではMTの設定もありますから、それで乗りたいというのは、(国内では)ないものねだりかもしれません。

操縦性に関しては、あまりコーナリングを試すような道ではなかったために、その特性まではわかりませんでしたが、ステアリングワークに敏感すぎず、かといって鈍いというわけでもなく、一定の範囲内では素直なものだと思いました。オプションでバリアブル・スポーツ・ステアリングが装着されていましたが、自然な感じで走れます。

また、踏力に応じて効くようなブレーキ(前後ともベンチレーテッドディスク)は、ちょっと国産車とは違うもののように感じました。

主要諸元

エンジン

2.0L直列4気筒BMWツインパワー・ターボ・ディーゼルエンジン
最高出力 110kW(150ps)/4,000rpm
最大トルク 320Nm(32.6kgm)/1,500-3,000rpm
0-100km/h加速 8.1秒
燃料消費率(JC08モード)22.2km/L

トランスミッション

電子油圧制御式8速オートマチック・トランスミッション(ステップトロニック付)

寸法

全長 4,340mm
全幅 1,765mm
全高 1,440mm
ホイールベース2,690mm
最小回転半径 5.1m
車両重要 1,480kg

サスペンション形式

フロント/リヤ ストラット/5リンク(マルチリンク)

制動装置

フロント/リヤ ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ

タイヤサイズ 205/55R16

ホイールサイズ

ホイールサイズ 7J×16

まとめ

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動力性能に関していえば、もうガソリンエンジンかディーゼルエンジンか? というのはほとんど気になりません。もちろん、高回転まで回らないという構造上の違いはいたしかたありませんが、普通に乗っている限り「わからない」というのが率直なところです。アイドリングストップも自然で好感のもてるところでした。おそらく普段使いでは申し分ないといっていいクルマだと思います。ただ、一旦クルマから降りてエンジン音を聞くと、やはり「カラカラ」という音がしてディーゼルエンジンを感じさせました。

購入を考えたときに問題になるのかな? と思うのは車両本体価格で3,650,000円というところでしょうか? 例えばマツダ アクセラXDが3,067,200円ということで、結構差は大きいとはいえると思います。ここは実用上の違いというよりも、BMWというブランドをどうみるか? という個人の好みによるところが多いでしょう。あまり良い言い方ではありませんが「見栄で乗る」人がいたとして、一番小さなBMWというところもポイントになるのかもしれません。個人的にはそういう時代は終わっているとは思うのですが……。


いずれにしてもディーゼルエンジン車しか選べないというのであれば、選択肢としてはかなり上になるのは間違いないところだと思います。