【マセラティ カリフ】ソマリアを渡る熱い風の由来からきている2シータークーペの中古ってあるの?

1988年から1993年まで、ちょうどデ・トマソ傘下にあったマセラティが製造・販売していたのが、このカリフというクルマです。その名称は、アフリカはソマリアのアデン湾を吹き抜ける熱風からきているそう。これまた、ちょっと個性のあるルックスをしたスポーツカーだったのです。

ビトゥルボシリーズの中でホイールベース最短の小気味良いクーペ

イタリアン高級スポーツカーの雄である、マセラティ社は、その純粋な拘りが災いしてか経営の安定を得るのには常に苦慮してきました。それは、歴史上で同社の経営権が幾度も売買されたことを見れば分かります。その経緯の中1970年代の中盤には、プジョー&シトロエン系列からデ・トマソが権利を買い取ります。

そして、この時期の経営陣がひねり出した大きなビジネススキームの一つが、「おもとめやすいマセラティ」である『マセラティ・ビトゥルボ』シリーズ。1981年に2ドアのスポーティクーペとして登場し、後に4ドアセダンやオープンのスパイダーなどを追加した、同社初の大量生産品です。

このビトゥルボシリーズについて一部のマセラティ・エンスージアストさんは、あまり良い印象を持たなかったようです。そして、おそらく当時のマセラティ社としても、これを作りっぱなしで放置することは出来なかった様です。彼らは、シリーズ内で最短の2,400mmというホイールベースを持っていたスパイダーのオープンボディに、その剛性を支えるハードトップを溶接して2座席のクーペを作り上げました。それがこの、マセラティ カリフなのです。

ビトゥルボに不足した部分を改良し、再び同社本来のGT路線へと回帰したと言えるスポーツカーの一台でしょう。

2座席クーペを強調するデザイン

スポーツカーを設計する時、そのホイールベースの設定が大きなファクターとなることは、想像に難くないところです。サスペンション形式より、乗り心地やハンドリングへ、むしろ直接的な影響を与えることもあるでしょう。

そのショートホイールベースは、すくなくともスポーツカーとしての俊敏さを、マセラティ カリフに与えることには成功したようです。むしろ、行き過ぎた程のハンドリングレスポンスは、時にドライバーの手綱を振りほどく「じゃじゃ馬」と評されたとのこと。

その短さは、車体を真横から見た時のシルエットにも表れており、それは非常に小さい2座席の車室と、フロントおよびリアに伸びた、ボンネット&ノッチバックスタイルの組み合わせになっています。そこからは、ある種の軽快さは表現されているかもしれませんが、あえて言えばスムーズな流れとバランスが欠けているとも言えそう。まぁ、それも独特の個性であり、マセラティのようなブランドだからこそ実現できる、デザインスキームかもしれません。

ちなみに、2016年製の日産マーチが2,450mmのホイールベースで、最大搭乗人数が5人です。カリフの2,400mmのホイールベースがいかに短いのかがわかります。

ビトゥルボをさらに改良し、後に登場するマセラティ シャマル(そして、第2世代のギブリ)では、一皮むけた次元のボディ造形を、同社は手に入れたと言えるでしょう。しかし、このカリフの世代では、まだ何かが足らないような印象を禁じ得ません。

ビトゥルボをリファインした、そのエンジン&足回り

プラットフォームはビトゥルボと同一ですから、当然このカリフのエンジンも、2つのターボで過給したV型6気筒。1シリンダー辺り3バルブを持つ排気量2.8LのSOHCから、184kw(250ps)の出力と385Nm(39.3kgm)のパフォーマンスを絞り出します(排ガス処理のないバージョンは、285ps)。

マセラティの公式データでは、時速0から100kmまでの加速は4.8秒という加速性能。最高時速は255 kmということになっているそうです。

足回りは、フロントにマクファーソンストラット式、リアにはセミトレーリングアーム式の4輪独立懸架。そこに装着されるタイヤは、205/50VR15と225/50VR15と、前より後ろに幅広のものが設定されています。

【諸元表】

名称:マセラティ カリフ
エンジン排気量:2,790cc
エンジン出力:184kw(250ps)/5,600rpm
エンジントルク:385Nm(39.3kgm)/3,600rpm
全長:4,043mm
全幅:1,714mm
全高:1,310mm
重量:1,346kg
ホイールベース:2,400mm
サスペンション:マクファーソンストラット式(前)/ セミトレーリングアーム式(後)

希少車カリフの中古ってある?

全世界を通じての総販売台数が、わずかに222台という「伝説」を持つのが、このマセラティ カリフ。これはもう、普通に欲しいと思ってもどうにもならないレベルです。

ちなみに、2016年現在では、1990年登録の車体が走行距離7.9万kmで車検なしという状態で、価格は応談というのが見つかります。まぁ、国内に存在してくれているだけでもありがたい、ということでしょうか……

ちなみに、このデ・トマソ時代のマセラティ車については、信頼性の低さを言われることも多いそうです。とは言えそれは、部品の取り付け行程の粗さが主原因だという話です。一度、しっかり整備しなおすと、本来のカリフへと生まれ変わるのだそうです。

もし、運よくこの車を手に入れた方は、あまり走り回る前に適切なガレージで総点検された方が良いでしょう。

マセラティ カリフのまとめ

さまざまな評判を残した、デ・トマソ時代のマセラティ。その後半に誕生したのが、このカリフ。

現代日本人の目線で見れば、そのボディデザインはいささか物足りない面も感じる(正直、80年代の日本車はこんなイメージだった)かもしれません。販売台数も少なめですが……そんなトコロが、この一台をよりアイコニックに飾っている魅力になっているのだ、と言うべきなのでしょう。