【クライスラー クロスファイア】米・独、巨大混血プロジェクトが生み出したスポーツカー!中古車情報や故障情報まで!

例えば、関東と関西の大型野球チームが合併して巨大チームができたとしても、プロ野球の発展にはつながらないでしょう。違う二色を混ぜ合わせるのは簡単ではありません。とは言え、自動車業界はM&Aが盛んな業界の一つとも言えそう。そんな合併事業の中でも大型だったのが、独ダイムラーと米クライスラーによる合併だと思います。そしてそこから生まれた一風変わった高級車こそ、クライスラー クロスファイアなのです。

最上級のひな型から生まれた個性的な一台

企業が利益を最大化するためには、すでに手元に存在するアイテムを組み合わせて、いかに要領よくコピーを量産するかが重要なはずです。上手く意匠を変えて製品をリフレッシュして行けば、その商品価値にプラスアルファの寿命を与えることも可能かも。

実際、自動車はそういう延命措置が可能な工業製品の代表かもしれません。共通の骨組みにちょっと変更を加えたボディパネルを与えて、エンジンなどのバリエーションを調整すれば、膨大なラインアップを限定的なパーツで実現可能でしょう。別の味方をすると、基本となっているアイテム=プラットフォームが相当の投資をして作り上げた高級品なら、市場での新鮮味が薄れたからといって簡単に放棄する気にもなりません。何とかして、使い道を延長したくなるのも人情です。

2003年当時のダイムラーには、1996年から使い続けた『R170』プラットフォームがありました。そしてこの頃、同社は米国クライスラー社と共同経営体制を敷いていたのです。そんな環境下で、この既存コンポーネントの性格をドイツ発信ではなくアメリカ発信という色に塗り替えたら、もう少し利益が出せるかもしれない。彼らがそう考えたのは、しごく当然と言える話だったでしょう。

かくして、2シーターのオープンスポーツカー、ベンツSLKの車台を大いに活用して生み出された『アメ車』が、クライスラー クロスファイアという自動車です。このクライスラー版には、クーペタイプ(ファストバック)とロードスターの2タイプが販売されました。

スペック

本来が世界的高級車メーカーの製品ですから、クライスラー クロスファイアにも強固なシャーシが与えられています。サスペンションは、前輪がダブルウィッシュボーン式で後輪にはマルチリンク式を装備。ベースのSLKと違いクローズドボディのクーペを持つのが、クライスラー クロスファイアでした。その車体を支える骨格はねじれ剛性も十分以上に高く、ポルシェ911を凌駕しているとアナウンスされていました。ちなみに、ノーマルで装着されたタイヤも911を彷彿とさせる、前後で別のサイズという設定。前輪は225-40/18、後輪には255-35/19が装着で、これはSLKよりも大型になっています。

エンジンもメルセデス譲りの排気量3.2LのV型6気筒SOHCが搭載。これは、ベースとなったSLKと同じエンジンです。出力は160.3kw(218.0ps)にトルクは310.5Nm(31.66kgm)を発揮するタイプがベースで、ハイスペックグレードの『SRT-6』ではスーパーチャージャーで過給して246kw&420Nmまで高められました。変速機としては、ベースグレードに6速のマニュアルトランスミッションおよび5速のオートマチックが設定。ハイパワーのSRT-6にはATオンリーの組み合わせです。

このクライスラー クロスファイアにおけるオープンカー仕様はロードスターです。ということで、ベンツの方の電動開閉ハードトップではなく、幌式のソフトトップが採用されていました。もちろん、こちらも電動収納機構付きです。

【基本情報】

名称:クライスラー クロスファイア
エンジン排気量:3,199cc
エンジン出力:160kw(218ps)/5,700rpm
エンジントルク:310Nm(31.6kgm)/3,000rpm
全長:4,059mm
全幅:1,765mm
全高:1,306mm
重量:1,388kg
ホイールベース:2,400mm
サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(前)/ マルチリンク式(後)

試乗テストなどでの評価

まずは、その外観

世界に名だたるドイツ製の高級スポーツカーの色をうまく塗り替えて、アメリカンな一台を仕立て上げたのがこのクライスラー クロスファイアな訳ですが、その外観に関してはそれなりに力の入ったデザインとなっています。特に目を引き、良くも悪くも評判を呼びそうなのが、後ろから見たときのシルエットでしょう。

なんと言うか、「獲物を狙うネコ科の動物」を後ろから見た時に似ている、そう評するのが良いでしょうか。丸みを強調してとても個性的なそのリアビューは、間違いなく、このクロスファイアの存在感の中心となっています。またこれが、この車がアメリカの車であると、明確に主張している部分でもあるでしょう。このデザインスキームの評判は、おおむね悪くもなかったようです。

むしろ、ややチープなインテリアが外観のダイナミズムと妙なギャップになっていて、その部分は評判を下げてもいたようです。

走り

幅広タイヤと強固なボディ、そして凝ったサスペンション形式と、クロスファイアには良質なスポーツカーの要素が満載とも言えるでしょう。試乗テストなどでも、路面からの突き上げの吸収に良い印象が書かれています。しかし、ハンドリングのレスポンスには若干ぬるい感覚を持つ人もいたようです。その面も考慮すると、山道のワインディングを楽しく飛ばすというより、ハイウェイを突き進む方が向いているのかもしれません。とはいえ、グリップ感が低いとかロールが多いということでもありません。

まぁ、ホイールベースなどを含めてベースのベンツSLKとまったく同じ要素も多く、当然その乗り味もほぼ同じであるという評価も多いようです。

ちなみに、『Car and Driver』詩が行ったロードテスト(6速MT、自然吸気)では、時速0から60mph(約96km/h)までの加速が6.5秒の加速性能を示しました。また、半径45メートルのスキッドパッドでの旋回Gは0.91だったそうです。

意外と選べる中古車

天下一品と言える個性をもつルックス。日本向けではギアボックスが5速のATのみになってしまうものの、現在でもこのクロスファイアの存在感は薄れていないと言えるでしょう。クーペとロードスターがあることや、アメ車と言えども中身は「ベンツ」という安心感も評価できそう。そんなこの車、リセールバリューはいかがなものなのでしょうか?

まず、クーペの中古を調べてみると、2007年登録で走行距離が7.0万kmの車検付き車体で、650,000円というのもあります。2006年登録の走行距離2.8万kmのものは、車検1年付で1,250,000円というのも。

一方、ロードスターの中古はどうでしょうか。2004年登録の8.1万km走行した車両で、車検付きのものが1,279,000円。あるいは、2007年登録の5.4万km走行車両が車検付きで、798000円という安い出物もみられるようです。

まぁ、中古の場合は、程度や走行距離で大きく値段が変わると思われますが、総じて1,500,000円までには至らないのが、現状のクロスファイアのリセールバリューだと思われます。これを安いと感じるかどうかは、その人の好みと・判断の問題でしょう。

気になる、乗り始めてからの故障は?

車ですから、走行してゆくうちに交換部品は必ず発生します。それとは別に、クライスラー クロスファイアの故障として語られている中で興味深いのは、エレクトロニクス関係の故障かもしれません。

それは、走行中にブレーキ系やスタビリティコントロール系のランプが、たいした理由もなく点灯するというものです。あるいは、制御系の問題でスターターが回らなくなるということもあるようです。スピードセンサーが故障するというのが、比較的に多い印象があります。面白いと思ったのが、ランプの点灯などは「じきに消えるので」気にせず運転しつづけている、というオーナーさんも多いことでしょうか。

一般的な輸入車とくらべて酷評する方は、あまりいらっしゃらないようです。

個性のスタイルをもっと個性的にする? カスタムパーツ

内装のチープ感が揶揄されることもたまにある、そんなクロスファイアですから、できるだけドレスアップして飾りたいという需要も存在するでしょう。

例えば、もともと凝った形状のヘッドライトを、よりモダンでクールに仕上げてくれそうなキット。特殊塗料で塗られたインナーパーツと、新たに組み込まれたマルチカラーのLEDが、さまざまな色彩を発色するというものです。他にも、クロスファイアに適合するHIDライトのキットは多いようです。

もっと派手なものだと、クロスファイアのドアヒンジごと改造して、「ランボ」っぽく跳ね上げ開閉式とするパーツもあります。これだと、もともと目を引くこの車が、とてつもなく派手に変身しそうですね。

まとめ

ただ変わっているだけではなく、スタイリッシュな個性ももつスポーツクーペ&ロードスター。人目を引くこと必至のデザインは、オーナーさんのセンスを主張するのにぴったり。

そんなクルマが、このクライスラー クロスファイアという一台でしょう。日本には5速ATしか入っていませんが、その中身はFRのスポーツカーです。意外とこなれた中古価格も含めて、ちょっと気になるクルマと言えそうですね。