【ボッシュ コネクティッドカー】クルマを超え「パーソナルアシスタント」として機能する!

自動運転が話題となる自動車業界ですが、その最先端を行っている中の一社が「ボッシュ」です。今回、同社が誇る機能を盛りだくさんで搭載した「コネクティッドカー」のデモンストレーションが行われました。その中身は「クルマがここまで進歩した(する)」ということを示すに十分なものでした。その機能とこれからのクルマについてちょっとだけ考えてみましょう。(飯嶋洋治)

「コネクティッドカー」は近い将来のクルマの姿を現す!

photo by iijima

ボッシュのコンセプトカーである「コネクティッドカー」のデモンストレーションが行われましたのでその様子をレポートしましょう。この「コネクティッドカー」は、2016年5月にベルリンで開催された「re:publica2016」に出展されたものです。ボッシュによると、「未来の自動車のインテリア、近い将来実現するであろうクルマとドライバーの間の通信、それによって生まれる可能性のビジョンを体現している」としています。

「パーソナルアシスタント」としてのクルマ

コネクティッドカーは、自動運転はもちろん、常時オンライン接続した環境下で、自宅、オフィスに続いてクルマが第三の居住空間になるような工夫が盛り込まれまたものといえます。クルマに乗っているときが単なる移動時間となるのではなく、必要なときには仕事を進め、外部との連絡を取り、またリラックスできる時間となり、クルマというだけでなく、パーソナルアシスタントと呼べるようになるほどの進化を狙っているわけです。

スマートフォンやタブレット端末にアクセスして制御する。

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今回は、機能のデモンストレーションですので、実走したわけではなく、バーチャルな空間で行われましたが、その様子をもう少し具体的に説明してみましょう。コネクティッドカーの特徴のひとつは、スマートフォンやタブレット端末にアクセスして制御することができることです。希望するルートを設定するときも、例えばマニュアルモードのドライビングを楽しみたいときには、それに適した特別なルートを設定できますし、車中で考え事をしたい場合には自動運転を設定するということができるわけです。

こうした設定によって例えば出勤時には、迎えにくるように命令することもできます。次にクルマに乗り込むわけですが、そのクルマのドライバーであることを認識させるには、指紋認証を行います。認証にはハプティックディスプレイを使用します。これは平面のディスプレイですが、触った際に感触が指に伝わってくるギミックが仕込まれています。

ステアリングホイールのボタンを両手親指で押すことでマニュアルと自動運転を切り替える。

自宅から出るゲートまでは自動運転し、ゲートを出てマニュアルモードに切り替えるときには、ステアリングホイールを握る両方の指をボタンに当てることで行います。この切り替え時間は現時点では3秒となっているそうですが、この辺の時間は、どれがベストというのは難しいところであり、今後、実用化に向けて再考されていくところでしょう。

マニュアルモードでは道路から目をそらさずにインターフェイスを操作できるように!

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マニュアルモード運転し、仕事に向かう途中で、センターディスプレイには会社の同僚からの情報が表示されていたとします。急ぎかもしれないので、追加情報が欲しいような場合、マニュアルモードでの運転に支障が出ないように、処理することもできます。まずドライバーは視線は道路を見ながら、ジェスチャーで視線機能を有効にすることで、視線でセンターディスプレイ、クラスターディスプレイのハイライト表示を切り替えるようできます。

視線機能とジェスチャーでシンプル&安心な操作が可能。

センターディスプレイからクラスターディスプレイに表示を移したいと思ったら、センターディスプレイを一瞬みてジェスチャーをすると、同僚の情報がクラスターディスプレイに拡張表示され、より多くの情報が得られるというわけです。それが済んだらジェスチャーでまたセンターディスプレイの表示に戻し、次のジェスチャーで視線機能をオフにすることができます。こうして各情報にアクセスし、さまざまなディスプレイに割り振ることができるようになっているわけですが、基本的にはマニュアルモードでは、運転の注意をそらすことなく、簡易な操作でさまざまな機能にアクセスできる配慮がされているといえるでしょう。

自動運転ではクルマがオフィスとなりリビングとなる。

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自動運転の方を見ていきましょう。クルマが高速道路に入ると、自動運転に切り替えるかシステム自体が確認してきます。このときは再びステアリングホイールのボタンを両手の親指で押すことにより自動運転の切り替えが行われます。たとえば、ビデオ電話会議などを行いたい場合には、自動運転でステアリングホイールから手を放して、簡単なジェスチャーで電話に出られるなどの機能が搭載されています。

ここではクルマがオフィスとして使用できるというわけです。ハプティックディスプレイは指紋認証だけでなく、例えば同僚にメッセージを書く、保存すること、あとでアクセスするなどということも可能になっているそうです。

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目的地の玄関についたらクルマを降り、クルマが勝手に駐車場を探す!

オフィスのゲートを通過すれば、自分の働いている社屋まで自動でクルマが進み、バレットパーキング機能を有効にして指紋認証してクルマを降りれば、あとはクルマが自動で駐車場へ移動します。その動きは、スマートフォンやタブレット端末で確認できます。

音楽プレーヤーは気分で操作できる? 「ムードホイール」を装備。

その他、運転中でも大量の音楽データーに簡単にアクセスする方法なども備えられています。音楽プレーヤーに切り替えると、ドライバーがアクセスできる曲が数千曲用意されています。これを手動でナビゲートするのは大変なことですが、たとえば気分に合わせて「ムードホイール」で選曲できます。どんな雰囲気の曲を聴きたいのか、瞬時に決めることができる。エモーショナルなもの、最新のもの、楽しいもの自分の好みにあわせて、瞬時に選択することができるようになっています。これは指で円を描くようなジェスチャーで選択していました。

初心者ドライバーのためには全力で走行をバックアップ!

初心者ドライバーには運転支援モードもあります。道路を横切る歩行者がいた場合、アンビエントライトやヘッドアップディスプレイで、適切な場所と適切なタイミングで、注意が向けられるようにサポートするようになっています。車載されているすべてのドライバーアシスタントシステムに組み込まれている知能や知識を活用して、高い集中力を維持するためのレーンキープサポート、近くに車両が通過する際の視覚検知をアンビエントライトで知らせるなど、さまざまな形で支援されます。

特に経験の浅いドライバーが何か他の機器を操作したり、考え事をしたりして気を取られることを想定して、そんなとき各車両に接近しすぎた場合、アンビエントライト、音声警告、ヘッドアップディスプレイの視覚警告をし、注意喚起するといいます。

クルマがドライバーを監視し、システムの使用を提案してくるという新世界。

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レーンキープサポートでは、渋滞中の走行では、ドライバーが適切に追従運転をする必要がありますが、システムがドライバーを監視するということもやります。そして、しばらくの間、ドライバーがきちんと操作していることをシステムが感知すると、トラフィックジャムアシストの使用の提案がされます。

クルマがあれこれと提案してくるのはうれしくもありわずらわしくもあり?

トラフィックジャムアシストを使用すると、今度はシステムに任せられるようになります。交通状況が改善するとクルマは適切にスピードをあげて、また制御権を切り替えてマニュアルモードで運転するか聞いてくるなど、ある意味では親切、ややもするとおせっかい? な機能もあり、この辺は新時代とみるか、わずらわしいととるか? 時代が判断していくことになるのでしょう。

ボッシュが2021年までに目指すことなど。

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ボッシュとしても、クルマを第三の生活空間とするというのは、2021年のビジョンであるといいます。これからの5年間(2021年まで)で達成しようとしている4つの主要なメッセージに基づいているとも言い換えられます。

その(1)は、「コミュニケーションの境界がないこと」です。クルマにのっているときにあたりまえにソーシャルメディアを使用して、家族、友人に関するすべての情報、スマートホーム、セキュリティシステム、仕事関係の情報などにどのようにアクセスできるようになるのかということです。

その(2)は、ボッシュのコーポレートスローガンであるインベンティッドフォーライフ、「クルマがあなたを守ること」です。クルマを今後さまざまなドライバーズアシスタントシステムを駆使した安全性の観点からだけではなく、ボッシュのセキュリティシステム、スマートホームの家電製品を活用してセキュリティの面においても、ユーザーを守ってくれるようになるでしょう。

クルマを超えたクルマの時代がすぐそこまで迫っている!

その(3)が「パーソナル化」です。スマートフォンを自分の使い勝手がよいようにパーソナル化するように、クルマをドライバーの好みに合わせることができ。クルマ自身がドライバーのことを学習し、さまざまな状況下でそのドライバーにあったサポートをしてくれることとなります。

その(4)「包括的なHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)」です。クルマに期待されるHMIとして、クルマとの快適なインタラクション、パーソナルアシスタント、第三の生活空間としてより、快適な生活空間となるインターフェイスを目指しているといえるでしょう。

まとめ

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クルマのもともとの楽しさの一つには、「自分で思うがままに操作する」という部分があるはずです。ボッシュの「コネクティッドカー」には多分にその要素が盛り込まれていますが、注目されるのはやはり自動運転。自動運転で何ができるか? といったときに、それが「仕事」だったりすると、そこまで仕事をしなければならないか? というちょっと息苦しい思いもします。運転するときくらいは仕事を忘れて…というのは現代人には贅沢なことなのかもしれませんが。とはいえ、インターネット、クラウド、IoTという流れの中でクルマも変わらざるを得なくなってきました。できれば、その先にある「自動運転の楽しさ」というのも考えなければならない時期に来ているのかもしれません。