プジョー 406 貴方は映画“TAXi”を見たか?

1998年公開の映画“TAXi”をご覧になりましたか?ピザの宅配ライダーがタクシードライバーになって、強盗団をやっつけるお話。そんな彼の愛車がプジョー406なのです。レーシングカーの如く改造されていて“お客様を最速で目的地へ運ぶ”のがモットー。この映画の中で、実に魅力的に描かれている車“プジョー406”をご紹介します。

406ってどんな車?

出典:http://www.goo-net.com/car/PEUGEOT/406/E-D8.html

プジョーの4シリーズは、Dセグメントにあたるミドルクラスです。デビューは1995年9月のフランクフルトモーターショーですが、日本導入までには1年かかりました(1996年10月発売)。日本仕様は全車右ハンドルのA/Tのみの設定で、後に左ハンドルM/T設定の“406スポール(sport)”が追加されています。
最上級グレードのSVにはレザーパッケージ(本革シート)もありました。国内向けグレードとしてSV、STの2種類があります。
エンジンは、本国では6種類選択できたのですが、国内向けは2.0L 直列4気筒・DOHC16V(132PS/18.7kgm)のみでした。
1997年、ブレーク(ステーションワゴン)が追加された際に、V6・3.0Lエンジンが導入されました。
サスペンションは、フロントにオーソドックスなストラット、リアはマルチリンク。“ネコ足”と呼ばれる、プジョー特有のしなやかで滑らかな、ストローク大きめのサスセッティングが特徴です。

全長4,555mm
全幅1,770mm
全高1,420mm
ホイールベース2,700mm
車両重量1,390kg
※シトロエン・エグザンティアとプラットフォームを共有しています。

これがTAXi仕様の406

出典:http://www.imcdb.org/vehicle_726-Peugeot-406-1996.html

あまり書きすぎると映画の解説のようになってしまいますので簡単に。宅配ピザの配達員ダニエルは、念願のタクシードライバーの資格をとり、愛車プジョー・406でタクシー業を始めます。その406とは、ボタン一つでレーシングカーのように姿を変え、どんな場所でもあっという間に顧客を送り届けることができるのです。
そんなダニエルが、仕事中にひょんな事から刑事と知り合います。ちょうど街を荒らし回っていた強盗団“メルセデス”の逮捕に協力することになりました。W124メルセデスとのど派手なカーチェイスがなかなかの見物なこの映画、406の魅力が満載なのです。

マイナーチェンジで垢抜けて...

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB406

1999年にマイナーチェンジを受けてフェイスリフトしました。外観の主な変更点は、グリルとバンパーのデザインが変わったことと、サイドプロテクトモールにメッキのラインが入ったことです。テールランプユニットもわずかに変更され、中央にボディ色のラインが入りました。
見えない大きな変更点はトランスミッションです。ZF製の4速A/Tから、ルノーと共同開発したAL4型に変更されました。既製品を借りてきただけのZFミッションでは、エンジン特性と日本の交通事情にうまくマッチしませんでしたが、シフトタイミングなどの最適化ができるようになりました。室内では、ストレートデザインだったシフトゲートからスタッガード型に変更されています。
また、2.2L DOHC16V 5速M/Tのスポール(sport)が追加されました。

魅力的な派生モデル

パッケージの良い406には、魅力的な兄弟がいます。

ステーションワゴンの“ブレーク”

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB406

日本国内では1997年に発売されました。ミドルサイズのステーションワゴンです。エンジンはセダン同様、2.0L 直列4気筒DOHC16VをFF横置き搭載です。当初はシングルグレードでスタートし、後のマイナーチェンジで3.0L V型6気筒DOHC24Vが追加されました。後部座席を格納する事で積載容量を526Lから1,741Lまで拡大可能できる本格的ステーションワゴンです。

全長4,725mm
全幅1,760mm
全高1,450mm
ホイルベース2,700mm
車両重量1,453kg(2.0Lモデル)

美しすぎるクーペ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB406

日本には1998年1月から導入されました。デザイン的には似ていますが、外装でセダンと同じ部品は一切なく、全て専用設計となっています。内装も、ダッシュボードとセンターコンソールはセダンとほぼ同様ですが、メーターパネル・ドア内張り・前後シート・リア内張り・天井内張りまでクーペ専用部品で、ダッシュボードの化粧板には“ピニンファリーナ”のエンブレムが輝いています。
前席シートはレカロとプジョーの共同開発、前期型のD8CPVではパンチングレザーが貼られていました。ゆったり座らせたかったのか、乗車定員は4名です。日本向けの仕様は、3.0L V6DOHC24V(190PS/26.7Kgm)で、ZF製4HP20・4速A/T(最終仕様まで一貫して使用されました)。また前期型(2003年8月まで)では、前輪ディスクブレーキにブレンボの対向4ピストンキャリパーが標準装備されていました。
最高速度は235km/hで0→100km/h加速は7.9秒。ハンドルは左右から選択可能ですが、国内向けは1グレードのみ、本革シート標準装備でした。イタリアのカロッツェリアであるピニンファリーナがデザインから製造工程まで一貫して手がけています。
この優美なデザインは、歴代フェラーリを手がけた名門ピニンファリーナ(デザイナーは故ダビデ・アルカンジェリ:Ferrari 360 Modena、BMW 5シリーズ(E60)など)によって生み出されました。故に世界的にも“美しいフォーマル・クーペ”と評されています。
2000年にエンジンがリファインされました(206PS/29.0Kgm)。
2003年8月にマイナーチェンジを受け、フロントバンパーとアルミホイールのデザインを一新。それまでの“への字口”からにっこり笑っているデザインになりました。

※エンジン・トランスミッションなどの機構部品はセダンと共通ですが、外装・内装のほとんどがクーペ専用部品ですので、輸送費などもかさんでなかなか割高な設定です。

全長4,615mm
全幅1,810mm
全高1,365mm
ホイールベース2,700mm
車両重量1,520Kg(前期) 1,500Kg(後期)

超特別なクーペ“セッタンタ・アンニ”

こちらは日本への正規輸入がありませんでしたので、なかなか希少な写真です。
ピニンファリーナの70周年記念車となる“Pininfarina settant anni(セッタンタ・アンニ)”です。イタリア語で“70周年”という意味です。
あのピニンファリーナが、自社の70周年記念に406クーペを選んだのです。それほど、ピニンファリーナにとっても思い入れの深い1台なのでしょう。フランス国内のみの限定販売で、1,200台のみ生産されました。いまだにフランス国内でも希少な車で、マニアの間では特別な存在になっています。
“ハイペリオンブルー”と名付けられた薄いブルーがとても綺麗で、白色に統一された室内とのマッチングは抜群です。シートにはピニンファリーナのロゴがあしらわれています。
ホイールも専用のものですが、これは97年にピニンファリーナが発表したコンセプトカー “ノーチラス”のホイールと同じデザインです。

プジョーにとっての406

出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5c/Peugeot_405_SRI.JPG/1024px-Peugeot_405_SRI.JPG

peugeot 405

406の先代は405という車です。さかのぼると404、403となりそうですがそうではありません。これがプジョーの面白いところです。404という車はあるにはあるのですが、1960年に登場した2世代も前の車でした(それでも1988年まで生産されたのですが)。405は404の後継ではなく、305の上位移行という形で作られたのです。
じゃぁ、306は?となりますが、305の後にはしばらく空白がありました。その間、309という車が販売されていましたが、これは305の後継ではないんです。実は、プジョーの子会社であるタルボブランドで販売するはずだったのですが、タルボをたたむことになり急遽309と名付けてプジョーブランドで売ることにしたのです。
305を拡大する形で作られた405、その後継が406なのです。
確かに406をよく眺めると、306と共通する部品がたくさん使われています。つまり、プジョーにとって4シリーズは、3シリーズの拡大版なのです。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB309

PEUGEOT 309

いまでも乗れる?

1997年デビュー、最終モデルでも2005年に生産終了していますので、すでに10年経過しています。とはいえ、丈夫につくられていますので、点検・整備を怠らなければ十分普段使いにも使える車です。

某中古車サイトを覗いてみました

セダンが5台いますね。年式、価格ともにまちまちですので評価が難しいですが、2000年式のSVレザーパッケージが20万円弱です。2004年式のスポール(2.2L・5速M/T)ですと100万円弱です。

レザーパッケージの内装はなかなかの豪華さです。ウッド調のパネルとも相まって、本革の内装は重厚で落ち着きがあって、すわり心地も抜群です。
20万円で手に入るなら...と心が動いてしまいました。
この革シートは手入れを怠るとひび割れてしまいますので、必ず現車を見て確認してください。
まさにファミリーカーですので、全般的に走行距離が多目ですが、メンテナンスを怠らなければ20万キロ以上走れるエンジンですので大丈夫です。

マニュアル派ならスポールをおすすめします。もはやスポーツセダン自体が絶滅に近い状況ですので、この車は“超”が付く希少車といっても過言ではないでしょう。
ファミリー仕様の2.0Lエンジンではなく、スポーツ仕様の2.2Lエンジンですので、運転がとても楽しくなりますよ。

出典:http://www.carsensor.net/catalog/peugeot/406_break/F001/M002G002/

ブレークは1台しかありませんでした。2004年式で62万円。
ミドルクラスのステーションワゴンって、日本にはありません(なくなってしまいました)。小回りが効いてゆったり乗れて、荷物も満載できる、こんな使い勝手の良いワゴンって素敵な乗り物だと思うのですが、いまひとつ人気がありません。

出典:http://www.gooworld.jp/car/PEUGEOT/406/GF-D9CPV.html

クーペが一番多いのには少々驚きましたが8台あります。1998年式で98万円~2004年式で50万円まで多様です。実は、クーペに限っては前期型のほうが人気が高いのです。ピニンファリーナの美しいデザインそのままが良いのでしょうね。フェイスリフトで“にっこり笑った”顔になったのがどうにも受け入れてもらえないようです。
でも、ご安心ください。実は、フロントバンパーを前期型のものに交換すれば、ピニンファリーナデザインの完成!なのです。
できればホイールも、前期モデル用に交換するとなお良いです。さらに言えば、前期モデルはフロントブレーキにボレンボ製の厳ついブレーキキャリパーがついていましたので、このあたりも前期型の人気のひとつなのでしょう。

不安はないの?

古い輸入車を選ぶことに不安を感じる方は少なくありません。残念ですが“壊れやすい”というレッテルも、あながち間違いではないのです。
ただそれは、輸入元の問題であることがほとんどです。たとえば、メーカーと輸入元の間でコンセンサスがしっかりと図られていないと、どの車のどこにどんな部品が使われているのかすら把握できていないことが多いのです。
結果として、軽微なトラブルでも正しい部品が用意できない、間違った部品を取り付けてしまうなどの2次災害が起きてしまいます。これでは、“何度修理に預けても直らない”とか、“修理に出す前よりも悪くなった”などの状況に陥ってしまうのです。
90年代頃までは、ドイツ車を除いては輸入元が頻繁に入れ替わることも多く、車輌ごとのデータや資料が引き継がれていないことも少なくありませんでした。これでは、上述したような状況が起きることも容易に想像できますよね。
このような理由から、概ね2000年以降の輸入車をオススメします。アメリカ車しかり、フランス車しかりです。
406に関して言えば、発売当初からプジョージャポンが輸入・販売していましたし、データ管理も比較的ちゃんとしている会社ですから、不安になるような状況にはならないでしょう。
できればマイナーチェンジ後のモデルをオススメします。
理由は、このころにCANシステムが導入されていて、ECU(コントロールユニット)が格段に進化しましたので、より安心して乗れるはずです。
とはいえ、走行距離による消耗や痛みは免れませんので、しっかりとメンテナンスしてから乗り出しましょう。

最後にまとめ

愛車だった406クーペ
Photo by hertylion

実は私も406クーペに乗っていました。2台乗り継ぐほど入れ込んでいましたが、最後は事故で失ってしまいました。機会があればもう一度乗りたいと思っています。
全幅こそ3ナンバーサイズですが、モールやサイドマーカーが飛び出しているだけで、実質5ナンバー枠いっぱいの大きさです。いろんなところが決して広くない日本では、とても使いやすい大きさなのです。
デザインは今でも古くささがありませんので、十分おしゃれにフレンチオーナーを気取れますね。
内装は、レザーパッケージをオススメします。じつに上質で良い雰囲気です。クーペでしたらすべて革シートですが、中期モデル以降の方が革の質が良いのでオススメです。
輸入車に少し慣れてきて、もう少しクセのある車に乗りたくなっているなら、ぜひチャレンジしてみて欲しい車です。