SUPER GT、熾烈なバトルは日本から世界へ!

日本の3大自動車メーカーが威信をかけてぶつかり合う、そんなエキサイティングなレースシリーズが、『AUTOBACS SUPER GT』です。富士スピードウェイや鈴鹿サーキットなら、(週末2日間のべで)6万人から8万人を集める人気度合は、国内自動車レースの中でも別格だと言えましょう。そして、その視野は海外へと向いているそうなのです…。

SUPER GTの概要 その歴史はスポーツカーレースの系譜

photo by dkikuchi

FIA(国際自動車連盟)が考えたレギュレーションの価値を、その他の人々が理解できなかったからなのでしょうか。1990年代に入ると、それまで活況を呈していたはずのスポーツプロトタイプカーによるレースが、パタッと終わってしまいました。いわゆる、『Cカー』の時代の終焉です。

1980年代には、トヨタ、ニッサン、ホンダ、そしてロータリーエンジンのマツダと、国産メーカーもこぞってプロトタイプを制作してレース参戦。鈴鹿サーキットや富士スピードウェイにおいて、活発な耐久レースを繰り広げていたのです。それが、ぱたっと消えたら日本のモータースポーツはどうなってしまうんだろう…。そんな危惧が、レース関係者の中に少なからずあったはずです。

そんな時に光が当てられたのが、市販車を基本とするマシンで行う「GTレース」でした。1994年からJAF(日本自動車連盟)公認ではじまった、『全日本GT選手権』には国内の各メーカーが再び参戦。その後もマシンと競技内容の向上に勤め続けた結果生まれたのが、現在の『AUTOBACS SUPER GT』と言う訳です。このドライバーとマシンそしてチーム体制も併せて、メーカー同士のぶつかり合いが演出されている所が、『SUPER GT(スーパーGT)』の根強い人気の原動力であることは間違いありません。

(そんな『SUPER GT』。観戦方法・スケジュールなどが気になる方は、下のリンクから詳しいページへどうぞ)

SUPER GT (スーパーGT)2016年シーズンの総まとめ記事です。このページを見れば観戦に行く際に役立つこと間違い無しです! 見に行きたい方はもちろん、見に行く方にも必見の情報盛りだくさんです!

SUPER GTのルールについて色々

レースは耐久形式、タイヤはチョイスが可能

出典:http://supergt.net/gallerys

『SUPER GT』の大きな特徴の一つに、そのスタート形式があります。『F1』などは、全車両が一度グリッド上に停止し、前方の赤シグナル全点灯からブラックアウトで一斉にスタート(スタンディングスタート)します。しかし『GT』では、フォーメーションラップの最後に各車が隊列を整えますが停止せず、グリーンシグナル点灯を期に全開加速に移るという形式(ローリングスタート)です。

これは、耐久レースなどで行われるスタート形式。過去の『グループC』時代から受け継いだものともいえるでしょう。そのローリング中、各車両はタイヤを温めるために、ぎりぎりまで右に左にウィービングを行います。見る側にとっても、興奮と期待と緊張が高まるタイミングですね。『SUPER GT』のレース距離はおおむね300kmが標準ですが、富士スピードウェイでの500kmと鈴鹿サーキットでの1,000kmという、耐久色の強いイベントも用意されています。

さて、そのタイヤについても、『SUPER GT』では、いわゆるワンメイク化を行っていません。現状では、『ブリジストン』に『ミシュラン』、そして『ダンロップ』と『ヨコハマ』の4メーカーから選択が可能です。『GT500クラス』では15台のエントリーがありますから、同じ車種でもタイヤが違うという状況が生まれ、これもレースの展開に大きく影響します。

レース中には必ずピットインがあって、ドライバー交代と給油、そしてタイヤの交換が行われます。そのタイミング、作業の要領・技術力なども勝負を決定する大きな要素となっています。

レース結果に与えられるポイントは以下の通りです。1位に20。2位に15。3位に11。そして4位に8が与えられ、5位の6点から下は1ポイントずつさがり、10位までが入賞となります。また、予選Q2で最速タイムを記録したドライバーにも、1ポイントが加算されるということです。

ぶっちぎりは許さない、ウェイトハンディ制

出典:http://supergt.net/gallerys

他のスポーツ同様に自動車レースでも、シーズンの中ほどにチャンピオンがほぼ決定、というのはかなり盛り下がってしまいます。道具の性能で勝負が決まり勝ちなモータースポーツは、特にその傾向が強いかもしれません。

そんなつまらない状況を許さないために、『SUPER GT』では獲得ポイントに応じたウェイトを積む義務があります。つまり、優勝した時は、次のレースでは重いマシンで戦う覚悟もしなければいけないということ。その最大重量は100kgですから、普通の成人男性よりはるかに重い荷物となります。そんなハンディを背負わされた状況でも、タイヤとマシンに細心の注意をはらいつつ上位を目指せるドライバーが、SGTのチャンピオンになれるということでしょう。

GT300車両とは?

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JAFの発行する『国内競技車両規則第1編レース車両規定』では、『グランドツーリングカー300』と『グランドツーリングカー300マザーシャシー』とされているマシンです。

その定義は、「最少2座席を有し、車両の片側面にそれぞれ1枚以上の乗降用ドアを有する自動車」であり、ベース車両およびエンジンは、「自動車製造者によって生産され、公道走行に適合」しているものでなければなりません。使われる材質として、カーボンやチタンなどは基本的にベース車両でも同じ部位に使用していなければいけないそうです。

車体寸法としては、ベース車両のフロントバンパーから120mm以内でのフロントオーバーハング延長、そしてベース車両の寸法がそれに足らない場合に限り950mmまでのリアオーバーハング延長が認められます。加えて、ホイールベースが2,600mm以下の車体は、最大で5パーセントの延長も許されています。

前車輪軸中心線と後車輪軸中心線の間は、フラットボトム(平面化)でなければいけないので、空力処理をするとしても、その前後などに限られます(オーバーハング以内)。そのためバンパー形状に変更をするとしても、その範囲は、車体を真上から見た時の限られた四隅の範囲のみとされています。リアのウィングは、フラットボトムから1,100mm以内の高さで幅は1,900mm以内が、許されるサイズとなります。

そして、意外と自由なのはエンジンで、気筒容積の変更および過給機の取り付けも自由ということです。さらに、ピストン系やフライホイールも自由、カムシャフトもかなりなチューニングが許されています。排気系には全ての排ガスが通過する最低1つの触媒が義務付けです。

逆に明確に禁止されているのは、「オートマチックギアボックス」や「電動または自動調整のディファレンシャルおよびショックアブソーバーなど」、そして「四輪操舵」その他。

規定では、従来の『300車両』と『300マザーシャーシ』について細かく記述されていますが、大枠では同様のルールと思ってよさそうです。

GT500車両とは?

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同様なJAFの規定において、『グランドツーリングカー500』とされている車両です。ベースとなるクルマは、「自動車製造者によって生産され、公道走行に適合」であることも同じです。ただし、「JAFによって認められた車両」や「DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)基本車両として認められた車両」も使うことができます。

500車両の場合は、車体の寸法が直接規定されています。それによると、全長4,725mm(車体下部)でフラットボトムからルーフの頂点までは1,150mm以上の高さであること、ホイールベースは2,750mm(プラスマイナス10mm)などとなっています。また、車体を真上からみた時の最大幅は、1,950mm以内との規定もあります。

ドアの形状を変更(削除)したい場合は、フラットボトムから275mm以内の範囲が認められます。ルーフには、ドライバー救出のための開口部(420x420mm)をヘルメットの上に開ける必要があるそうです。

空力パーツとしては、規定された形状のフロントスプリッター取り付けが義務づけられており、リアウィングは、フラットボトムからの高さ1,160mmで幅が1,390mm以内のものが使用可能です。さらに後部床下にも、規定されたリアディフューザーを取り付けなければいけません。

使えるエンジンは、JAFから承認をうけた直噴4気筒のターボ付きの排気量2.0L。その搭載位置はベース車両と同じでなければならず、横置きは禁止です。ECUもJAFが指定するものに限ります。この『GT500』においても、排気系にはすべてのガスが通過する触媒を、最低1つ接地しなければいけません。

ヨーロッパからの刺客、GT3

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昨今では、自動車メーカーが自ら製造して、FIAによるレース車両の公認を得る、『GT3』というクラスが増えているようです。そして『SUPER GT』でも『GT300』の中にそれを組み入れたことで、エントラントへの門戸がさらに広がったと言ってよいでしょう。
ポルシェやAMG(メルセデス)そしてBMWやアウディといったヨーロッパ勢が、かなり本気で『GT300』に参戦してくれるのは、日本のファンにとってもうれしい限りと言えましょう。

人気のレースイベントを観戦しようっ!

『AUTOBACS SUPER GT』のレースを観戦するのは、やはりサーキットへ行き本物に触れるのが一番。とはいえ、事情が許さない場合も多々あります。そんな時はテレビ観戦になるわけですが、昨今の地上波放映ではモータースポーツをほとんど流してくれません。(唯一、地上波テレビ放送で短めのダイジェストが見られるのが、テレビ東京系列の「SUPER GT+」という番組)

その変わり、『J SPORTS』が予選・決勝のライブからダイジェスト版、あるいはオンボード映像版なども放映してくれるのでありがたい所ではあります。また、『J SPORTS』制作のライブ映像が動画サイト『ニコ生』の有料配信でも視聴可能です。これもなかなか良いですね。

最後に個人的なおすすめです。富士スピードウェイで開催される『SUPER GT』の時は、予選の土曜日は一晩中サーキット内にとどまることが出来るので、食べ物や飲み物などを持ち込みキャンプがてらの観戦ができます。一応、BBQもできるので、そちらでも満喫される方々も多いようです。ご参考にどうぞ。

2016年のSUPER GT(スーパーGT)シリーズの開催スケジュールををまとめました。今年も熱い季節がやってきます。是非お住いの地域から近くのサーキットで開催の際は見に行ってください。最新更新:2016年3月11日

まとめ

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『SUPER GT』は、どのサーキットであっても、すべてのコーナーで抜きつ抜かれつのバトルが期待できそうなカテゴリー。そして長いストレートエンドでは、時速300kmを超えます。メーカー同士のぶつかり合いも含めて、まさに、自動車レースのすべてが詰まったレースシリーズだといえるでしょう。

加えて、エンジンのダウンサイジングや触媒による排気ガス浄化の義務があり、また「JAF公認レース競技会に参加するすべての車両は、3mの距離で排気音量が120dB以下」という規則もあります。レーシング技術の追求と当時に、環境などへの配慮も盛り込まれているのが、現代のトップカテゴリーだということですね。

普段、町中で見かけるクルマが、一流レーサーに操られサーキットを疾駆する。どんな人でも楽しめモータースポーツが、この『SUPER GT』なのだと思います。

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