日本自動車レース界のピラミッド構造とは?構造を理解して頂点を極めろ!

おそらく自動車レースは、人間が考え出した中でも、最もエキサイティングなショーの1つだと思います。そして同時に、厳格なルールで縛られたスポーツでもあるのです。日本では、あのJAF(一般社団法人 日本自動車連盟)が、4輪モータースポーツの体系作りや承認をおこなっています。そしてその全体像は、超ハイスピードのプロレースから、比較的に誰でも参加可能な入門カテゴリーまでのヒエラルキー構造です。

実は、その中身は多彩な、国内のレースのピラミッド構造

photo by dkikuchi

どの分野のスポーツでも、一般的な人気を博すためには、トップクラスの競技が認知度を高めることが必須と言います。だから、各種目の統括団体が統一したルールのもとにチャンピオンシップを設定して、より高いレベルの戦いが行われるように促している訳ですね。
モータースポーの1分野である自動車レースの場合は、FIA(国際自動車連盟)直轄にある、唯一無二の『フォーミュラ1(F1)』が世界の頂点として君臨しています。そしてその下には裾野の広がったピラミッドのような形の、多種多様なレベルの競技が連なる携帯を取っています。

そして日本のレースもまた、そのピラミッドの一部です。そこでは、選ばれたプロが参加するトップカテゴリーを頂点として、下位には上を目指す若者のためのエントリーカテゴリーが続きます。

ジュニアからF1クラスまでを網羅、国内レースの各カテゴリー

何といってもスピードの頂点は、全日本スーパーフォーミュラ選手権

自動車レースにまったく関心のない人に、「今度レース見にゆくんだ」と言うと、大抵「何?F1 ?」と聞かれます。それだけ、『フォーミュラ1』の最高峰レースとしてのイメージは、世界に上手く浸透しているということなのでしょう。

日本国内の4輪モータースポーツにおいて、同じような位置に置かれているのが、『全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)』。現行(2016年時点)の『JAF国内競技規則』において決められた、『全日本選手権』の2カテゴリーの内の1つがこれです。

細部の技術的仕様の違いを除けば、SFで使うクルマはF1とまったく同じ原理を持ちます。つまり、単座式で4輪がむき出しのレース専用車両、一般にフォーミュラーカーと呼ばれるマシンです。使用する車両は、イタリアのダラーラ社が設計した『SF14』のみと規定された、いわゆるワンメイク。しかし一説によると、F1を除けば、フォーミュラーカーの中では世界で最速(特にコーナーで)のマシンだとも言われています。

そんなクルマを使って競われるSFのチャンピオンシップ。日本だけでなく、諸外国からも優秀なドライバーが集まっています。現在では、小林 可夢偉、ナレイン・カーティケヤン、そして中嶋 一貴といったF1経験ドライバーも参戦。国内のサーキットを転戦しつつ、年間で7ラウンドのレースが高いレベルで繰り広げられています。

世界のメーカーも注目するのは、SUPER GT

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日本のモータースポーツにおいて、『SF』とならび最上位に位置づけられるプロシリーズが、『AUTOBACS SUPER GT(スーパーGT)』です。基本的にこちらは、市販される自動車のボディ形状を維持した(とは言え、作りかたはまったく別です)マシンによって競われるレース。したがって、内容もサーキットの雰囲気も、『SF』とは一味も二味も違うものになります。

このカテゴリーは、1980年代から1990年代にかけて人気を博した、『グループC』によるスポーツカーレースにそのルーツがあります。そして、『グループC』と言えば耐久レース用ともいえるマシン。現行の『スーパーGT』においても、500kmレース(富士スピードウェイ)や1,000Kmレース(鈴鹿サーキット)といった、見ごたえのある長丁場のレースがシリーズに組みこまれています。

このSGTも、諸外国から一流ドライバーの参戦を受け、さらにレース自体もタイでの一戦を交えるなど国際化が進んでいます。年間8ラウンドが開催される、国内でも屈指の人気カテゴリーがこれです。(下に詳しい記事へのリンクを貼りました)

SUPER GT (スーパーGT)2016年シーズンの総まとめ記事です。このページを見れば観戦に行く際に役立つこと間違い無しです! 見に行きたい方はもちろん、見に行く方にも必見の情報盛りだくさんです!

F1へも通じる、全日本フォーミュラ3選手権

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ある意味で、観客として追いかける楽しみが最も大きいのは、この『全日本フォーミュラ3選手権(F3)』だと言っても過言ではないかもしれません。現行の『JAF国内競技規則』で、全日本選手権として定められた2カテゴリーの1つが、このシリーズです。

その名称から解るとおり、これもまた単座式のレース専用車両で行われる、F1タイプのスピードレース。基本的には若手育成カテゴリーですが、近年は他のカテゴリーでプロとして活動するドライバーも参戦し、ますますレベルが高くなっています。また同時に、『日本フォーミュラスリー協会(JF3A)』が独自に制定した『Nクラス』という下位クラスも存在。こちらは、何年か前のシャーシに統一エンジンを搭載するなど、コスト面を中心にエントリーしやすい条件となってもいます。

『スーパーフォーミュラ』のサポートレースとして開催されることが多い、このF3。しかし年に1回、この『F3』が主役的にフィーチャーされるイベント(富士スピードウェイ)もあり、比較的安い入場料で観戦できるのでレースファンとしては嬉しいところでもあります。また、レース観戦初心車の人にとっては、本格フォーミュラーの熱いレースを体感する場にも最適でしょう。

若手育成カテゴリーは、FIA-F4

出典:http://fiaf4.jp/gallerys

もともと世界のフォーミュラーカーレースは、頂点の『F1』から『F2』、その下に『F3』と言う風にクラス分けされていました。そして、時代の移り変わりと共に、新たな名前のカテゴリーが生まれたり、消滅したりを繰り返しています。

本来の若手育成レースは『F3』であった訳ですが、近年このカテゴリーも、ハード&ソフトの両面でレベルが上がってきています。よりプロ志向になった、ということだと思いますが、本来の若手向けレースからは若干離れているのも事実。

そこで生まれたのが、いわゆる『F4』。3の下だから4、という訳ですが、当初は国別なローカル規則で行われていたレースでもあり、国内では『日本フォーミュラー・フォー協会』が、その統率を図っていました。

2014年、そんな風に存在感を強めるF4の手綱を締めなければ、と思ったか思わなかったか、FIAは正規のレギュレーションとして『FIA-F4』を作りました。日本では、『SUPER GT』の統括団体である『GTアソシエイション』が、同シリーズのサポートレースとしてこの規格を採用しました。

マシンの基本的な構造・原理はF1と同じ、サーキットでのレース専用に作られたフォーミュラーカー。高いレベルでのレースが学べる、ということで、毎回39台ものエントリーを集める人気カテゴリーでもあるのが、このFIA-F4。エントラントには、女子高生レーサーとして話題になった、牛井渕琴­夏(ごいぶちことか)も居ます。他には相当なベテラン層も参加しており、まさに老若男女が参加の本格レースとなっています。

最も小さいフォーミュラは、Super FJ

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F1ドライバーを目指す多くの日本人が通過しているのが、国内独自のクラスとして制定された、『Super FJ(S-FJ)』でしょう。これは、後述するレーシングカートの上、そしてF4の下に位置するレースカテゴリー。比較的ローコストで、完全な4輪レースが学べるものだそうです。

もともと1980年に、パイプフレームで出来た葉巻型の車体を使う『FJ1600』として発足。それに使用していた富士重工製のボクサーエンジンが終了したことと、時代にあったレースフォーマットの要求に応えるため、2007年に新たに始まったのが、この『Super FJ』です。ということで、『1600』にはなかった空力パーツも備えた、『超ミニF1』と言っても過言ではないクルマとなっています。

エンジンは、ホンダ製のSOHC1.5Lエンジンを搭載。変速機はHパターンで、シンクロ機構のないドグミッション、5速MT。タイヤはスリックを使用しますが、サイズは控えめでコストに配慮されています。

S-FJのレースは各地の地方シリーズとして開催され、シーズンの最後に行われる『S-FJ日本一決定戦』で、その年の真のチャンピオンを選びます。開催サーキットが多いということでも、最底辺のフォーミュラーレースとして、日本のモータースポーツを支えていると言えるでしょう。

誰でも始められる? 最初の一歩はレーシングカート(kart)

JAFが開催する全日本選手権としては、4輪の自動車レースと切り離された存在となっている、この『全日本カート選手権』。遊園地にあるゴーカートの、「ホンモノ」のやつで競い合うレース選手権です。

実際、多くのF1ドライバーがレースを始めたカテゴリーが、子供の時代からも参加できるレーシングカートだと言います。鋼管でできたシンプルな作りのシャーシに、サスペンションなしの車軸および操舵輪をつけたレーシングカート。しかしシンプルなだけに、スリックタイヤを装着したときのコーナリングGは、まさにフォーミュラーレベルだと言います。それは、別カテゴリーに出場しているプロレーサーも、トレーニングに活用するほどのパフォーマンスなのです。

そのシリーズの中でも、『全日本』がかかった『KFクラス』は精鋭中の精鋭が競います。エンジンのチューニングなども自由に行えるというこのクラスは、国際基準のレギュレーションによって開催されている、カートレースのまさに頂点。

さて、レーシングカートの魅力は、ちょっとお小遣いを用意すれば、一般の誰でも参加が可能(もちろん、ライセンスは必要)という所にもあります。JAF公認のカートコースも全国に39ヶ所はあり、公認クラブも何十とありますから、その人ごとに色々な姿勢で本格レースに参戦できるのはうれしい所でしょう。まさに年齢性別を全く問わず、多くのエントラントを集めて日本のモータースポーツの難い地盤になっているのが、レーシングカートの世界です。

まとめ

以上、各選手権などがかかったレースを主に、日本の4輪モータースポーツ界についてまとめてみました。他にはもちろん、上記以外にもローカルなツーリングカーレースのシリーズや、サーキットでのタイムトライアルだけを行うJAF公認競技などもあります。

比較的に下位のカテゴリーレースであっても、色々と組み合わせて見る側にも楽しめるように工夫したイベント(例えば富士チャンピオンレースシリーズなど)も結構あります。興味はあるんだけどサーキット未体験という向きは、そういったイベントを選んで、ピクニックがてら観戦してみることをお勧めします。

それだけでもきっと、非日常の新鮮な体験になることでしょう。